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誕生編
第2話「ツン全開!!!マジパティ・ソルベ登場!」②
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「ドタドタドタ…」
カフェ「ルーヴル」の中が騒がしくなり始めた。というのも、いつまでもオーナーが起きてこない事を不審に思ったトルテが、大慌てで2階から3階に駆け上りだしたのである。トルテは大慌てで家主の寝室を開けるが、そこは既に起床した形跡を残したまま無人の状態だった。確認に隣にあるトルテの部屋も開けるが、誰もいない…その時、トルテはバスルームから誰かが出てくるような音を聞き取った。
「ガチャッ…」
トルテがバスルームのドアを開けると、そこにいたのは20代の青年ではなく、頭にタオルを巻いた湯上りの20代前半の女性で、どことな~~~~~~くトルテが捜している人物と似ているように見えるが、トルテと女性が目が合った刹那、女性の頭に巻いていたタオルはほどけ、ほどけたタオルから炎のような真紅のロングヘアがなびき始めた。この女性こそ…
「姉御ォォォォォオオオオオオオオ!!!!!」
本来の姿に戻ったシュトーレンの前に、トルテは今の状況に目もくれず、思わず肩を震わせる。
「炎のような美しい赤髪…甲冑に隠された麗しい肢体…そして…艶やかなおみ足…このトルテ、姉御に再びお会いできるとは!!!!!!!!」
その喜びも束の間、トルテの頬にグーパンチが炸裂した。
「んごっ…」
暫くしてトルテが起き上がると、そこにはパステルグリーンのハイネックシャツにジーンズというカジュアルなスタイルに着替えを済ませたシュトーレンが仁王立ちをしていた。彼女はどことなーーーーーーーーーーーく機嫌がよろしくない。
「姉御…そのお姿もとてもよく…」
トルテのセリフを遮るかのように、シュトーレンはA4サイズほどの1枚のコピー用紙をトルテに突きつける。そこには一悟のデータが記されていた。
「サン・ジェルマン学園中等部2年A組出席番号15番、千葉一悟…昨日のカオスイーツの件での重要参考人。大至急連れて来て欲しいんだけど…」
表情はにこやかではあるが、声が男の姿の時の声で、なおかつ背後にのぞきに対する怒りのオーラをまとっている以上、トルテができることは…
「さっさと連れて来ーーーーーーーーーーーーーーーーいっ!!!!!!!!!!」
住居用玄関から、トルテはシュトーレンによって思いっきり蹴り飛ばされたのだった。
瀬戌警察署にはマスコミが何人もいたが、一悟はうまい具合にマスコミの視線を避けつつ、警察署に入った。受付を済ませ、父親のいる課に案内されると、一悟は父親に母親から預かっている荷物を手渡した。
「はい、母ちゃんからの荷物。」
「ありがとう、一悟。やっぱり出前よりも、江利花さんの愛妻弁当が活力湧くんだよなー…」
一悟の父・千葉英雄は荷物の中のお弁当の包みを見るなり、目を輝かせた。一悟の父は一悟とは今日中に帰れるかどうか話した後、再び仕事へと戻った。一悟も警察署から出て、再び自転車に跨る。今度は自転車と同じ色のヘルメットをかぶる。一悟を小学生だと思い込んで説教したがる交通課の婦警達が、瀬戌警察署で仕事をしているのを確認したからだ。ヘルメットをかぶり終えると、一悟は慣れたかのように瀬戌警察署の敷地をあとにした。
生徒会長不在の中、今年度のサン・ジェルマン学園中等部の入学式がトラブルなく無事に終わり、生徒会のメンバー達での片付けを終えた書記の氷見雪斗は学園近くの坂を下りながらいら立ちを感じていた。それは今日の入学式のことでも、生徒会のことでもなく、1人のクラスメイトに対してだった。
2年生でありながら、「中等部に空手部がないから」というわけのわからない理由を付けて強制である部活に入ろうとしないわ、1人の女子生徒と一緒にいることが多いわ、雪斗が口を開けば、すぐ口答えをするわ…それでも、雪斗は彼が気がかりだった。唯一東京の私立小学校からサン・ジェルマン学園中等部にやってきた雪斗には、小学校からの友人が1人も居らず、すぐに他の生徒と打ち解ける彼がとても羨ましくもあり、妬むこともあった。その生徒こそ…
「千葉…一悟…」
「えっ!?彼のこと知ってるんスか?」
雪斗の呟きに、トルテが反応した。
トルテは雪斗に「一悟に会いたがっている人物がいる」ということを説明するが…
「残念だったな!そいつよりも一番僕が千葉一悟に会いたがっている!!!そう簡単に譲るまい!!!!!」
