22 / 27
第21話
しおりを挟む
かすみん・むっちーとラミラミ先生の戦いは、一進一退の勝負だった。
チート攻撃の要でもある羽根プレートの枚数は確実に減っていき、最初は二十枚あったものが今は十二枚にまで減っている。
ただ不思議なことに、枚数が減れば減るほどラミラミ先生の強さは増していった。
士気が上がったことで外野で応援していた魔法少女達も加勢するんだけど、ことごとく倒されちゃったし、かすみん達も最初より攻めきれなくなっていた。
その理由を探るためにも、あたしは鎧兜を装備し直したあと、しばらくラミラミ先生の動きを観察していた。
もしかしてあのプレート、枚数が減れば減るほど一枚一枚の軌道がより細かく、より俊敏に、より正確になっていってるんじゃないかな?
数が少ない方が、一枚に対してより集中できるから……とか。
どうしてそうなるのかはラミラミ先生に聞いてみないとわからないけど、まず教えてくれるはずもないし、この際どうでもいい。
ただ間違いなく言えるのは、こっから先はどんどん戦いはハードモードになっていくってことだ。
「ってことは……あたしがやるべきは、これっきゃないよね!」
牽制。それに尽きる。しかもこの鎧じゃ素早くは動けないから、遠距離からのね。
むしろそれしかないとも言えるんだけど……。
あたしは腕を前方に構え、アルアルに対して放った時と同じように念じた。
今度こそ当たってよね!
「いっけー! ぶっ飛びナックルッ!」
鎧の肘の部分に魔法陣が浮かび上がり、火柱が噴射!
勢いよく飛んでいった手甲が、ラミラミ先生に迫る!
それに気づいたラミラミ先生は、素早く羽根プレートを移動させて、ぶっ飛びナックルの軌道上に重ねてきた。
そう来るならそのまま叩き割ってやる! ……って思ったんだけど、傾斜をつけたプレートに当たった瞬間、つるんと軌道をそらされちゃった。
あれ? っと首を傾げているあたしに、ラミラミ先生は自慢げに言った。
「いわゆる『避弾経始』というやつです。これ、テストに出ますからね」
なんのテストだよ! だなんて野暮なツッコミはあえてしないよ! したかったけど!
でも、くそぅ……あっさりかわされちゃったよ。あたしの腕にカシャンッ、と戻ってきた腕をさすりながら、次の手を考える。
動きを察知されてプレートに阻まれる、でもそれを壊すには『ぶっ飛びナックル』じゃ力不足ってことでしょ?
それなら、一個はおとりに使っちゃえ。腕は二本もあるんだから!
「よっしゃ! もういっちょ……いっけー!」
右、そして左と交互に腕を発射させる。二つを直列にしてラミラミ先生へ向かわせる。きっとラミラミ先生からみたら一つにしか見えていない……はず!
「また同じ攻撃ですか? 芸がないですね」
かすみんやむっちーと戦いながらでも、余裕綽々でこっちの対応もしてくるラミラミ先生。さっきと同じように羽根プレートを一枚よこして、飛んでくる腕に対して傾斜を作って待機する。
案の定、トゥルンと情けない感じに軌道をそらされた……けど後ろに隠してあったもう一本は、プレートを避けてさらにラミラミ先生へと迫る!
「――くぅっ!」
さすがのラミラミ先生も対応が遅れた。腕を避けることはできたけど、体のバランスを崩した。
「隙あり!」
むっちーがすかさず間合いを詰めて攻撃! ラミラミ先生は、防御のために二枚の羽根プレートを引っ張りつつ、素早く後ずさる。
直接ラミラミ先生へのダメージはなかったけど、二枚のプレートがパキンと割れた!
やった、あたしの牽制もあってさらにプレートの数が減った! これで残り十枚!
「ちょこざいなことを!」
今時聞かないような悪態をついて、ラミラミ先生があたしを睨んできた。
悔しかろう悔しかろう! あたしも勝ち誇ったように笑いながら、帰ってきた両腕を装着し直した。
これで調子づいたあたしは、もう一回『ダブルぶっ飛びナックル』をお見舞いしてやろうと構えた。
けどあたしが打ち込むよりも先に、羽根プレートが一枚、あたしのところに飛んできて氷の魔法を撃ってくる。
「きゃあ!」
とっさにあたしが右腕で庇うと、関節部分が氷漬けになっちゃった!
