少女、街を出る【完結】

青緑 ネトロア

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フレアとアズ...

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「レティが、野営してるって?」

「そのようです。」

「それも、魔の森の深部…って言ったね!?」

 アズがレティの居場所と、ある行動を探し当てると、フレアに伝えることにした。
 レティの行動を見ていたアズは、側に立つ大木が何かと酷似していることに気づくが、詳細までは把握できなかったのだった。

「はい。 詳細までは分かりませんが、大木の近くで野営をしているようです。 大木は森の浅い場所では存在しません。 消去法で深部だと思われます。」

「あの子は、街の外に出たことが無かったと記憶しているんだけどね。」

「いえ。 冒険者ギルドの依頼表にある、常時依頼の薬草採取で森や草原へ行っているのを見たことがあります。 ただフレア様に出会うまでのことでして、最近までこなしていたかは定かでは無いのですが…。」

「当たり前だよ。 あの子には生活できるように、手は尽くしてあるんだ。 ただ野営しているのなら、冒険者ギルドには事前に向かった可能性があるね。」

 冒険者ギルドとして、宮廷魔法薬剤師であるフレアの存在は安易に扱ってよい人物でないため、行動を起こす度、衛兵に報告をしていたのだった。
 そのことに苛つき、冒険者ギルドに薬剤を卸さないようになっていた。

「ええ。 ですが、まず財務卿に問い質した方が…」

「いや、時間が惜しい。 手紙を記して門番に渡して沙汰は王に任せようかね。 出て行く要因を作ってくれた財務卿に感謝だね。」

「はぁ。 きっと捜索の依頼をされるかもしれませんよ? 追手を巻くのに魔の森は好都合ですが、魔の森にはトレントが棲んでいるらしいです。 我々とオリバー一家だけで向かうのですか?」

「そうだよ。 冒険者ギルドは当てにならないだろうから、レティのことを聞いたら即刻出るよ! どうせ、引き留められて時間を潰されるのがオチだ。」

「…ですね。 あちらも仕事なのでしょうけど、もう少し緩く考えてもらえませんかねぇ。」

 そう言いながら、散らかっていた部屋を魔法で片付けていく。
 いつでも出せるように用意していた手紙を懐から出して、後継への引き継ぎを済ませるアズだった。

「とにかく今夜…、と言うには夜が明けてしまったね。 急いで手紙を記して門番に。 いや、衛兵に渡そう。 門番なんて渡したら、即捕まっちまうしな。」

「では私は腕章と身分証に置き手紙を置いて準備を始めましょうか。 これにお書きください。 この紙ならば、閉じた紙を開封できるのは国王のみ。 これで更に時間を延ばせるでしょう。」

「有り難く使わせてもらおう。」

 それから暫くして、出来事を含めた手紙の内容の確認を黙読で済ませ、フレアは封を閉じたのだった。
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