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VOL1 「出発」

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世界はオモロイ」3部作
第1部 転生のアメリカ編(1990年)
第2部 驚愕のニュージーランド編(1997年)
第3部 流浪のヨーロッパ編(2004年)

全部で100話ちょいです。



海外ひとり旅やったことありますか?

まだケータイもネットも
普及していない時代。
最初のアメリカ周遊は
ほお~んまにドキドキした。
シ、 ゲ、 キ、 っ ♥


ー転生のアメリカ編  VOL1ー
「出発」
大阪~ロスアンゼルス 1990年3月

27才、、、、。
高校の体育と保健の講師を3年、
スイミングコーチを2年して退職。
初めてプータローになった。
将来には何の予定もない。
「とりあえずいっぺん外国へ
行ってみよう。
何をするにしても今しかゆったり
海外旅行なんてでけへんやろうし。」
行き先は、、、、簡単に決まった。
「アメリカや。」
テレビや映画で見てきたいろんな
アメリカの風景に憧れていた。
ホンモノを体験するんや。
全部自分で計画して、ひとりで行く!
往復の航空券とデルタ社の
スタンバイパスだけを手配した。
あとは行きあたりばったりだ。

スタンバイパスとは空港で
搭乗者全員がチェックインして
まだ席が空いていたら
乗せてもらえるというもの。
乗れるかどうかは全くわからない。
乗れなかったらまた別の飛行機で
トライするということになる。
不確実きわまりないが安い。
デルタの国内線ならどれにでも
60日間何回でも乗れる。
これでたった$400
(当時で約6万円)だ。
すいてる時期ならまあいけるやろう
という考えでこれでアメリカを
周遊することにした。
(2023年現在このパスは
もう存在しないかも。)

「地球の歩き方」。
同級生に借りたこのガイドブックが
情報源の全てだ。
さあ、どの街に行こか?
スタンバイパスで好きな所へ
好きな期間行ける。
なんという解放感。
今の俺にピッタリのスタイルだ。
ひとり旅は大学時代に400ccの
バイクで紀伊半島を2泊で一周した
以外やったことがない。
3、4週間ほどでロスアンゼルス、
サンフランシスコ、ラスベガス、
グランドキャニオン、
ニューオーリンズ、ニューヨークを
廻ってみようかな。

シンガポール航空で
伊丹空港からロスアンゼルスへ。
(1990年当時まだ関空はない)
民族衣装のきれいなCAにうっとり。
ひたすら夜を越えて飛んでいく。
何時間経っても、何度窓の外を見ても
真っ暗だ。
夜が明けてもずっと海しかない。
「ホンマにあっちに行ったら
陸地があるんやろか?」
マジでそんなことを考えてしまった。
そして遂に陸地が見えた。
北アメリカ大陸や!

ロスアンゼルス空港ー。
飛行機から降りて、荷物を受け取って
出口に向かってふと気付くと
まわりは全部ガイジンになっていた。
ここで初めて現実を実感して
緊張した。
「そーかあ、
ここでは俺自身がガイジンなんや。」
空港を出ると3月でもふわっと吹く
風が大阪と違ってすごくあったかい。
それになんともいえない
外国っぽい(?)匂いがする。
「これがアメリカかあ!!」

俺の外国への強烈な第一印象は
この「匂い」だった。
かつて経験のない本能的な感覚に
支配される。
誰ひとり知り合いのいないこの場所で
未知へのひとり旅が今、始まったあ!

(次回「イナズマヘッド」に続く)
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