席替えから始まる学園天国

蒼 空馬

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ミツハナ脱退編

誕生日会(帆乃花1)

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 帆乃花ちゃんの誕生日会一日目、主役の帆乃花ちゃんとは名古屋駅で集合となっている。地元集合だと、人の目があるからだ。
 15時出発の高速バスのため、余裕をもって14時30分集合とした。

 集合場所である時計のオブジェの前で待つこと3分。改札方面から、明らかに周りの女子とは違うオーラをまとった美女二人が歩いてくる。友巴ちゃんも見送りに来てくれたようだ。

「お待たせ、シュウゴくん」
「お待たせ~」

 二人が俺に向かいニコリと微笑む。

 うわー、今日は一段と可愛い。今すぐギュッと抱きしめたい。

「全然待ってないよ。相変わらず二人とも可愛いね。というかいつもよりも可愛い」

 とくに帆乃花ちゃんは、いつものポニーテールではなく、髪を下ろしナチュラルカールさせている。
 さらに俺がプレゼントしたマフラーを巻いているため、フワッとボブのような形になっているのが最高だ。

「へへ。シュウゴくん、ちゃんとホノカちゃんを可愛がってあげたよ」

 友巴ちゃんがそう言った。友巴ちゃんが言う「可愛いがって」は想像がつく。

「トモハちゃんに可愛くしてもらったってことね」

 帆乃花ちゃんが顔を赤らめて情報修正してきた。

「じゃ、二人仲良くいってらっしゃい。私は買い物して帰るね。私の誕生日は3月だから二人とも忘れずによろしくー」

 軽く手を振って友巴ちゃんを見送った。
 
 あらためて帆乃花ちゃんを見る。
 腰高の白色コートに淡いピンクのニット、茶色のミニスカに黒のタイツだ。全体的にフェミニンコーデながら、大人っぽくもある。ピッタリとしたニットが帆乃花ちゃんの大きな胸、くびれた腰を強調し、タイツは透け感があるためだろう。
 顔、性格、スタイルともに最高な上、服装まで完璧なこのコとお泊まりデートできるなんて!

「じゃあ行こうか。その前にお菓子と飲み物買おう」
「俺、買っておいよ」

 お菓子と飲み物を入れた袋を見せた。

「私が好きなものばっかりだね。ありがとう、シュウゴくん」
「帆乃花ちゃんの好きなものはバッチリだよ」
「どれどれ。えーっと……」

 そう言い、帆乃花ちゃんが袋の中を覗き込む。

「どれどれ……うーん、私が一番好きなのは……」

 新作のホワイトチョコレートかな。

「シュウゴくん!」

 そう言い、俺の腕に帆乃花ちゃんが絡んできた。
 思わずクラっとする。
 帆乃花ちゃん特有の甘い香り、柔らかい胸……。
 早くホテルに行きたい。

 バスは午後便のためか空席もちらほら目立つ。
 できたら一番後ろが良かったが、横並び5人席のため後ろから2列目にした。通路を挟んだ隣には誰も座っていない。前には大学生だろうか、カップルが座っている。
 帆乃花ちゃんを奥にして、俺は通路側に座る。

 バスターミナルを出発したバスはすぐに名古屋の繁華街を抜けた。
 乗客はカップル、ファミリーばかりで人数が少ない割にワイワイと賑やかだ。

「明日も天気が良さそうで良かったね」

 会話の第一歩は天気の話だ。イギリス人の場合だけど。

「そうだね。晴れはありがたいよねー。でも海沿いで寒いだろうから明日は暖かい格好で行かないとね」
「明日はスカートじゃないの?」
「ズボンだよ。中にタイツも履くよ」
「え? そこまでする必要があるくらい寒いの? 俺タイツ持ってきてないや」
「私の貸してあげようか」
「え? 男女兼用のがあるの?」
「ないよー。もう冗談なのに。面白いね、シュウゴくん」
「なんだ冗談か」
「でも寒いだろうから二人で引っ付いていようね」
「大好きな人の体温が一番暖かいもんね」

 俺の言葉に帆乃花ちゃんは少し照れたのか窓の外を見た。

「……こうやって二人並んでると修学旅行を思い出すね」
「そうだね。まさかシュウゴくんとこんな関係になるなんてね」
「こんな関係って?」
「……彼氏と彼女?」

 俺は帆乃花ちゃんの耳元に顔を寄せ囁いた。

「それとエッチな関係」

 帆乃花ちゃんの顔がみるみる赤くなる。

 帆乃花ちゃんのスイッチが入ったか?

