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VOL7 「乗れるの? 乗れないの?」

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ー転生のアメリカ編 VOL7ー
「乗れるの? 乗れないの?」
ロスアンゼルス~サンフランシスコ
1990年3月

さあ、いよいよ初めて
「スタンバイパス」を使って
アメリカ国内線に乗ることになった。
サンフランシスコ行き出発ゲートの
カウンターで受付を済ませた後、
空港内のバーでビールを飲んだりして
搭乗20分くらい前にゲートに戻ると
搭乗が始まり、バックパッカー達が
4、5人カウンターの近くに残った。
ははあ、コイツらも俺と同じような
格安スタンバイパスを持ってるなっ。
ちゅうことは、むむっ!ライバルか!

まえにも書いたがスタンバイパス
というのは一般の搭乗券の乗客が
全員乗り終わってさらに空席が
まだあれば乗せてもらえるという
実にビミョおーな、シビアな、
ハラハラドキドキ、大丈夫かな、
お願いよ、うっふうーん的な
スリリングなシロモノなのである。
もしかしたらコイツらが乗れて、
俺はアカンかもしれない。
受験発表の結果を待つみたいな
気持ちで時間は過ぎていく。

もう出発時刻5分前というのに
まだ乗れるかどうかわからない。
じれったくなってカウンターの
オニイサンのところへ行って
「ど、どうやねん?」
って訊いたら、
「まだわかりません、
座っててください。どおどお。」
とたしなめられた。
せっかくこうして空港まで来て
「残念でしたっ。またドーゾおー!」
って軽やかに言われたらたまらんなあ。
その場合はまたダウンタウンか
どっかへ戻って今日の宿を探して、
明日またここへ来て
サンフランシスコ行き搭乗に
トライするか、又は行き先を変更して
あと何時間か後のラスベガス行きに
トライするかだ。
どっちにしてもかなりメンドーだ。

出発時刻を3分ほど過ぎて
やっと名まえを呼ばれた。
「ハイハイハイハイっ!」
飛行機は俺とライバルたちを乗せた直後
あっという間に離陸したのであった。
ふうううーー。
ま、まずは1勝だぜえー。
(この旅行で合計5回このパスで
トライして結局は全部乗れた。
時期や場所によるけど、ビンボーでも
時間の余裕はあるというなら試すべし。
期間中その航空会社のどの国内線でも
トライできる。
アラスカやハワイ便もあった。
’90当時、アメリカン、
ノースウェスト、USエアーなど
いくつかの航空会社が3、4回搭乗分
のパスを発行していて、
俺は60日間、回数無制限で
料金も他社と差がない
400ドル=当時約6万円という
デルタ社のパスを選んだ。

フシギなことに今まで日本人で
このパスを使って旅行してるのを
見たり聞いたりしたことは
なぜかいっぺんもないけど。)
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