雪斗はトルテに対して上から目線の如く、答えた。トルテは一悟が女の子なのかと疑い掛けるが、シュトーレンに渡された一悟のデータにある写真がサン・ジェルマン学園中等部の男子制服姿であることから、「それはない」と思うと同時に、雪斗の性癖を疑った。
坂の終わりの所で、2人は赤い自転車に乗っている少年に会った。その人物こそ…
「見つけた!!!千葉一悟っ!!!!!」
「げげっ…氷見…雪…斗…」
警察署での用事を済ませ、自宅まで自転車を置きに行こうとする所で、一悟にとっては「休みの日に一番会いたくない人物第1位」の氷見雪斗と出くわしてしまったのだった。雪斗の後ろには金髪の青年がいるが、初対面のため傍に雪斗がいる現在、どう応対していいのか一悟にはわからなかったが…
「待て!!!!!逃げるなっ!!!」
「せっかくの休みの日に、会いたくねぇ相手と鉢合わせなんて、まっぴらごめんだーーーーーーーーーーーー!!!!!」
一悟は思いっきりペダルを踏み、再び自転車をこぎ始めた。しかし、雪斗も執念深く一悟を追いかける。そんな様子をリュックの中で聞いていたココアは「ニヤリ」と笑い、リュックから顔を半分ほど出すや否や、無言で雪斗に向かってココアパウダーをふりかけた。
「けほっ…けほっ…待…て…」
突然のココアパウダーテロにむせる雪斗の視界がひらけた時には、既に一悟の姿はなく、そこには一悟が乗っていたはずの自転車が乗り捨てられていた。
「え…えと…」
気が付くと、一悟は木苺ヶ丘中央公園の公衆トイレの裏にいた。そんな一悟の前にはトルテが立っている。
「千葉…一悟くんっスよね?俺っちはトルテ!昨日のカオスイーツの事で、君の事を捜していたんスよ。ココアも、ラテも久しぶりっス!」
トルテが軽く自己紹介をすると、一悟のリュックからココアとラテが同時に飛び出した。
「トルテ!!!!!」
「し…知り合い?」
「姉御…いや、勇者様の手助けをし合っていた仲間っス。」
トルテの言葉に2人は頷くが…それと同時に、ものすごく執念深いオーラが近づいている感覚も覚え、一悟に至っては悪寒が走る…
「出たあああああああああああああああああああ!!!!!」
突然自分の方を振り向くなり、驚きの声を上げる一悟の姿に、雪斗もまた驚いた。
怖がらせるつもりなんてなかった…ただ、少しだけでも一悟と話がしたかった…それなのに一悟の前ではつい強がりだす…雪斗はそんな自分に苛立ちを隠せなかった。
「うわああああああああああああああ」
そんな雪斗の背後から、彼にとって非常に聞き覚えのある声が聞こえた。一悟達も声のする方向へ向かうと、そこには氷漬けにされた公園の利用者達と、巨大なアイスキャンディーのカオスイーツ…そして…
「ムッシュ・エクレール!!!!!」
「フハハハハ!!!!覚えていてくれて光栄だな!ピンクのマジパティ!!!今日の私の下僕は、昨日のようにはいかんぞ!!!!!!」
一悟に名前を呼ばれたムッシュ・エクレールは、笑いながら電灯の上に立っている。自分以外の人物を睨みつける一悟の姿に、雪斗は何が何だかわからなかったが、状況は読めた。散歩中の雪斗の母と弟、妹を含めたこの公園の利用者達が、巨大な化け物の手によって氷漬けにされてしまったということを…
「氷見…お前は逃げろ…」
「な、なにを…それなら、お前も逃げるべきだろ!!!」
一悟の言葉に、雪斗が反論した。
「馬鹿野郎!!!氷漬けになりてぇのか?」
「違う!僕は…」
「だったら、なんだよ…背の低い俺に対するイヤミか?マウントとるつもりか?無理矢理俺に張り合おうとでもしてんのか?」
イヤミでもなくば、一悟と張り合うつもりなんてない…でも、今まで見たことのない一悟の表情に雪斗は一切の言葉が出なかった。
「とにかく、俺は今…お前と言い争うヒマはねぇっ!!!!!化け物の餌食になりたきゃ勝手にしろっ!!!!!」
そう言いながら、一悟はクラスメイトの前でブレイブスプーンを天に掲げた。
「マジパティ・スイート・トランスフォーム!!!!!」
ブレイブスプーンから放たれた光に、雪斗は思わず右腕で両目をかばった。いつも言い争ってばかりのクラスメイトの姿が長身の少女の姿へと変身する様子に、雪斗は言葉を失った。髪はピンク色のロングヘアに変わり、ピンクを基調としたコスチュームに身を包み…童顔低身長の少年が戦うヒロインへと変身する様子は、雪斗にとって目の離せない光景である。光がおさまると、そこにはクラスメイトの千葉一悟ではなく…
「ピンクのマジパティ・ミルフィーユ!!!!!禍々しい混沌のスイーツ、勇者の力で木っ端微塵にしてやるぜ☆」
「そ…そん…な…」
