乙女ゲーには関わらない【休載完結】

青緑 ネトロア

文字の大きさ
17 / 19

王太子を無視する

しおりを挟む
 列に並んだ王太子が手続きを終えるまで、身分の低い子息子女は不興を買わないように立ち回り、王太子の視野に入らないようシェルフォードも続いた。

 馬車を降りた王太子を中心に護衛を配置した一行は高位貴族が並んでいた列へと向かっていたが、ふと貴族位や身分が低い子息子女が並んでいた列の一点を振り返って見ていた。

 その一点には外套を羽織っていたシェルフォードが子息子女の中で浮いてしまい、王太子の目に留まってしまった。

「殿下。手続きをしなければ・・・。」

「おい、そこのお前。お前だ。ローブを被った、そこの2人組。」

「・・・」

 外套を羽織っているシェルフォードだと理解した周囲の子息子女は2人を残して去っていく。

 一方、予定外に目を付けられたシェルフォードとメアリーは呼び掛けてくる王太子に嫌気がさして無視を決め込んでいた。

「黙ってないで、こっちを向け!」

「・・・」

「聞こえていないのか。殿下のお言葉だぞ。さっさと、こちらを向かないか!」

 だが、諭さなければならないはずの護衛騎士が口を挟んだ事に苛ついたシェルフォードは返事を返す事に方針を変えた。

「うるさいですわ。さっさと手続きをしては如何ですか? 皆さんが列を譲って下さっているのですから、有り難く向かわれては如何でしょうか。」

「ふん、御令嬢か。だが私は王太子だぞ?そんな些細な事に構っているより、強気なお前が気に入った。まだ決めていないが、婚約者のうちの1人にしても良いぞ。私が許可しよう。」

「・・・」

「正しくは婚約者の候補だがな。さあ返答は如何に?ああ、別に返事は今でなくとも良いぞ。」

「ーーわ。」

「何と言った?」

「嫌ですわ、と言いました。私は貴方の婚約者になるつもりは毛頭ありませんわ。」

 シェルフォードにとって婚約者候補から手を引いたにも関わらず、そこに戻そうと画策する王太子を軽蔑していた。

 この時、シェルフォードは外套を羽織っている事で王太子に誰なのか気付かれていないことを確認しなかった事で、話が拗れるのだった。

「何?私の申し出を断るとでも言うのか。お前は何様のつもりだ。私は王太子だーー」

「では、その王太子殿下がなぜ公衆の面前で話しておられるのでしょう。」

「なっ!? お、王太子だぞ、私は。言って良い事の区別も付けられないのか!?」

「では手続きをしなくてはいけませんから、失礼いたしますわ。」

 王太子の座を掲げて、問答無用で拒否をする王太子に見切りを付けたシェルフォードはメアリーを連れて会場へと歩を進めることにした。

「話は終わっていないぞ。おい、護衛!あいつを捕らえろ!」

「いえ。ですが殿下、ここは学園長に問い合わせなければなりません。」

「そんなのは事後処理で良いだろう?」

「いえ、伝えなければ殿下が叱責を受ける事になりますよ?」

「うぐっ。」

 一時の出来事の後始末ができない歯痒さに、悔しさで去っていく外套を羽織る2人を手続きする会場に消えるまで睨み続けていた。


「・・・絶対に後悔させてくれる!」

 護衛の言葉にさっぱり懲りていない王太子は居なくなった外套の2人を妬みだしていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【王国内屈指の公爵家の令嬢ですが、婚約破棄される前に婚約破棄しました。元婚約者は没落したそうですが、そんなの知りません】

はくら(仮名)
恋愛
更新はマイペースです。 本作は別名義で『小説家になろう』にも掲載しています。

婚約破棄?結構ですわ。公爵令嬢は今日も優雅に生きております

鍛高譚
恋愛
婚約破棄された直後、階段から転げ落ちて前世の記憶が蘇った公爵令嬢レイラ・フォン・アーデルハイド。 彼女の前世は、ブラック企業で心身をすり減らして働いていたOLだった。――けれど、今は違う! 「復讐? 見返す? そんな面倒くさいこと、やってられませんわ」 「婚約破棄? そんなの大したことじゃありません。むしろ、自由になって最高ですわ!」 貴族の婚姻は家同士の結びつき――つまりビジネス。恋愛感情など二の次なのだから、破談になったところで何のダメージもなし。 それよりも、レイラにはやりたいことがたくさんある。ぶどう園の品種改良、ワインの販路拡大、新商品の開発、そして優雅なティータイム! そう、彼女はただ「貴族令嬢としての特権をフル活用して、人生を楽しむ」ことを決めたのだ。 ところが、彼女の自由気ままな行動が、なぜか周囲をざわつかせていく。 婚約破棄した王太子はなぜか複雑な顔をし、貴族たちは彼女の事業に注目し始める。 そして、彼女が手がけた最高級ワインはプレミア化し、ついには王室から直々に取引の申し出が……!? 「はぁ……復讐しないのに、勝手に“ざまぁ”になってしまいましたわ」 復讐も愛憎劇も不要! ただひたすらに自分の幸せを追求するだけの公爵令嬢が、気づけば最強の貴族になっていた!? 優雅で自由気ままな貴族ライフ、ここに開幕!