マジか……これじゃ『ぶっ飛びナックル』撃てないよ。
左腕は無事だけど、一個じゃ避けられちゃうし。
……いや、考えろあたし。他にも使える作戦や技がある……はず!
今のあたしの状態じゃ、ろくに攻撃なんてできない。
だったら、攻撃はかすみんやむっちーに任せればいいんだ。
それはもちろん、投げっぱなしにするというわけじゃない。攻撃手段を持っている二人をサポートするために、今のあたしにできることを考える。
やるべきは、ラミラミ先生の動きを邪魔すること。隙ができれば、さっきのむっちーみたいに攻撃はちゃんと入るんだ。
「でも、飛び道具もないし武器も持ってないのに、どうやったら……」
そう辺りを見回していたあたしは、改めて自分の姿が目に留まった。
片腕が氷漬けになった鎧兜の姿。これは、あたしが操っている仮の体だ。
壊れたって痛くもかゆくもない。
現に腕が凍らされているけど、あくまで鎧が凍っているだけだし。
「…………そうだよ。なにも怖がることなんてないじゃん」
鎧を失ったら、正直このあとが大変かもしれない……でも。
生身じゃない仮の体だからこそできるサポートのしかただってあるよ!
あたしは深呼吸して気持ちを落ち着かせる。
そして――クラウチングスタートの姿勢を取った。
「足の裏に、推進力のイメージを……よし!」
瞬間、両足の裏に魔法陣が展開した。エンジン音みたいな唸りが聞こえてくる。
これなら、イメージ通りの攻撃ができそうだ!
「腕が封じられたんなら……体ごと当たって砕けろだ!」
一気にスタートを切る。同時に、足から火柱が噴出して推力を生む。
体そのものが弾丸みたいになって、一気にラミラミ先生へ接近する。
「な、なんですかそれは!」
自分に迫ってくる鎧の塊に、ラミラミ先生は驚きの声を上げてすぐさま羽根プレートを展開する。魔法陣から様々が魔法が斉射され、あたしの鎧に当たる。
そのたびに右腕がもげたり、脇腹辺りの装甲が削られたりした。
でも――へっちゃらだ!
ラミラミ先生の攻撃をものともせず、あたしは先生へ特攻をしかけた。
攻撃するだけでは抑えられないと踏んだのか、すぐさまプレートで防御体勢をとるラミラミ先生。だけど勢い余った質量を相手に、プレートだけでは抑えきれない。
二枚、三枚とプレートを重ねて防ごうとするけど、いたずらにプレートを壊すばかりで止められない。
仕方なく体を動かしてあたしをかわす。あたしはそのまま転がるように倒れてしまった。
けど、そうしてできた隙をかすみん・むっちーが見逃すはずがなく。
「「せええいっ!」」
かすみんの二刀流、むっちーの右ストレートがラミラミ先生に迫る!
ありったけのプレートで防御を謀るけど、そのすべてを破壊して攻撃がクリティカルヒット!
うめき声を上げたラミラミ先生は、そのまま壁まで吹き飛ばされ、轟音を鳴らして追突する。
「――っしゃぁ!」
むっちーがガッツポーズする。ひらり翻るスカートがかっこかわいい!