 俺は膝にかけたジャケットを帆乃花ちゃんの方まで伸ばし、その下で帆乃花ちゃんの手を握った。指を絡ませるいわゆる恋人繋ぎで。
 その手を帆乃花ちゃんのミニスカートの中に持っていこうとしたが、ググッと戻された。
 まだスイッチは入っていないようだ。
 ごめんなさい……。

「シュウゴくん、あけみっちのこと聞いてる?」

「聞いてるって、教師を辞めた後のこと?」
「ううん。身体のこと。知らないならいいの」

 今度は目を暗くし、帆乃花ちゃんは窓の外を見た。
 握っていた手もさりげなく、そっと外された。
 きっと帆乃花ちゃんは、あけみっちが妊娠できない身体であることを知っている。
 妊娠できないことは、女性にとって相当ショックなのだろう。それが自分でなくとも。
 しばらく無言で高速バスは進む。

「さあ、高速に入ったし、お菓子でも食べよう」

 雰囲気を変えるためオーバーリアクションでお菓子の入った袋をのぞく。

「俺が一番好きなのは……帆乃花ちゃん」

 そう言い、帆乃花ちゃんの顔を見た。
 ふふっと窓の外を見ながら帆乃花ちゃんが笑った。

「私も。知ってると思うけど」

 今度は俺を見て、はにかんだ。

「青春真っ最中だね」

 前に座っていた大学生と思われる女子が俺たちの方を向き、そう言った。
 雰囲気がサッチっぽい。ズカズカ系だ。

「こら、ハルカ。青春の邪魔するな」

 隣の彼氏と思われる男子がたしなめる。

「だって昔を思い出すじゃん」
「とにかく前を向いておけ。おまえ、車酔いするだろ」
「たしかに……おえぇぇ」

 ハルカという名の女子は前を向いて座り直した。

「ごめんな」

 彼氏らしい男子が通路側からひょこっと顔を出し、俺に謝ってきた。

「い、いいえ」

「なんだかシュウゴくんとサッチみたいだね」
「俺とサッチ?」
「うらやましいな……」
「うらやましい?」
「私もサッチみたいに思ったまま行動できれば、シュウゴくんにもっと近づけるのに……。どうしても自制心が働いちゃうの」
「そこが帆乃花ちゃんの良いところだと思うけど」
「私もシュウゴくんにたしなめられたい」
「そ、そうなの……。じゃあテーマパークでは帆乃花ちゃんの思うがままに」
「私の誕生日だしたまには良いよね」
「うん。帆乃花ちゃんをたしなめたい」

 前の席からは「青春だねぇ」という声が聞こえてきた。

 ホテルのエントランスに着いて驚いた。
 ハリウッドスターが泊まってもおかしくないくらいのゴージャスさだ。
 次々と高級車が横付けされる。

「シュウゴくん、本当にここ?」
「たぶん……」

 そう言うしかない。
 不安なままロビーに向かう。フロントカウンターに近づくにつれ不安が解消されるどころか、煌びやかな雰囲気に不安が募る一方だ。

「帆乃花ちゃんはここで待っていて。受付してくる」

 隣に帆乃花ちゃんがいてくれた方が安心だが、何かあった時に恥ずかしい姿は見られたくない。
 フロントスタッフの女性に名前を告げる。

「予約してある梅谷楸吾ですけど……」
「梅谷様、お待ちしておりました。あけみ様から伺っております。部屋へのご案内はなし、ということですがよろしかったですか?」

 あけみっちがなんらかの配慮でそうしたのだろう。

「はい。大丈夫です」

 女性スタッフは微笑みながらルームキーの扱いなどを教えてくれた。

「部屋のお代は必要ございませんので、お帰りの際はキーをこちらにお返しいただくだけで構いません。ご不明な点がございましたら、部屋に備え付けの電話でお知らせください。それではごゆっくりとお過ごしください」