雪斗は頬をつけりかけようとするが、嘘ではない。目の前にいる氷漬けにされた家族、そしてヒロインに変身して化け物と戦うクラスメイト…逃げようにも、雪斗は腰が抜けて動けなかった。
「笑わせてくれる!!!カオスイーツ、マジパティをカチンコチンにしてしまえ!!!!」
ムッシュ・エクレールの言葉に反応するかのように、フローズンカオスイーツは口から冷気を吐き出した。
「ぐっ…」
「ぴえっ…」
「さぶさぶさぶさぶさぶさぶ…」
「あ…姉…姉御に…」
ミルフィーユは雪をかぶりつつもなんとか耐え凌ぐが、ラテ、ココア、トルテは瞬く間に氷漬けとなってしまった。雪斗はミルフィーユのすぐ後ろで腰を抜かしていたこともあり、カオスイーツの冷気からは免れた。
「でやあああああああああああああっ!!!!!」
ミルフィーユは何度もフローズンカオスイーツに突きや蹴りを加えるが、氷に亀裂は入っても、なかなか砕けようとはしない。
「フハハハハ!!!無駄無駄無駄ァッ!!!!!」
ミルフィーユはもう一度体制を立て直し、今度は足元を狙おうとするが…
「ドゴッ…」
ミルフィーユグレイブを出そうとしたところで、ミルフィーユはカオスイーツの攻撃を許してしまった。
「ぐはっ…」
腹部に一撃を受けたミルフィーユは、地面に叩きつけられる。
「くっ…」
今度は飛び上がってカオスイーツに蹴りを入れようとするが、カオスイーツはミルフィーユの足を掴み、勢いよく地面に叩きつけた。
「いちごんっ!!!!!!!」
叩きつけられたミルフィーユが起き上がろうとする隙も与えないかの如く、カオスイーツはミルフィーユの手足を凍らせ、動きを封じた。
「くっ…動けねぇ…」
とうとう何をすることもできなくなった満身創痍のミルフィーユに向かって、カオスイーツはミルフィーユに氷の刃を向け、その勢いで咽元に刃を突き刺そうとする…
カフェ「ルーヴル」の中が騒がしくなり始めた。というのも、いつまでもオーナーが起きてこない事を不審に思ったトルテが、大慌てで2階から3階に駆け上りだしたのである。トルテは大慌てで家主の寝室を開けるが、そこは既に起床した形跡を残したまま無人の状態だった。確認に隣にあるトルテの部屋も開けるが、誰もいない…その時、トルテはバスルームから誰かが出てくるような音を聞き取った。
「ガチャッ…」
トルテがバスルームのドアを開けると、そこにいたのは20代の青年ではなく、頭にタオルを巻いた湯上りの20代前半の女性で、どことな~~~~~~くトルテが捜している人物と似ているように見えるが、トルテと女性が目が合った刹那、女性の頭に巻いていたタオルはほどけ、ほどけたタオルから炎のような真紅のロングヘアがなびき始めた。この女性こそ…
「姉御ォォォォォオオオオオオオオ!!!!!」
本来の姿に戻ったシュトーレンの前に、トルテは今の状況に目もくれず、思わず肩を震わせる。
「炎のような美しい赤髪…甲冑に隠された麗しい肢体…そして…艶やかなおみ足…このトルテ、姉御に再びお会いできるとは!!!!!!!!」
その喜びも束の間、トルテの頬にグーパンチが炸裂した。
「んごっ…」
暫くしてトルテが起き上がると、そこにはパステルグリーンのハイネックシャツにジーンズというカジュアルなスタイルに着替えを済ませたシュトーレンが仁王立ちをしていた。彼女はどことなーーーーーーーーーーーく機嫌がよろしくない。
「姉御…そのお姿もとてもよく…」
トルテのセリフを遮るかのように、シュトーレンはA4サイズほどの1枚のコピー用紙をトルテに突きつける。そこには一悟のデータが記されていた。
「サン・ジェルマン学園中等部2年A組出席番号15番、千葉一悟…昨日のカオスイーツの件での重要参考人。大至急連れて来て欲しいんだけど…」
表情はにこやかではあるが、声が男の姿の時の声で、なおかつ背後にのぞきに対する怒りのオーラをまとっている以上、トルテができることは…
「さっさと連れて来ーーーーーーーーーーーーーーーーいっ!!!!!!!!!!」
住居用玄関から、トルテはシュトーレンによって思いっきり蹴り飛ばされたのだった。
瀬戌警察署にはマスコミが何人もいたが、一悟はうまい具合にマスコミの視線を避けつつ、警察署に入った。受付を済ませ、父親のいる課に案内されると、一悟は父親に母親から預かっている荷物を手渡した。
「はい、母ちゃんからの荷物。」
「ありがとう、一悟。やっぱり出前よりも、江利花さんの愛妻弁当が活力湧くんだよなー…」