「助かったよノゾミちゃん! いい特攻、熱い戦いだったぜ」
からのサムズアップですよ、サムズアップ。
もう爽やかイケメン過ぎませんか、あの女の子。
あたし、現世に戻ったらすぐに宝塚歌劇団観劇しにいこう。
と、あたしが男役にトキメキを覚えはじめた時だった。
「みなさん、油断は禁物ですわ!」
つきのんの叫びが聞こえ、慌ててラミラミ先生が吹き飛ばされた方へ目を向ける。
すでに立ち上がっているラミラミ先生の目が、あたしに向いていた。
そして、明らかに怒っている声音で言った。
「私はですね……自分の授業に横やりを入れられるのが、なによりも嫌いなんですっ!」
ラミラミ先生の目が光った。普段、兜の奥になんの光も宿っていない方だ。
直後、一瞬のうちにあたしへなにかが着弾した。気づけば左腕が粉々に破壊されていた。
本当に瞬き一つする間のことだった。なにがなんだか、よくわからない。
「んだよ、その攻撃! 飛び道具か!?」
むっちーが悪態をついて距離を詰める。もう一発、強烈なのをお見舞いするつもりらしい。
でも、それよりも早くラミラミ先生の頭が動き、目線がむっちーを捉え――
「危ないっ!」
むっちーをはじき飛ばすようにかすみんが接触し、二人が床に倒れる。
直前までむっちーのいた場所が爆発し、爆風で吹き飛ばされる。
爆発の直撃は免れたけど、飛び散った瓦礫が二人を襲う。
「かすみん! むっちー! 大丈夫!?」
あたしが声をかけると、辛うじて反応は返ってきた。
「く……大、丈夫……わたしも、嵐山さんも……まだ」
けど、瓦礫が邪魔でほとんど身動きが取れないみたい。
二人のことがすっごい心配、だけど。
それよりもヤバいのはラミラミ先生の目、だよね。
「あなた達相手に『爆破の魔眼』を使うことになろうとは、夢にも思いませんでしたよ」
ラミラミ先生は体についた埃を払いながらこっちに歩いてくる。
爆破の魔眼? なにその厨二病的な技……。
でも、名前からしてなんとなく読めたぞ。
たぶん視界の中にあるもの、あるいは場所を選んで、爆発させることができるんだ。
自分で言っててすごいチート技だなって思った。そんなの、見られたら一巻の終わりじゃん。防ぎようがないじゃん。
見られないよう動き回って隙を窺う? でも、動きを読まれた瞬間アウトだ。だいたい、攻撃しようとしたら確実に動きの止まるタイミングがある。
じゃあ、盾になるような瓦礫を持ちながら移動する? 無理だよ、重くてノロマになるし、そしたら集中的に狙われちゃう。
遠距離攻撃は? ……ダメだ。さっきの特攻と魔眼のせいで、両腕がなくなっちゃった。
そもそも鎧の体すら、動くのがやっとってぐらいにボロボロだ。
ていうことは、攻撃の手段さえないの? 今のあたしって……。
「なに立ち止まってらっしゃるんですの? 望実さん!」
あたしを叱咤したのはつきのんだ。
前に出て、ラミラミ先生の視線を攪乱するように動き回る。
「あなたはどんなときでも前向きに、なんらかの手段を見つけ出して、今まで勝ってきた。どんな戦いでも、戦い抜いてきた! それは今この瞬間だって同じことではありませんの!?」
つきのんは鉄扇を広げ、ラミラミ先生を斬りつけていく。かと思えば、畳んで鈍器代わりにぶつける。
「あなたは私と違って……脚をなくして地獄を見ていた私と違って、強い心を決して失わない方でしたわよね! だって脚をなくしただけの私と違って、あなたは体そのものがないのにも拘わらず、私達を牽引してきたんですもの!」
ラミラミ先生の攻撃が、叱咤するつきのんの頬をかすめた。
微かな痛みに表情を歪めつつも、彼女はまだ叱咤を続けた。
「そんなあなたが、こんな時に足を止めてどうするんですの? 私にはなかった、その絶対にめげない強さを……今こそ発揮する時でしてよ!」
つきのんに言われて、あたしは我に返る。
そうだ、まだなにか手段はあるはずなんだ。考えろ、考えろ!
「あたし達がぁ、時間稼ぎますからぁ、ノゾミちゃんがんばってくださぁい!」
若葉ちゃんもハンマーを担いで応戦する。
二人の言うとおりだ。この時間を有効的に使って策を練らないと……。
その時だ。誰もが忘れかけていた存在のあいつがのんきに声をかけてきた。
「早くしないと、お友達がやられちゃうよん?」
レンレンだ。あたしの髪を結うかんざし代わりのレンレンが、茶化すように言ってきた。
「わかってるよ! レンレンは魔導器だからって、のんき過ぎだよ!」
「望実ちゅわんにのんきって言われるのは心外だな~。でもまあ、今のオレはノゾミちゅわんのいうとおり、ただの魔導器だからねん。のんきでも大丈ブイッ! ってなわけで」
「人格あるんだから、ちょっとは頭使って手伝って……んん?」
レンレンの言い方に引っかかるものがあって、あたしは言葉を止めた。
そうだよ。レンレンは人格があってべらべらお喋りで、たまにあたし達を邪魔したりするけど……基本的にはただの魔導器だったんだ。
魔導器に融合しているから、どっちに扱うのが正解か曖昧だったけど。
でも、レンレンの言葉でハッキリしたよ。
つまり、レンレンだって立派なあたしの武器だったってことだね!
