激甘革命!マジパティ(分割版)

夜ノ森あかり

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誕生編

第4話「ソルベの危機!マカロンの甘ーい罠にご用心♪」①

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「今です、ミルフィーユ!!!!!」

 木苺ヶ丘きいちごがおか地区とくるみの地区の境目にある河川敷で、プディングがプディングワンドでチョコレートのカオスイーツの動きを止めている。そのプディングの背後から、ミルフィーユがミルフィーユグレイブを持って飛び上がる。

「行くぜぇっ!!!!!」

 カオスイーツに飛び掛かったと同時に、ミルフィーユは長薙刀なぎなたの刃先をカオスイーツに突きつけた。



「ミルフィーユパニッシュ!!!!!」



 ミルフィーユグレイブがカオスイーツの中央部を貫いた。その刹那せつな、カオスイーツは光の粒子となって浄化される。カオスイーツが消えたと同時に、カオスイーツが破壊した個所は、汚染した部分は瞬く間に元通りに復元される。

「勇者の魂は…」

「本日も晴天なり♪」

 チョコレートドリンクのような液体となった川が元通りになった事で、カオスイーツに動きを封じられた人々は歓声を上げた。







 みるくがマジパティになって2週間が経った。雪斗ゆきとは相変わらずの態度ではあったが、一悟いちごにとっては雪斗と衝突するよりも幼馴染おさななじみと一緒に戦えるという事が何よりも嬉しかった。後方からその時のカオスイーツの弱点を調べ、どっちが狙うかその時の条件によって変える。ミルフィーユとプディングは名コンビであった。

「聞いたか?昨日斜瑠々しゃるる川の河川敷に現れたチョコレートの怪物…」

「知ってる!!!あれもマジパティが退治してくれたんでしょ?」

「プディングとミルフィーユって、めちゃくちゃ息が合ってるよねー。」

 通行人がミルフィーユとプディングの話をするたび、ブレイブスプーンを握りしめる雪斗の表情はくもる。本来なら、そこに自分も加わる筈だった。だが、加わる機会もすべて雪斗自身、一悟の前で強がって突っぱねてしまい、その機会を次々と逃してしまう…これほど一悟を気にかけていても、みるくのように振舞う事なんて今の雪斗にとっては理解しがたいことだ。挙句の果てには、今朝の弟の言葉…





「あのピンクのポニーテールのお姉ちゃん、また大活躍なの?カッコいいー!!!」





 祖父が読んでいた朝刊の一面に、ミルフィーユの姿が写っていて、その写真に弟は目をキラキラさせた。雪斗の弟・冷斗れいとは特撮ヒーローが大好きで、特に戦隊ヒーローシリーズは毎週欠かさず見ている。



「僕だって…マジパティなのに…」



 ブルーのマジパティ・ソルベもとい、氷見ひみ雪斗の苦悩がなくなる日は、果たして何時になるのだろう…







「あずき様、最近千葉ちば一悟とよくお話になられるようですけど…」



 2年B組の教室で、雪斗のファンクラブの会員で、あずきの側近である幣原喜枝しではらよしえと、吉田よしだしげよが話しかけてきた。

「幣原…吉田…」

「あずき様、よくお考えなさって!!!千葉一悟はユキ様の仰ることを全然お聞きになりませんわ!!むしろ、ユキ様のお感情をいつも逆なでして…」

「そうです!!!「Club YUKI」の会長であらせられるあなた様が、千葉一悟などという野蛮人に近づくなどあり得ません!!!!!」

 吉田と幣原はあずきの前で、一悟の言動を否定する。だが、この言動の大半は憶測で語ったものばかりであり、マジパティの件で一悟について知ろうと決めたあずきにとって、現在の2人の言動は…



「バンッ!!!!!!!!!!!」



 あずきは涼しい顔をしながら、自身の机を叩いた。

「千葉一悟をよく知らずに否定するのは、見苦しくてよ?そもそも、千葉一悟を否定してもよろしいのはユキ様ご本人ではございませんか。ユキ様でないあなた方が、千葉一悟を否定する資格などなくってよ?ユキ様の顔に泥を塗る行為そのものですわ!口をつつしみなさい!!!!!」

「お…仰る通りでございます…」

 もっとも、一悟がマジパティになるまでは、あずきも一悟の事を否定的に見てきた。だが、実際はどうだろう?本当に一悟は雪斗の話を聞いてない?本当に一悟は雪斗の感情を逆なでする?その答えは、スイーツ界の住人であるあずきには見えている。





