乙女ゲーには関わらない【休載完結】

青緑 ネトロア

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王太子を拝見する

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 侯爵家で騒動がひと通り落ち着いた頃、気付けばシェルフォードの魔法学園への入学の日が来てしまった。

 しかし侯爵邸の広場にて、既に荷を積み込んだ馬車に乗り込むシェルフォードを止める者が1人立ち塞がっていた。

「シェルよ。今からでも遅くはない、入学は取りやめよう。な?」

「お父様も仰ったではありませんか。学園の入学は貴族に生まれたものの義務なのでございましょう?でしたら、笑顔で見送りなさいませ。」

「しかしーー」

 シェルフォードの言葉に言い返すことのできないガウェインは、何とか思い留まるように動いていたがセバスによって組み伏せられる。

「もうお諦めなさい。既に言ったことを消せないのですから、今は胸を張って見送りなさいな!それとも何ですか。シェルが帰ってこなくても良いのですね?」

「・・・分かった。だから良い加減、離してくれんか。セバス。」

「畏まりました。ですが・・・次はありませんからね?」

「う、うむ、分かったのだ。・・・俺、セバスの主人だよね?」

 呻きながら抗っていたガウェインだったが、カテリアに諭され、静かに見送るのだった。

 その後ろでヴェルフォードは満面の微笑みでシェルフォードを見送りに来ていた。

 学園に入学しても学年が多少違うこと以外は問題がないため、気軽に身構えていた。


 そうして数日経った頃、シェルフォードと専属侍従に鞍替えした元メイド長のメアリーと共に学園へ赴いていた。

「お嬢様。今回はなぜ王太子殿下の予定をお調べになったのですか?」

「少し知っておきたいことがあってね。」

 シェルフォードは前世でやっていた乙女ゲームの攻略情報として、入学するために学園へ赴いた際、出会いイベントなるものが存在していた。

 現在では婚約者候補の中に入っていないが、少しでもイベント等の出会い系には関わらず、更に念を入れて王太子の泊まる宿屋にりげ無く予定を聞き出していた。

 そして聞き出した情報と異なっていたのが、隣の高位貴族用の列に並び、入学手続きが終わった後はそのまま宿屋に戻る、という情報だった。

 乙女ゲームでは手続きが終わると、市場に繰り出すことから不安を抱えていた。

 ただし毎回の条件が婚約者候補に入っている場合に起こるのだが、行くと言い出すのは王太子側なので、そこがシェルフォードの不安だった。

「そうでしたか。しかし最もな事ですね。こちらは婚約者候補の地位を蹴って、他の御令嬢と違って面と向かっては話せない間柄ですし。」

「ええ。・・・さあ、あの列に並ぶわよ?」

「え? ですが、あちらの方が空いておりますし、この列には貴族位の低い方が大勢居られるのですが。」

「ここの列で良いのよ。良いわね?」

「はあ、畏まりました。」

 メアリーと話していたシェルフォードだったが、その場が慌ただしく学園の教師が忙しなく動き回り、その場で話し込んでいた列に並ぶ男子も女子も黙り、静寂に包まれた。

 そして入り口に豪華な馬車が止まったのを見届け、シェルフォードとメアリーは道を開ける為に端へ向かう子息子女と紛れて見られないように羽織ってきていた外套で頭を目深に覆ったのだった。
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