一悟の父・千葉英雄は荷物の中のお弁当の包みを見るなり、目を輝かせた。一悟の父は一悟とは今日中に帰れるかどうか話した後、再び仕事へと戻った。一悟も警察署から出て、再び自転車に跨る。今度は自転車と同じ色のヘルメットをかぶる。一悟を小学生だと思い込んで説教したがる交通課の婦警達が、瀬戌警察署で仕事をしているのを確認したからだ。ヘルメットをかぶり終えると、一悟は慣れたかのように瀬戌警察署の敷地をあとにした。
生徒会長不在の中、今年度のサン・ジェルマン学園中等部の入学式がトラブルなく無事に終わり、生徒会のメンバー達での片付けを終えた書記の氷見雪斗は学園近くの坂を下りながらいら立ちを感じていた。それは今日の入学式のことでも、生徒会のことでもなく、1人のクラスメイトに対してだった。
2年生でありながら、「中等部に空手部がないから」というわけのわからない理由を付けて強制である部活に入ろうとしないわ、1人の女子生徒と一緒にいることが多いわ、雪斗が口を開けば、すぐ口答えをするわ…それでも、雪斗は彼が気がかりだった。唯一東京の私立小学校からサン・ジェルマン学園中等部にやってきた雪斗には、小学校からの友人が1人も居らず、すぐに他の生徒と打ち解ける彼がとても羨ましくもあり、妬むこともあった。その生徒こそ…
「千葉…一悟…」
「えっ!?彼のこと知ってるんスか?」
雪斗の呟きに、トルテが反応した。
トルテは雪斗に「一悟に会いたがっている人物がいる」ということを説明するが…
「残念だったな!そいつよりも一番僕が千葉一悟に会いたがっている!!!そう簡単に譲るまい!!!!!」
雪斗はトルテに対して上から目線の如く、答えた。トルテは一悟が女の子なのかと疑い掛けるが、シュトーレンに渡された一悟のデータにある写真がサン・ジェルマン学園中等部の男子制服姿であることから、「それはない」と思うと同時に、雪斗の性癖を疑った。
坂の終わりの所で、2人は赤い自転車に乗っている少年に会った。その人物こそ…
「見つけた!!!千葉一悟っ!!!!!」
「げげっ…氷見…雪…斗…」
警察署での用事を済ませ、自宅まで自転車を置きに行こうとする所で、一悟にとっては「休みの日に一番会いたくない人物第1位」の氷見雪斗と出くわしてしまったのだった。雪斗の後ろには金髪の青年がいるが、初対面のため傍に雪斗がいる現在、どう応対していいのか一悟にはわからなかったが…
「待て!!!!!逃げるなっ!!!」
「せっかくの休みの日に、会いたくねぇ相手と鉢合わせなんて、まっぴらごめんだーーーーーーーーーーーー!!!!!」
一悟は思いっきりペダルを踏み、再び自転車をこぎ始めた。しかし、雪斗も執念深く一悟を追いかける。そんな様子をリュックの中で聞いていたココアは「ニヤリ」と笑い、リュックから顔を半分ほど出すや否や、無言で雪斗に向かってココアパウダーをふりかけた。
「けほっ…けほっ…待…て…」
突然のココアパウダーテロにむせる雪斗の視界がひらけた時には、既に一悟の姿はなく、そこには一悟が乗っていたはずの自転車が乗り捨てられていた。
「え…えと…」
気が付くと、一悟は木苺ヶ丘中央公園の公衆トイレの裏にいた。そんな一悟の前にはトルテが立っている。
「千葉…一悟くんっスよね?俺っちはトルテ!昨日のカオスイーツの事で、君の事を捜していたんスよ。ココアも、ラテも久しぶりっス!」
トルテが軽く自己紹介をすると、一悟のリュックからココアとラテが同時に飛び出した。
「トルテ!!!!!」
「し…知り合い?」
「姉御…いや、勇者様の手助けをし合っていた仲間っス。」
トルテの言葉に2人は頷くが…それと同時に、ものすごく執念深いオーラが近づいている感覚も覚え、一悟に至っては悪寒が走る…
「出たあああああああああああああああああああ!!!!!」
突然自分の方を振り向くなり、驚きの声を上げる一悟の姿に、雪斗もまた驚いた。
怖がらせるつもりなんてなかった…ただ、少しだけでも一悟と話がしたかった…それなのに一悟の前ではつい強がりだす…雪斗はそんな自分に苛立ちを隠せなかった。
「うわああああああああああああああ」
そんな雪斗の背後から、彼にとって非常に聞き覚えのある声が聞こえた。一悟達も声のする方向へ向かうと、そこには氷漬けにされた公園の利用者達と、巨大なアイスキャンディーのカオスイーツ…そして…
「ムッシュ・エクレール!!!!!」
「フハハハハ!!!!覚えていてくれて光栄だな!ピンクのマジパティ!!!今日の私の下僕は、昨日のようにはいかんぞ!!!!!!」
一悟に名前を呼ばれたムッシュ・エクレールは、笑いながら電灯の上に立っている。自分以外の人物を睨みつける一悟の姿に、雪斗は何が何だかわからなかったが、状況は読めた。散歩中の雪斗の母と弟、妹を含めたこの公園の利用者達が、巨大な化け物の手によって氷漬けにされてしまったということを…