婚約破棄されたので田舎で猫と暮らします

たくわん
恋愛
社交界の華と謳われた伯爵令嬢セレスティアは、王太子から「完璧すぎて息が詰まる」と婚約破棄を告げられる。傷心のまま逃げるように向かったのは、亡き祖母が遺した田舎の小さな屋敷だった。 荒れ果てた屋敷、慣れない一人暮らし、そして庭に住みついた五匹の野良猫たち。途方に暮れるセレスティアの隣には、無愛想で人嫌いな青年医師・ノアが暮らしていた。 「この猫に構うな。人間嫌いだから」 冷たく突き放すノアだが、捨て猫を保護し、傷ついた動物を治療する彼の本当の姿を知るうちに、セレスティアの心は少しずつ惹かれていく。 猫の世話を通じて近づく二人。やがて明かされるノアの過去と、王都から届く縁談の催促。「完璧な令嬢」を脱ぎ捨てた先に待つ、本当の自分と本当の恋——。

冷酷侯爵と政略結婚したら、実家がざまぁされました

鍛高譚
恋愛
「この結婚は、家のため。ただの政略結婚よ」 そう言い聞かせ、愛のない結婚を受け入れた公爵令嬢リゼット。 しかし、挙式後すぐに父が「婚約破棄しろ」と命じてきた!? だが、夫であるアレクシス・フォン・シュヴァルツ侯爵は冷たく言い放つ。 「彼女を渡すつもりはない」 冷酷無慈悲と噂される侯爵が、なぜかリゼットを溺愛し始める!? 毎日甘やかされ、守られ、気づけば逃げ場なし! さらに、父の不正が明るみに出て、公爵家は失墜―― リゼットを道具として利用しようとした者たちに、ざまぁの鉄槌が下される! 政略結婚から始まる、甘々溺愛ラブストーリー! 「愛なんてないはずなのに……どうしてこんなに大切にされるの?」

私ではありませんから

三木谷夜宵
ファンタジー
とある王立学園の卒業パーティーで、カスティージョ公爵令嬢が第一王子から婚約破棄を言い渡される。理由は、王子が懇意にしている男爵令嬢への嫌がらせだった。カスティージョ公爵令嬢は冷静な態度で言った。「お話は判りました。婚約破棄の件、父と妹に報告させていただきます」「待て。父親は判るが、なぜ妹にも報告する必要があるのだ?」「だって、陛下の婚約者は私ではありませんから」 はじめて書いた婚約破棄もの。 カクヨムでも公開しています。

二年間の花嫁

柴田はつみ
恋愛
名門公爵家との政略結婚――それは、彼にとっても、私にとっても期間限定の約束だった。 公爵アランにはすでに将来を誓い合った女性がいる。私はただ、その日までの“仮の妻”でしかない。 二年後、契約が終われば彼の元を去らなければならないと分かっていた。 それでも構わなかった。 たとえ短い時間でも、ずっと想い続けてきた彼のそばにいられるなら――。 けれど、私の知らないところで、アランは密かに策略を巡らせていた。 この結婚は、ただの義務でも慈悲でもない。 彼にとっても、私を手放すつもりなど初めからなかったのだ。 やがて二人の距離は少しずつ近づき、契約という鎖が、甘く熱い絆へと変わっていく。 期限が迫る中、真実の愛がすべてを覆す。 ――これは、嘘から始まった恋が、永遠へと変わる物語。

本物聖女の力は無力でした ――見世物レベルの聖女のおかげで婚約破棄されました――**

鷹 綾
恋愛
魔法が存在しないと信じられていた世界に、 突如として現れた「本物の聖女」。 空中浮遊、瞬間移動、念動力―― 奇跡を披露した平民の少女は、たちまち市民の熱狂を集め、 王太子はその力に目を奪われる。 その結果、 王太子の婚約者だった公爵令嬢アストリアは、 一方的に婚約を破棄されてしまった。 だが、聖女の力は―― ・空中浮遊は、地上三十センチ ・瞬間移動は、秒速一メートル ・念動力は、手で持てる重さまで 派手ではあるが、実用性は乏しい。 聖女の力は、見世物レベル。 少なくとも、誰もがそう判断していた。 それでも人々は喝采し、 権威は少女を縛り、 「聖女」という立場だけが一人歩きしていく。 そんな中、婚約破棄された公爵令嬢アストリアは、 ある違和感に気づき始める。 ――奇跡よりも、奪われているものがあることに。 派手な復讐はない。 怒鳴り返しもしない。 けれど静かに、確実に、 “正しさ”は明らかになっていく。 見世物にされた奇跡と、 尊厳を取り戻す少女たちの物語。 ---

ざまぁに失敗したけど辺境伯に溺愛されています

木漏れ日
恋愛
天才魔術師セディが自分の番である『異界渡りの姫』を召喚したとき、16歳の少女奈緒はそれに巻き込まれて、壁外という身分を持たない人々が住む場所に落ちました。 少女は自分を異世界トリップに巻き込んだ『異界渡り姫』に復讐しようとして失敗。なぜかロビン辺境伯は少女も『異界渡りの姫』だと言って溺愛するのですが…… 陰陽の姫シリーズ『図書館の幽霊って私のことですか?』と連動しています。 どちらからお読み頂いても話は通じます。

処理中です...