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第一部
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しおりを挟む食糧の調達以外は街を何度か通り過ぎ、小さな村々で施しをしながら進む一行は今回も栄える街を通り過ぎるつもりでいた。
だが、道中で知り合った旅商人から次の領地へ向かうための橋が川の増水で壊れたと聞き、立ち寄ることを余儀なくされるのだった。
幸いこの街には古い教会の跡地を利用した孤児院が存在しており、門番や宿舎の人々から特異な視線を送られることはなかった。
孤児院はこの領地を任されている代官による判断で近年作られた施設であり、当初は街中で忌避感を抱く者が多かったが今では安定しているらしい。
孤児院に立ち寄り、寄付を行っていた枢機卿に後から聞かされたのは教会と全く違う組織体系だというものだった。
孤児院は教会と違い、同じ街で暮らす領民のみを受け入れるといった偏りの強い施設らしかった。
その所為か、他領や流民には当たりが過激だともいう。
その反面、この領地ではスラム街が減り、治安も良くなったという。
橋の修復に数日を要すると聖騎士から聞き、滞在することが決められるのだった。
メリシャは枢機卿と街を巡り、聖騎士は食糧の確保を行うことになり、数日を過ごすことにした。
一方、街の中央の領主館で警邏から報告を受けていた代官は頭を悩ませていた。
「ーー教会の関係者と思われる一団との報告だが、我々への摘発だと思うか?」
代官の男性は革鎧を着込む兵士に話しかけている。
「いえ、それはないかと思います。住民からの報告によれば、他領へ向かう道中で例の橋が壊れたため直るまで滞在するようです。」
「アレか。次から次へと問題が浮上するな。くれぐれも彼らに気付かれてはならない。特に領主が幽閉中だという事だけは絶対に、だ。」
代官は執務椅子に座ったまま、額を手で覆い、目頭を下げて項垂れている。
「はっ。徹底いたします。」
「下がれ。」
執務室の扉が閉まると、代官は溜め息を一つ吐いて窓から外を眺め始めたのだった。
その上空を旋回する鳥に代官が気付くことはなかった。
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※お知らせ※
次回更新日程:2024年7月19日17:00・予定
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