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「な、なにを…それなら、お前も逃げるべきだろ!!!」
一悟の言葉に、雪斗が反論した。
「馬鹿野郎!!!氷漬けになりてぇのか?」
「違う!僕は…」
「だったら、なんだよ…背の低い俺に対するイヤミか?マウントとるつもりか?無理矢理俺に張り合おうとでもしてんのか?」
イヤミでもなくば、一悟と張り合うつもりなんてない…でも、今まで見たことのない一悟の表情に雪斗は一切の言葉が出なかった。
「とにかく、俺は今…お前と言い争うヒマはねぇっ!!!!!化け物の餌食になりたきゃ勝手にしろっ!!!!!」
そう言いながら、一悟はクラスメイトの前でブレイブスプーンを天に掲げた。
「マジパティ・スイート・トランスフォーム!!!!!」
ブレイブスプーンから放たれた光に、雪斗は思わず右腕で両目をかばった。いつも言い争ってばかりのクラスメイトの姿が長身の少女の姿へと変身する様子に、雪斗は言葉を失った。髪はピンク色のロングヘアに変わり、ピンクを基調としたコスチュームに身を包み…童顔低身長の少年が戦うヒロインへと変身する様子は、雪斗にとって目の離せない光景である。光がおさまると、そこにはクラスメイトの千葉一悟ではなく…
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「でやあああああああああああああっ!!!!!」
ミルフィーユは何度もフローズンカオスイーツに突きや蹴りを加えるが、氷に亀裂は入っても、なかなか砕けようとはしない。
「フハハハハ!!!無駄無駄無駄ァッ!!!!!」
ミルフィーユはもう一度体制を立て直し、今度は足元を狙おうとするが…
「ドゴッ…」
ミルフィーユグレイブを出そうとしたところで、ミルフィーユはカオスイーツの攻撃を許してしまった。
「ぐはっ…」
腹部に一撃を受けたミルフィーユは、地面に叩きつけられる。
「くっ…」
今度は飛び上がってカオスイーツに蹴りを入れようとするが、カオスイーツはミルフィーユの足を掴み、勢いよく地面に叩きつけた。
「いちごんっ!!!!!!!」
叩きつけられたミルフィーユが起き上がろうとする隙も与えないかの如く、カオスイーツはミルフィーユの手足を凍らせ、動きを封じた。
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「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」
「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」
「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」
「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」
「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」
「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」
「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」
俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。
「その…鎧と剣は?」
「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」
「今迄って…今回が2回目では無いのか?」
「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」
俺はうんざりしながら答えた。
そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。
いずれの世界も救って来た。
そして今度の世界は…?
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昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°.
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