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VOL10 「蜃気楼の街?」

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ー転生のアメリカ編 VOL10ー
「蜃気楼の街?」
ラスベガス 1990年3月

き、き、き、来てしまった!
ラスベガス!
子どもの頃、近所のタダオちゃんの
ウチで人生ゲーム、モノポリー、
トランプ、そしてなぜか
「ルーレット」をよくやった。
皆で赤、青、黄、緑などの
オモチャのチップをはり、
「親」が赤と黒の数字が交互に並ぶ
ホイールを回す。
小さな白い玉が跳ねるのを
見つめていると
ドキドキしてくるのだった。
テレビでカジノの様子を見るたびに、
いつかあそこでホンモノのチップで
ホンモノのホイールで勝負してやる!
となぜかコーフンしていた。
そしてこの旅行でラスベガスに
来ることはトーゼンながら
ひとつの大きなテーマとなっていた。

空港に降り立つとすでにそこには
スロットマシンが整然と並び、
旅行者らがチャレンジしている。
「さ、さすがギャンブル公認の
ネバダ州や!」
(アメリカは州によって法律や
条例が異なる。
今ではパチンコ屋にフツーにあるけど
当時の日本には喫茶店などが
違法に置いている以外は
スロットマシンはまだなかった。
ちなみにここでは当然1、5、
25セント、1ドル硬貨などの
現金でプレイする。)

はやるココロを押さえシャトルバスで
目当てのモーテルに向かう。
広いきれいな部屋で、ローカに絨毯、
中庭にはプール。
こ、これで1泊たった20ドル!?
サンタモニカではもっと
ちゃっちいとこで
70ドル以上やったぞお!
さらに大通りに立ち並ぶ数千の
部屋数を誇る巨大ホテル群の迫力は
まさに圧巻!!である。

この世界有数の歓楽街の収入源の
大部分はカジノから成り立つ。
各ホテルは競って豪華な雰囲気で
内外装を奇抜なものにしたり、
ミニ遊園地を設置したり、
凝ったアトラクションを演出したり、
ボクシングの世界タイトルマッチ
などのビッグイベントを開催
したりして個性を前面に押し出す。
さらに宿泊、ビュッフェ
(日本でいうバイキング)、
ショーなどの料金を格安に設定し、
集客効果を高める。
結果、大部分の客はそのホテルの
1階にあるカジノで負けて、
お金を落としてゆくことになる。
カジノの莫大な収益を考えての
経営方針と言えるであろう。

それにしてもなんてことだ。
「暑い」ではないかっ!?
建物内はどこでも冷房が効いている。
プールサイドではサングラスをかけた
ペアがビーチチェアーに
寝そべっている。
まだ3月だというのに。
さすが砂漠の中に造られた街だ。

砂以外何もない荒野にこの街を
造ることを突然思い立ち、
水、ガスを引き、発電し、
第1号のホテル
「フラミンゴ ヒルトン」を建てる
計画を率先したイカレた男の
実話の映画をあとで観た。
「バグジー」だ。
野望、マフィア、金、裏切る美女。
いつかここを訪ねるつもりなら
この映画を観るのも
いいかもしれないよっ。
ちなみに「カジノ」もおもしろい。

ここの世界はもちろん現実なのに、
時々ホントは実在していないような
非現実的な印象を与えられるのは
俺だけだろうか?
目が覚めたらここには超豪華な
巨大ホテル群もなく
楽しそうな人々もいない。
虚無の世界、、、、。
砂漠の蜃気楼、、、、。
なんとなくそんな所に
迷い込んでしまったような
フシギな感覚。
まさかこの街でその後のジンセイが
大きく狂い始めることになるとは
この時の俺には知るよしも
なかったのだ、、、、。

(次回「憧れのルーレット」に続く)
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