……そういえば今まで、自分の魔導器を魔導器としてちゃんと使ったことって、なかったような気がする。いつも顕現しっぱなしだったし、人格もあるせいで、使うって意識で使ったことがなかったかもしれない。
いや、むしろレンレンがキモくて使うっていう発想がなかっただけかもしれないけど。
なんであれ、レンレンの言い方に引っかかった理由って……
「あんたを、使いこなしてみろってこと?」
でも、あたしの問いにレンレンは「さ~」と答えた。
「別にオレは、そんなこと一言も言ってないよん? 望実ちゅわんがそう解釈したんなら、そういうことでいいんじゃなーい?」
……言い方は腹立つし、空気読めてないし、元はと言えばこいつのせいでこんなことになってるようなもんなんだけど……。
それでも今この瞬間だけは、レンレンにちょっと感謝かも!
「まぁ、みんながどうなろうとオレには関係ないけどさっ。ラミエルにエルドラ乗っ取られるのは、オレ的にはちょっち都合悪いからねん」
「素直じゃないやつ! 要は、協力してくれるってことでしょ!」
あたしは自分の髪を通してレンレンに念を送る。
アルアルを操った時と似ている感覚だった。魔導器という『もの』だけど、レンレンの『人格』が融合しているからかもしれない。
時々、人間状態のレンレンの憎たらしい笑い顔が、ポップアップみたいに邪魔してくる。その網をくぐり抜け、あたしの意識と魔導器をリンクさせる。
やがて、魔導器の回路とあたしの意識が、カチッとハマった!
どんな形でもいい。ラミラミを倒す為の手段を探る。
すると、ステッキに込められた情報がなだれ込んでくる。
あたしが今までカカシや鎧を操ったり、他の魔法少女と違って魔法らしい魔法が使えたのは、やっぱりこの魔導器の能力のおかげだったみたい。
常に顕現しているからこそ、使うという意識でなくても魔法が使えていた。
でも本来ならこの魔導器を通して発動するものだったらしい。
そしてステッキの能力は、あたしの『こうしたい!』という『願い』を『創造』する力。
自分が正確にイメージできるものに限るけど、『想像』を『創造』する力がこの魔導器には備わっているんだ。
そして今、はじめて魔導器を魔導器として使おうとしている。
今までは、あたしのイメージに魔導器が力を貸してくれていたに過ぎなかった。
けどこれなら、あたしの創造力を最大限増幅させられる。それだけの出力が出せるんだ。
最大級の出力で、あたしの想像力を実現させられる!
こうしたい! どうしたい? 決まっている、戦える手足がほしい。
ラミラミ先生と真っ向から戦うための、あたしの手足がほしい!
そう、強く願った――瞬間。
あたしの鎧が眩い光に包まれた!
「く……な、なんの光ですか!」
ラミラミ先生が眩しそうに腕で防ぐ。あたしも思わず目を瞑っちゃった。
だから、なにが起こっているのかはよくわからない。でも、あたしの操っている鎧がちょっとずつ形を変えていっているのは伝わってきた。
無駄を省き、よりコンパクトに、より軽く、よりフィットするように。
……いや、さすがにちょっと小さくなりすぎじゃない? って不思議に思うぐらい、鎧の手足がコンパクトになったと感じた頃には、光も収まって目が開けられるようになった。
なにがどうなったのかよくわからない……。
だけど、周囲の見開いた目があたしへ集中している気がする。
え? なになに? なんか変な状態にでもなってるの?
「の、望実さん……そのお体は一体、なんなんですの?」
つきのんも目を丸くしてあたしの方を見てる。
このパターンはまさか……?
不安に思いながらあたしは視線を下げ、自分の体を確かめ――。
「………………はああぁ!?」
ビックリして素っ頓狂な声が出ちゃった。
手を覆うちっちゃな甲冑に、足を包むちっちゃな鉄靴。
さっきまで操っていた鎧のデザインをデフォルメしたような手足を、手に入れるには手に入れたけど……。
「な、な……なんで、頭から直接手足が生えてるのぉ!?」
なんとあたしは、一頭身の騎士になっていたのだ。
チート攻撃の要でもある羽根プレートの枚数は確実に減っていき、最初は二十枚あったものが今は十二枚にまで減っている。
ただ不思議なことに、枚数が減れば減るほどラミラミ先生の強さは増していった。
士気が上がったことで外野で応援していた魔法少女達も加勢するんだけど、ことごとく倒されちゃったし、かすみん達も最初より攻めきれなくなっていた。
その理由を探るためにも、あたしは鎧兜を装備し直したあと、しばらくラミラミ先生の動きを観察していた。
もしかしてあのプレート、枚数が減れば減るほど一枚一枚の軌道がより細かく、より俊敏に、より正確になっていってるんじゃないかな?
