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王太子を無視する
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列に並んだ王太子が手続きを終えるまで、身分の低い子息子女は不興を買わないように立ち回り、王太子の視野に入らないようシェルフォードも続いた。
馬車を降りた王太子を中心に護衛を配置した一行は高位貴族が並んでいた列へと向かっていたが、ふと貴族位や身分が低い子息子女が並んでいた列の一点を振り返って見ていた。
その一点には外套を羽織っていたシェルフォードが子息子女の中で浮いてしまい、王太子の目に留まってしまった。
「殿下。手続きをしなければ・・・。」
「おい、そこのお前。お前だ。ローブを被った、そこの2人組。」
「・・・」
外套を羽織っているシェルフォードだと理解した周囲の子息子女は2人を残して去っていく。
一方、予定外に目を付けられたシェルフォードとメアリーは呼び掛けてくる王太子に嫌気がさして無視を決め込んでいた。
「黙ってないで、こっちを向け!」
「・・・」
「聞こえていないのか。殿下のお言葉だぞ。さっさと、こちらを向かないか!」
だが、諭さなければならないはずの護衛騎士が口を挟んだ事に苛ついたシェルフォードは返事を返す事に方針を変えた。
「うるさいですわ。さっさと手続きをしては如何ですか? 皆さんが列を譲って下さっているのですから、有り難く向かわれては如何でしょうか。」
「ふん、御令嬢か。だが私は王太子だぞ?そんな些細な事に構っているより、強気なお前が気に入った。まだ決めていないが、婚約者のうちの1人にしても良いぞ。私が許可しよう。」
「・・・」
「正しくは婚約者の候補だがな。さあ返答は如何に?ああ、別に返事は今でなくとも良いぞ。」
「ーーわ。」
「何と言った?」
「嫌ですわ、と言いました。私は貴方の婚約者になるつもりは毛頭ありませんわ。」
シェルフォードにとって婚約者候補から手を引いたにも関わらず、そこに戻そうと画策する王太子を軽蔑していた。
この時、シェルフォードは外套を羽織っている事で王太子に誰なのか気付かれていないことを確認しなかった事で、話が拗れるのだった。
「何?私の申し出を断るとでも言うのか。お前は何様のつもりだ。私は王太子だーー」
「では、その王太子殿下がなぜ公衆の面前で話しておられるのでしょう。」
「なっ!? お、王太子だぞ、私は。言って良い事の区別も付けられないのか!?」
「では手続きをしなくてはいけませんから、失礼いたしますわ。」
王太子の座を掲げて、問答無用で拒否をする王太子に見切りを付けたシェルフォードはメアリーを連れて会場へと歩を進めることにした。
「話は終わっていないぞ。おい、護衛!あいつを捕らえろ!」
「いえ。ですが殿下、ここは学園長に問い合わせなければなりません。」
「そんなのは事後処理で良いだろう?」
「いえ、伝えなければ殿下が叱責を受ける事になりますよ?」
「うぐっ。」
一時の出来事の後始末ができない歯痒さに、悔しさで去っていく外套を羽織る2人を手続きする会場に消えるまで睨み続けていた。
「・・・絶対に後悔させてくれる!」
護衛の言葉にさっぱり懲りていない王太子は居なくなった外套の2人を妬みだしていた。
馬車を降りた王太子を中心に護衛を配置した一行は高位貴族が並んでいた列へと向かっていたが、ふと貴族位や身分が低い子息子女が並んでいた列の一点を振り返って見ていた。
その一点には外套を羽織っていたシェルフォードが子息子女の中で浮いてしまい、王太子の目に留まってしまった。
「殿下。手続きをしなければ・・・。」
「おい、そこのお前。お前だ。ローブを被った、そこの2人組。」
「・・・」
外套を羽織っているシェルフォードだと理解した周囲の子息子女は2人を残して去っていく。
一方、予定外に目を付けられたシェルフォードとメアリーは呼び掛けてくる王太子に嫌気がさして無視を決め込んでいた。
「黙ってないで、こっちを向け!」
「・・・」
「聞こえていないのか。殿下のお言葉だぞ。さっさと、こちらを向かないか!」
だが、諭さなければならないはずの護衛騎士が口を挟んだ事に苛ついたシェルフォードは返事を返す事に方針を変えた。
「うるさいですわ。さっさと手続きをしては如何ですか? 皆さんが列を譲って下さっているのですから、有り難く向かわれては如何でしょうか。」
「ふん、御令嬢か。だが私は王太子だぞ?そんな些細な事に構っているより、強気なお前が気に入った。まだ決めていないが、婚約者のうちの1人にしても良いぞ。私が許可しよう。」
「・・・」
「正しくは婚約者の候補だがな。さあ返答は如何に?ああ、別に返事は今でなくとも良いぞ。」
「ーーわ。」
「何と言った?」
「嫌ですわ、と言いました。私は貴方の婚約者になるつもりは毛頭ありませんわ。」
シェルフォードにとって婚約者候補から手を引いたにも関わらず、そこに戻そうと画策する王太子を軽蔑していた。
この時、シェルフォードは外套を羽織っている事で王太子に誰なのか気付かれていないことを確認しなかった事で、話が拗れるのだった。
「何?私の申し出を断るとでも言うのか。お前は何様のつもりだ。私は王太子だーー」
「では、その王太子殿下がなぜ公衆の面前で話しておられるのでしょう。」
「なっ!? お、王太子だぞ、私は。言って良い事の区別も付けられないのか!?」
「では手続きをしなくてはいけませんから、失礼いたしますわ。」
王太子の座を掲げて、問答無用で拒否をする王太子に見切りを付けたシェルフォードはメアリーを連れて会場へと歩を進めることにした。
「話は終わっていないぞ。おい、護衛!あいつを捕らえろ!」
「いえ。ですが殿下、ここは学園長に問い合わせなければなりません。」
「そんなのは事後処理で良いだろう?」
「いえ、伝えなければ殿下が叱責を受ける事になりますよ?」
「うぐっ。」
一時の出来事の後始末ができない歯痒さに、悔しさで去っていく外套を羽織る2人を手続きする会場に消えるまで睨み続けていた。
「・・・絶対に後悔させてくれる!」
護衛の言葉にさっぱり懲りていない王太子は居なくなった外套の2人を妬みだしていた。
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