 女性スタッフが丁寧にお辞儀をした。

 そわそわしている帆乃花ちゃんのもとに行くと、安心した表情を見せた。なんせ周りの客層は紳士淑女といった大人ばかりだ。俺も帆乃花ちゃんの顔を見て安心した。

 部屋は「2801」だそうだ。間違いなく上層階だ。あけみっちが景色の良い部屋私とってくれたのだろう。
 エレベーターに乗ると「28」までのボタンしかない。そのボタンの隣に「2801~2803」と書いてある。つまり部屋が3つしかない最上階ということだ。

「部屋ってあけみっちがとってくれたんでしょ。すごいね」
「しかも無料だよ……」

 音もなく、あっという間にエレベーターは最上階に着いた。

 エレベーターホールの窓から外をのぞくと、大阪の夜景がキラキラと広がっていた。

「わあ、すごい綺麗!」
「だね。それしか表現できない」

 しかしながらここまでの驚きは序の口であった。

 ルームキーを差し込み部屋のドアを開けると、長い廊下があった。その先のドアを開けると巨大な窓一面に大阪の天から地までが広がっていた。

「うわー、なにここ。すごすぎ」

 そう感嘆の声をあげた帆乃花ちゃんであったが、俺はあまりにもすごい環境に声も出ない。
 しばらく景色を見ていたが、荷物を置き部屋を一緒に探索することにした。

 リビング的な部屋の隣にベッドルーム、廊下の両サイドにそれぞれ独立したお風呂と洗面所、トイレだ。
 宿泊に必要な施設が揃っているだけだがひとつひとつがゴージャスだ。おそらくこの部屋は公式サイトで見たセミスイートルームだ。
 
 あけみっちのお年玉、すごいな。
 こりゃ気合の入ったお返しをしないといけないな。

「シュウゴくんとこんな素敵なところに泊まれるなんて最高の誕生日だよ」

 コートを脱いだ帆乃花ちゃんが抱きついてくる。柔らかい帆乃花ちゃんをギュッと抱きしめ返す。
 もう腰が勝手に動き出しそうだ。
 と思ったら、帆乃花ちゃんが腰をグイグイと押し当ててくる。
 この部屋の雰囲気にもう帆乃花ちゃんのスイッチが入ったのか。

「さて。時間ないし、ご飯食べようか」

 帆乃花ちゃんはそう言い俺から離れた。
 どうやらスイッチはオフのままのようだ。

「こんな部屋で食べるお好み焼きも美味しいね」

 どう考えても雰囲気が合わず、帆乃花ちゃんが笑う。
 お好み焼きは、バスターミナル近くの人気店でテイクアウトしたものだ。店内で食べようとしたが、満席のため持ち帰りにした。

「この部屋でお好み焼き食べたの俺たちだけじゃない?」
「そうだね。スイートルームでお好み焼き、これから流行るかも」
「いやいや、絶対ない」

 あっという間にお好み焼きを食べ終え、とりあえず明日のスケジュールを確認することにした。
 スマホでルートを説明しようとすると、それまで正面に座っていた帆乃花ちゃんが俺の隣に移動してきた。

「どれどれ」

 帆乃花ちゃんのマシュマロバストが腕に当たる……。
 しばらく帆乃花ちゃんに説明していたが、たまらず押し倒しキスをし胸を揉んでいた。
「んん……シュウゴくん……。前の反省は?」
「反省?」
「歯磨き」

 し、しまった。お好み焼きくさい口で帆乃花ちゃんにキスしてしまった。
 しかもたぶん、青のりいっぱいの口で。

 俺は帆乃花ちゃんを抱き起こし、ごめんと謝った。

 二人で並んで歯を磨く。歯に青のりがいっぱいついていたことに二人で笑った。

「ねえねえ、シュウゴくん。新学期そうそう、ストレッチしておいてって言ってたけど、なんで?」
「なんでって、あとでわかるよ。さてお風呂に入ろうか」

 さりげなく帆乃花ちゃんをお風呂に誘う。
 お湯はすでに溜まっている。

「シュウゴくん、お先にどうぞ」
「えー? 一緒に入らないの?」
「ふふ、入るよ。でも準備があるから先に入っていてね」
「準備?」
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