数が少ない方が、一枚に対してより集中できるから……とか。
どうしてそうなるのかはラミラミ先生に聞いてみないとわからないけど、まず教えてくれるはずもないし、この際どうでもいい。
ただ間違いなく言えるのは、こっから先はどんどん戦いはハードモードになっていくってことだ。
「ってことは……あたしがやるべきは、これっきゃないよね!」
牽制。それに尽きる。しかもこの鎧じゃ素早くは動けないから、遠距離からのね。
むしろそれしかないとも言えるんだけど……。
あたしは腕を前方に構え、アルアルに対して放った時と同じように念じた。
今度こそ当たってよね!
「いっけー! ぶっ飛びナックルッ!」
鎧の肘の部分に魔法陣が浮かび上がり、火柱が噴射!
勢いよく飛んでいった手甲が、ラミラミ先生に迫る!
それに気づいたラミラミ先生は、素早く羽根プレートを移動させて、ぶっ飛びナックルの軌道上に重ねてきた。
そう来るならそのまま叩き割ってやる! ……って思ったんだけど、傾斜をつけたプレートに当たった瞬間、つるんと軌道をそらされちゃった。
あれ? っと首を傾げているあたしに、ラミラミ先生は自慢げに言った。
「いわゆる『避弾経始』というやつです。これ、テストに出ますからね」
なんのテストだよ! だなんて野暮なツッコミはあえてしないよ! したかったけど!
でも、くそぅ……あっさりかわされちゃったよ。あたしの腕にカシャンッ、と戻ってきた腕をさすりながら、次の手を考える。
動きを察知されてプレートに阻まれる、でもそれを壊すには『ぶっ飛びナックル』じゃ力不足ってことでしょ?
それなら、一個はおとりに使っちゃえ。腕は二本もあるんだから!
「よっしゃ! もういっちょ……いっけー!」
右、そして左と交互に腕を発射させる。二つを直列にしてラミラミ先生へ向かわせる。きっとラミラミ先生からみたら一つにしか見えていない……はず!
「また同じ攻撃ですか? 芸がないですね」
かすみんやむっちーと戦いながらでも、余裕綽々でこっちの対応もしてくるラミラミ先生。さっきと同じように羽根プレートを一枚よこして、飛んでくる腕に対して傾斜を作って待機する。
案の定、トゥルンと情けない感じに軌道をそらされた……けど後ろに隠してあったもう一本は、プレートを避けてさらにラミラミ先生へと迫る!
「――くぅっ!」
さすがのラミラミ先生も対応が遅れた。腕を避けることはできたけど、体のバランスを崩した。
「隙あり!」
むっちーがすかさず間合いを詰めて攻撃! ラミラミ先生は、防御のために二枚の羽根プレートを引っ張りつつ、素早く後ずさる。
直接ラミラミ先生へのダメージはなかったけど、二枚のプレートがパキンと割れた!
やった、あたしの牽制もあってさらにプレートの数が減った! これで残り十枚!
「ちょこざいなことを!」
今時聞かないような悪態をついて、ラミラミ先生があたしを睨んできた。
悔しかろう悔しかろう! あたしも勝ち誇ったように笑いながら、帰ってきた両腕を装着し直した。
これで調子づいたあたしは、もう一回『ダブルぶっ飛びナックル』をお見舞いしてやろうと構えた。
けどあたしが打ち込むよりも先に、羽根プレートが一枚、あたしのところに飛んできて氷の魔法を撃ってくる。
「きゃあ!」
とっさにあたしが右腕で庇うと、関節部分が氷漬けになっちゃった!
マジか……これじゃ『ぶっ飛びナックル』撃てないよ。
左腕は無事だけど、一個じゃ避けられちゃうし。
……いや、考えろあたし。他にも使える作戦や技がある……はず!