「一悟はユキ様の話を聞いていないのではなく、ただ単にユキ様が口うるさいだけ…そして、一悟がユキ様の感情を逆なでしているのは違う…ユキ様が一悟の感情を逆なでしていらした…どうしてワタクシは早くお気づきにならなかったのでしょう…」





 最近の雪斗の放つ矢も、日に日に迷いがにじみ出ている。顧問や部長に指摘されても、雪斗は「なんでもない」とはぐらかす…あずきから見れば、あれはいかにもマジパティの事で悩んでいる…そう見えた。







「一悟、今日はユキ様から何か言われた事はございまして?思い出すのが嫌なら、無理をしなくて構いませんわ。」

「いや…何にも…でも、授業中ずーーーーーーっとにらんでいたのは確かだな。特に下妻しもつま先生の授業ン時!!!」

 カフェ「ルーヴル」の2階のリビング…一悟がみるくとあずきを初めて連れてきた際、マジパティの話が他のお客さんの耳に入らないように、そしてココアとラテが自由に動けるようにするため、シュトーレンが合鍵を一悟に渡したのである。

「下妻先生って…一悟とみるくが正解するたびにベタ褒めしますもんねー…その反面、雪斗さんに対しては「氷見ィ、生徒会のメンバーたるものがこんな英単語も読めんのかァ!!!」ってあおってますもんねぇ…」

 ラテによる下妻先生のモノマネに、一悟とあずきはうんうんと頷いた。あずきのクラスも英語は下妻先生が受け持っているため、今のラテの言動には理解ができている。

「ところで、今日はみるくいないの~?」

「みるくは父ちゃんの退院の関係で、今日は来れないの!」

「あら…椎名元哉しいなもとやさん、本日ご退院でしたの?あれは大変な事故でしたものねぇ…」

 あずきはため息をついた。あずきの人間界での母親・高萩たかはぎみぞれは椎名元哉の大ファンで、撮影中の事故で入院したという時は、めちゃくちゃ困惑していたという。みるくが来られないと知ったココアは、顔をフグのように膨らませた。







 一方、瀬戌せいぬ市の廃デパート。そこではマカロンが黒革の椅子に横たわっていた。

「今日も僕のシャベッター、めっちゃバズってるぅ~♪この間の都賀つがの事も、瞬く間に拡散されて、テレビ局のアカウントのリプライが来るたび、他のユーザーが「ダメです」って…ぷぷぷっ…」

 毎度毎度のムッシュ・エクレールの失態に、ティラミスは苛立っているのだが、マカロンは自身のシャベッターアカウントに夢中で、ムッシュ・エクレールの失態に無関心だった。

「エクレール、もうこのまま自滅コースでしょ~?とやかく言うヒマあるなら、自分のシャベッター気にするもーん…」

「彼はこのまま自滅するだろう」と思っているマカロンにとって、今一番大事なのは、自身のSNSアカウントだった。





「マジパティは今…2組に分かれている…2人の所は、誰かさんが自滅後はティラミスに任せることにして…あとは…」





「そういや、瀬戌にもう1人マジパティいなかった?」

「いるらしいけど、全然姿見せないよね?」

「もう1人のマジパティは幽霊ですね。わかります。」

「おい、幽霊言った奴、控えめに言って〇ね!この間現れたぞwww」

「そしてミルフィーユとケンカしててワロタwwwwwwww」

「ミルフィーユとプディングのCP推してる俺には、青いのはいらない子」







「「【ゆるぼ】まころんに青いマジパティの画像を提供してくれる人」…と。」

 タイムラインのマジパティに関する発言を一通り眺めるマカロンは、慣れた手つきでシャベッターを更新する。送信ボタンを押した後、ティラミスのお小言が聞こえた。またムッシュ・エクレールが失敗したのだろう…そう思ったマカロンは、彼の所へ向かった。



「何なんだ?マカロン…またイヤミでも…」

 もう二度と動くことのないエスカレーター近くの非常用シャッターの影から、マカロンが顔を出している。

「エクレールぅ…ちょっと教えて欲しいことがあるぺろ☆彡」

 ムッシュ・エクレールに対して可愛らしく話すマカロンの口元は、何かを企んでいるような雰囲気だった。
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