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第一部
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しおりを挟む押し寄せる魔物の群れを聖騎士と神官で倒していく光景を眼下に留め、ネリは身体を縮めながら天幕へと戻っていく。
「お疲れ様、ネリ。」
『メリシャ様、ありがとうございます』
天幕で出迎えたメリシャに抱えられ、見守られながらネリは眠りにつく。
その離れた先では、魔物と聖騎士たちの喧騒が鳴り響いている。
傍らでルーは魔物や周りを警戒して、じっと戦場の様子を見つめる。
喧騒が収まっていくと、次第に歓喜へと変わって周りの雰囲気を塗り替えていった。
天幕へ戻ってきた聖騎士と神官を招き、疲れを癒す場を設けた。
遠くからも見えた魔物の死体は夥しい数となっていた。
入れ替わるように天幕の中で控えていた聖騎士が討伐し終えた魔物を一箇所にまとめていく。
他の魔物を寄り付かせないためであり、二次被害を起こさないために、聖魔法で燃やすためだ。
枢機卿は神官を二つのグループに分ける。
一つのグループはメリシャが受け持っていた、魔物との戦いを終えた聖騎士と神官の治療へ着手する。
治療を終えた人から休憩用に設置した簡易ベッドへ案内している。
もう一つのグループは魔物を燃やす係となった。
事前に集めた山を囲み、結界を構築した時と同様に聖魔法を行使していく。
その光景を遠く離れた砦で多くの兵士が静かに眺めていた。
始めは原因究明に奔走していた兵士たちだったが、あの迸った光を見た兵士の言伝は直ぐに広まり、駆け付けた兵士もただ見上げることしかできなかった。
光が収まる頃には砦の見張り台を中心に、砦に常駐する兵士のほとんどが佇んでいた。
同時に騒がしかった地鳴りも落ち着きを取り戻し、ある一点が浮き彫りになっていく。
一人が気付けば、その周りにいた兵士も気付き、その場に居合わせた兵士たちが動揺した。
教会の一行が寝泊まりしている天幕の近くに、魔物の死体が数え切れないほど、多く倒されていたからだ。
その晩、状況を整理し終えた幹部が全員、会議室で頭を悩ませたのは言うまでもない。
何故なら砦から一兵すら加勢に行かなかったためだ。
彼らは教会の一行から非難されないかという保身のみに囚われ、数日間一睡もできなかったという。
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※お知らせ※
次回更新日程:2025年1月4日 17:00・予定
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