今のあたしの状態じゃ、ろくに攻撃なんてできない。
だったら、攻撃はかすみんやむっちーに任せればいいんだ。
それはもちろん、投げっぱなしにするというわけじゃない。攻撃手段を持っている二人をサポートするために、今のあたしにできることを考える。
やるべきは、ラミラミ先生の動きを邪魔すること。隙ができれば、さっきのむっちーみたいに攻撃はちゃんと入るんだ。
「でも、飛び道具もないし武器も持ってないのに、どうやったら……」
そう辺りを見回していたあたしは、改めて自分の姿が目に留まった。
片腕が氷漬けになった鎧兜の姿。これは、あたしが操っている仮の体だ。
壊れたって痛くもかゆくもない。
現に腕が凍らされているけど、あくまで鎧が凍っているだけだし。
「…………そうだよ。なにも怖がることなんてないじゃん」
鎧を失ったら、正直このあとが大変かもしれない……でも。
生身じゃない仮の体だからこそできるサポートのしかただってあるよ!
あたしは深呼吸して気持ちを落ち着かせる。
そして――クラウチングスタートの姿勢を取った。
「足の裏に、推進力のイメージを……よし!」
瞬間、両足の裏に魔法陣が展開した。エンジン音みたいな唸りが聞こえてくる。
これなら、イメージ通りの攻撃ができそうだ!
「腕が封じられたんなら……体ごと当たって砕けろだ!」
一気にスタートを切る。同時に、足から火柱が噴出して推力を生む。
体そのものが弾丸みたいになって、一気にラミラミ先生へ接近する。
「な、なんですかそれは!」
自分に迫ってくる鎧の塊に、ラミラミ先生は驚きの声を上げてすぐさま羽根プレートを展開する。魔法陣から様々が魔法が斉射され、あたしの鎧に当たる。
そのたびに右腕がもげたり、脇腹辺りの装甲が削られたりした。
でも――へっちゃらだ!
ラミラミ先生の攻撃をものともせず、あたしは先生へ特攻をしかけた。
攻撃するだけでは抑えられないと踏んだのか、すぐさまプレートで防御体勢をとるラミラミ先生。だけど勢い余った質量を相手に、プレートだけでは抑えきれない。
二枚、三枚とプレートを重ねて防ごうとするけど、いたずらにプレートを壊すばかりで止められない。
仕方なく体を動かしてあたしをかわす。あたしはそのまま転がるように倒れてしまった。
けど、そうしてできた隙をかすみん・むっちーが見逃すはずがなく。
「「せええいっ!」」
かすみんの二刀流、むっちーの右ストレートがラミラミ先生に迫る!
ありったけのプレートで防御を謀るけど、そのすべてを破壊して攻撃がクリティカルヒット!
うめき声を上げたラミラミ先生は、そのまま壁まで吹き飛ばされ、轟音を鳴らして追突する。
「――っしゃぁ!」
むっちーがガッツポーズする。ひらり翻るスカートがかっこかわいい!
「助かったよノゾミちゃん! いい特攻、熱い戦いだったぜ」
からのサムズアップですよ、サムズアップ。
もう爽やかイケメン過ぎませんか、あの女の子。
あたし、現世に戻ったらすぐに宝塚歌劇団観劇しにいこう。
と、あたしが男役にトキメキを覚えはじめた時だった。
「みなさん、油断は禁物ですわ!」
つきのんの叫びが聞こえ、慌ててラミラミ先生が吹き飛ばされた方へ目を向ける。
すでに立ち上がっているラミラミ先生の目が、あたしに向いていた。
そして、明らかに怒っている声音で言った。
「私はですね……自分の授業に横やりを入れられるのが、なによりも嫌いなんですっ!」
ラミラミ先生の目が光った。普段、兜の奥になんの光も宿っていない方だ。
直後、一瞬のうちにあたしへなにかが着弾した。気づけば左腕が粉々に破壊されていた。
本当に瞬き一つする間のことだった。なにがなんだか、よくわからない。
「んだよ、その攻撃! 飛び道具か!?」
むっちーが悪態をついて距離を詰める。もう一発、強烈なのをお見舞いするつもりらしい。
でも、それよりも早くラミラミ先生の頭が動き、目線がむっちーを捉え――
「危ないっ!」
