従魔病棟 〜院長のお仕事〜【一話完結】

青緑 ネトロア

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近年きんねん軍内部ぐんないぶ問題視もんだいしされていることがあった。

戦争せんそうえないこの時代じだい負傷者ふしょうしゃはもちろんのことだが死傷者ししょうしゃかぞれないほどおおてしまう。

そのなか従魔契約じゅうまけいやくわした契約者けいやくしゃふくまれていることがある。

従魔契約とは、つよさにかかわらず、魔物まものとおたがいが了承りょうしょうしなければない契約けいやくである。

簡単かんたんな契約でいうと、「家族かぞくになろう」や「仲間なかまになろう」といった内容ないようで契約を交わすものが多いかもしれない。

ある者は魔物がまうもりはいり、そこで出逢であった魔物とえさ対価たいかに契約する者がいた。

ある者は親族しんぞくが契約を交わした従魔から子孫しそんのこすためにひなたくされた者がいた。

ある者は商隊しょうたい護衛中ごえいちゅう怪我けがった魔物に治療ちりょうほどこし、そのおんかえそうと魔物から契約をけれられる者がいた。

契約のかたちは多くあれど、ともきようと契約を交わした者を、ひと一般的いっぱんてきと呼ぶ。

また、契約者と従魔契約を交わした魔物を、人は一般的にと呼ぶ。

そうした従魔契約だが、メリットとデメリットが確認かくにんされている。

従魔契約を交わすと、契約者は従魔と会話かいわができ、従魔は契約者から魔力を供給きょうきゅうされる。

従魔契約は本人同士ほんにんどうしわなければ、契約を解除かいじょすることができない。

魔物は自然しぜんなかで魔力をたし成長せいちょううながすが、従魔は契約を交わしたそのときから契約にとらわれてしまい、契約者からの魔力でしかけられない。

魔獣や従魔にとって、成長や生きるためには魔力が必要不可欠ひつようふかけつだ。

その関係上かんけいじょう、契約者の魔力がよわいと、従魔にあたえられる魔力は極少ごくすくなくなる。

そのため、くにによって一定以上いっていいじょうに成長してから従魔契約を交わすことを義務化ぎむかされている。

閑話休題かんわきゅうだい軍内部ぐんないぶ問題もんだいとなっているのは契約者が戦場せんじょうくなった場合ばあいである。

従魔は契約者から魔力を供給されることで生きていると言っても過言かごんではない。

その契約者がかりに戦場で亡くなると、従魔への魔力供給が途絶え、従魔は身体からだ維持いじできず亡くなってしまうのだ。

中には同族どうぞく同種族どうしゅぞくから魔力をけてもらい、のこる従魔もいるが、大半たいはんもと棲家すみかからているため、それがかなわない従魔が数多かずおお存在そんざいしていた。

契約者でなくとも契約者の血縁者けつえんしゃであれば、魔力を譲渡じょうとすることで代行だいこうすることができる場合もあるが、おたがいの適正てきせい必須ひっす相性あいしょうによって受け付けない従魔もいる。

契約者は軍に入隊時にゅうたいじ、従魔を家族かぞくあずけることか、戦場へ連れて行くことをせまられる。

その中で従魔を連れて入隊にゅうたいした者は、必ずでないが偵察部隊ていさつぶたいなど裏方うらかた役目やくめ配属はいぞくされることが多い。

理由りゆうは、従魔契約を交わした契約者は五感ごかん通常つうじょうよりたか傾向けいこうにあるからだ。

それでもてき部隊ぶたいつかり、襲撃しゅうげきによって負傷ふしょうする者は存在そんざいする。

死傷者ししょうしゃが出ることもある。

そこに契約者がいた場合、魔力供給が途切れ、従魔はただを待つだけの存在になってしまう。

従魔契約をしてから年月ねんげつながい従魔によって、その期間きかん前後ぜんごする。

従魔の中には、契約者をうしなったことが受け入れることが出来できずにあばれてしまう者も、に日に老化ろうか加速かそくしていく者も、主人しゅじんとうと住処すみかからうごかずに待ちつづける者もいる。

軍上層部ぐんじょうそうぶすこしでも被害ひがいすくなく、市民しみん不安ふあんいだかせないために、従魔専用せんよう病棟びょうとうつくり、契約者の遺族いぞく管理者かんりしゃ意向いこう収容しゅうようすることがめられた。

時間じかん指定してい上限じょうげんもうけられているが、遺族の面会めんかい可能かのうで、えさくすりは全て国から配給はいきゅうされる。

人々ひとびとは病棟に歓喜かんきして寄付きふする者もいたが、遺族にとっては最期さいごのこされた家族を手放てばなすようでことわる者も少なくなかった。

ある時、病棟の院長いんちょう就任しゅうにんしたおとこ存在そんざいによって、それまで遺族らが手放さなかった従魔を預ける者があらわれるようになる。

従魔病棟じゅうまびょうとうの院長に就任しゅうにんした男のは、ビルファスといった。


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ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
今話では、お試しで読み仮名を入れてみました。
誤字・脱字・感想などありましたら、コメントをよろしくお願いします。
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