むっちーをはじき飛ばすようにかすみんが接触し、二人が床に倒れる。
直前までむっちーのいた場所が爆発し、爆風で吹き飛ばされる。
爆発の直撃は免れたけど、飛び散った瓦礫が二人を襲う。
「かすみん! むっちー! 大丈夫!?」
あたしが声をかけると、辛うじて反応は返ってきた。
「く……大、丈夫……わたしも、嵐山さんも……まだ」
けど、瓦礫が邪魔でほとんど身動きが取れないみたい。
二人のことがすっごい心配、だけど。
それよりもヤバいのはラミラミ先生の目、だよね。
「あなた達相手に『爆破の魔眼』を使うことになろうとは、夢にも思いませんでしたよ」
ラミラミ先生は体についた埃を払いながらこっちに歩いてくる。
爆破の魔眼? なにその厨二病的な技……。
でも、名前からしてなんとなく読めたぞ。
たぶん視界の中にあるもの、あるいは場所を選んで、爆発させることができるんだ。
自分で言っててすごいチート技だなって思った。そんなの、見られたら一巻の終わりじゃん。防ぎようがないじゃん。
見られないよう動き回って隙を窺う? でも、動きを読まれた瞬間アウトだ。だいたい、攻撃しようとしたら確実に動きの止まるタイミングがある。
じゃあ、盾になるような瓦礫を持ちながら移動する? 無理だよ、重くてノロマになるし、そしたら集中的に狙われちゃう。
遠距離攻撃は? ……ダメだ。さっきの特攻と魔眼のせいで、両腕がなくなっちゃった。
そもそも鎧の体すら、動くのがやっとってぐらいにボロボロだ。
ていうことは、攻撃の手段さえないの? 今のあたしって……。
「なに立ち止まってらっしゃるんですの? 望実さん!」
あたしを叱咤したのはつきのんだ。
前に出て、ラミラミ先生の視線を攪乱するように動き回る。
「あなたはどんなときでも前向きに、なんらかの手段を見つけ出して、今まで勝ってきた。どんな戦いでも、戦い抜いてきた! それは今この瞬間だって同じことではありませんの!?」
つきのんは鉄扇を広げ、ラミラミ先生を斬りつけていく。かと思えば、畳んで鈍器代わりにぶつける。
「あなたは私と違って……脚をなくして地獄を見ていた私と違って、強い心を決して失わない方でしたわよね! だって脚をなくしただけの私と違って、あなたは体そのものがないのにも拘わらず、私達を牽引してきたんですもの!」
ラミラミ先生の攻撃が、叱咤するつきのんの頬をかすめた。
微かな痛みに表情を歪めつつも、彼女はまだ叱咤を続けた。
「そんなあなたが、こんな時に足を止めてどうするんですの? 私にはなかった、その絶対にめげない強さを……今こそ発揮する時でしてよ!」
つきのんに言われて、あたしは我に返る。
そうだ、まだなにか手段はあるはずなんだ。考えろ、考えろ!
「あたし達がぁ、時間稼ぎますからぁ、ノゾミちゃんがんばってくださぁい!」
若葉ちゃんもハンマーを担いで応戦する。
二人の言うとおりだ。この時間を有効的に使って策を練らないと……。
その時だ。誰もが忘れかけていた存在のあいつがのんきに声をかけてきた。
「早くしないと、お友達がやられちゃうよん?」
レンレンだ。あたしの髪を結うかんざし代わりのレンレンが、茶化すように言ってきた。
「わかってるよ! レンレンは魔導器だからって、のんき過ぎだよ!」
「望実ちゅわんにのんきって言われるのは心外だな~。でもまあ、今のオレはノゾミちゅわんのいうとおり、ただの魔導器だからねん。のんきでも大丈ブイッ! ってなわけで」
「人格あるんだから、ちょっとは頭使って手伝って……んん?」
レンレンの言い方に引っかかるものがあって、あたしは言葉を止めた。
そうだよ。レンレンは人格があってべらべらお喋りで、たまにあたし達を邪魔したりするけど……基本的にはただの魔導器だったんだ。
魔導器に融合しているから、どっちに扱うのが正解か曖昧だったけど。
でも、レンレンの言葉でハッキリしたよ。
つまり、レンレンだって立派なあたしの武器だったってことだね!
……そういえば今まで、自分の魔導器を魔導器としてちゃんと使ったことって、なかったような気がする。いつも顕現しっぱなしだったし、人格もあるせいで、使うって意識で使ったことがなかったかもしれない。
いや、むしろレンレンがキモくて使うっていう発想がなかっただけかもしれないけど。
なんであれ、レンレンの言い方に引っかかった理由って……
「あんたを、使いこなしてみろってこと?」
でも、あたしの問いにレンレンは「さ~」と答えた。
「別にオレは、そんなこと一言も言ってないよん? 望実ちゅわんがそう解釈したんなら、そういうことでいいんじゃなーい?」
……言い方は腹立つし、空気読めてないし、元はと言えばこいつのせいでこんなことになってるようなもんなんだけど……。
それでも今この瞬間だけは、レンレンにちょっと感謝かも!
「まぁ、みんながどうなろうとオレには関係ないけどさっ。ラミエルにエルドラ乗っ取られるのは、オレ的にはちょっち都合悪いからねん」
「素直じゃないやつ! 要は、協力してくれるってことでしょ!」
あたしは自分の髪を通してレンレンに念を送る。
アルアルを操った時と似ている感覚だった。魔導器という『もの』だけど、レンレンの『人格』が融合しているからかもしれない。
時々、人間状態のレンレンの憎たらしい笑い顔が、ポップアップみたいに邪魔してくる。その網をくぐり抜け、あたしの意識と魔導器をリンクさせる。
やがて、魔導器の回路とあたしの意識が、カチッとハマった!
どんな形でもいい。ラミラミを倒す為の手段を探る。
すると、ステッキに込められた情報がなだれ込んでくる。
あたしが今までカカシや鎧を操ったり、他の魔法少女と違って魔法らしい魔法が使えたのは、やっぱりこの魔導器の能力のおかげだったみたい。
常に顕現しているからこそ、使うという意識でなくても魔法が使えていた。
でも本来ならこの魔導器を通して発動するものだったらしい。
そしてステッキの能力は、あたしの『こうしたい!』という『願い』を『創造』する力。
自分が正確にイメージできるものに限るけど、『想像』を『創造』する力がこの魔導器には備わっているんだ。
そして今、はじめて魔導器を魔導器として使おうとしている。
今までは、あたしのイメージに魔導器が力を貸してくれていたに過ぎなかった。
けどこれなら、あたしの創造力を最大限増幅させられる。それだけの出力が出せるんだ。
最大級の出力で、あたしの想像力を実現させられる!
こうしたい! どうしたい? 決まっている、戦える手足がほしい。
ラミラミ先生と真っ向から戦うための、あたしの手足がほしい!
そう、強く願った――瞬間。
あたしの鎧が眩い光に包まれた!
「く……な、なんの光ですか!」
ラミラミ先生が眩しそうに腕で防ぐ。あたしも思わず目を瞑っちゃった。
だから、なにが起こっているのかはよくわからない。でも、あたしの操っている鎧がちょっとずつ形を変えていっているのは伝わってきた。
無駄を省き、よりコンパクトに、より軽く、よりフィットするように。
……いや、さすがにちょっと小さくなりすぎじゃない? って不思議に思うぐらい、鎧の手足がコンパクトになったと感じた頃には、光も収まって目が開けられるようになった。
なにがどうなったのかよくわからない……。
だけど、周囲の見開いた目があたしへ集中している気がする。
え? なになに? なんか変な状態にでもなってるの?
「の、望実さん……そのお体は一体、なんなんですの?」
つきのんも目を丸くしてあたしの方を見てる。
このパターンはまさか……?
不安に思いながらあたしは視線を下げ、自分の体を確かめ――。
「………………はああぁ!?」
ビックリして素っ頓狂な声が出ちゃった。
手を覆うちっちゃな甲冑に、足を包むちっちゃな鉄靴。
さっきまで操っていた鎧のデザインをデフォルメしたような手足を、手に入れるには手に入れたけど……。
「な、な……なんで、頭から直接手足が生えてるのぉ!?」
なんとあたしは、一頭身の騎士になっていたのだ。
0
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
修学旅行のはずが突然異世界に!?
中澤 亮
ファンタジー
高校2年生の才偽琉海(さいぎ るい)は修学旅行のため、学友たちと飛行機に乗っていた。
しかし、その飛行機は不運にも機体を損傷するほどの事故に巻き込まれてしまう。
修学旅行中の高校生たちを乗せた飛行機がとある海域で行方不明に!?
乗客たちはどこへ行ったのか?
主人公は森の中で一人の精霊と出会う。
主人公と精霊のエアリスが織りなす異世界譚。
ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~
カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。
気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。
だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう――
――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
