激甘革命!マジパティ(分割版)

夜ノ森あかり

文字の大きさ
17 / 248
カオスソルベ編

第6話「カオスソルベ誕生!ミルフィーユはトモダチ」①

しおりを挟む
「バサッ…」



「濡れた服の状態では、カオス様にお譲りするワケにもいきませんからね…」

 ブラックビターの拠点である廃デパートに戻ったティラミスは、雪斗ゆきとの服を脱がし、大きな黒いもやが佇む場所へ彼を連れて行った。

「カオス様、素晴らしい逸材をお持ちしました。それは、1人の存在に対して歪んだ執着心と嫉妬心を持つ者…それも、先刻までマジパティであった者です。」

 ティラミスはそう言いながら全裸の雪斗を蹴り飛ばし、フフっと笑みを浮かべた。黒いもやは突き飛ばされた雪斗まで食指を伸ばし、そのまま雪斗を闇の中へと飲み込んだ。



「美味…実に美味…マジパティであった者がこんなにも歪んだ感情を持っていたとは…気に入ったぞ…」



 黒いもやがそう言うと、黒いもやはもごもごと中で雪斗の身体に手を加える。もごもごという租借音の中で響き渡る骨の砕ける音…長い間カオスに仕えているティラミスですらも、このカオスがメンバーを生成する光景は「慣れろ」と言われても、慣れる事は難しい。



「この人間…気に入ったぞ…我の力を分けてやろう…その執着心で我の腹を満たせ…」



 黒いもやが何かをぺっと吐き出すと、そこに居たのは氷見雪斗ではなく、背丈、体格、外見の殆どがソルベによく似た、全裸のグラマラス体系の少女だった。

「はい…お父様…」

 ソルベとよく似た少女は、右手の人差し指をペロッと舐めながら微笑む。



「僕と…遊ぼうよ…ミルフィーユ…」







 もうすぐゴールデンウィークを迎えようとしている瀬戌市は、18時を迎えようとしている時点で相当雨脚が強くなっている。一悟と顔立ちが似ているサン・ジェルマン学園高等部の制服姿の女子高生も、突然の大雨で通学カバンを傘代わりにしつつ、自宅へと戻る。

「ただいまー…もう、何なの?この土砂降り…」

 そう文句を言いながら一悟いちごの姉の一華いちかは、濡れた制服のスカートをまるでぞうきん絞りのように絞り出す。

「おかえり、一華。お風呂湧いてるから、さっさと身体温めな。ちょっと鼻血の跡残ってるけど…」

「はぁ~い…んで、一悟は?」

「もうすぐ空手の試合が近いから、道場に行く時間早めるってんで、首藤しゅとうさんって人の家にしばらく厄介になるってさ。」

「あんにゃろ…一華さまから逃げたな?」

 一悟の母はそう言うが、「道場に行く時間を早める」というのは、実は嘘である。








 この経緯は1時間ほど前に遡る。突然、インターホンが鳴り響き、玄関を開けると、そこに居たのは息子の担任の先生と、ジャージ姿で息子とよく似た長身の少女…ずぶ濡れの状態を放置するワケにもいかず一悟の母は、2人にタオルを差し出した。一悟の母は、少女が誰であるのかすぐに判った。そして、最近の事も…



「もう無理して隠す必要ないよ…お前、みるくちゃんとマジパティとして戦ってたんだろ?一悟…」



 その予想外の言葉に、一悟と下妻しもつま先生は驚いた。

「あれだけ、人の現役時代の技使って戦ってるんだ。あれは一悟だってすぐ判るさ。それに帰りは極真会館に行った割には遅いし、マレンゴの餌やりも散歩もサボりがち…そして、ケガをして帰ってきたみるくちゃんと今の姿…これで辻褄が合うってもんだ。」

「早ぇよ…気づくの…」

「ずぶ濡れで何言ってんだ!さっさとお風呂で身体温めて来な!!!先生も玄関で立ってないで、上がってください。」

 一悟の母が一喝すると、一悟は浴室に行き、下妻先生も足元にいる小型犬に吠えられながらも、身体を拭きながら千葉家に入る。







「まさかこんな早くバレるなんてなぁ…」

 そう言いながら、一悟はずぶ濡れのジャージを脱ぎ始め、洗濯カゴの中へと放り込む。雪斗がティラミスという「ブラックビター」のメンバーに連れ去られて暫く、シュトーレン共々雨に打たれていたので、ジャージの下も下着もずぶ濡れだった。そんなずぶ濡れのシャツを脱ごうとした途端…



「ぶぼっ…」



 変身している時は一切見ていない、長身少女の自分の身体を見て、鼻血を出してしまったのだった。それでも何とか入浴を済ませ、用意された姉のおさがりを着て、荷物をまとめ、一悟は下妻先生共々、仁賀保先生が運転する車に乗ってシュトーレンのいるカフェ「ルーヴル」へと向かった。一悟の母は一悟とみるくがマジパティである事に関しては、誰にも言わないという事を約束した。







 ムッシュ・エクレールもとい、下妻先生はシュトーレンの知り合いの紹介により、運よくカフェ「ルーヴル」の近くにあるワンルームのアパートを借りることになった。退院した昨日はカフェ「ルーヴル」に厄介になっていたようで、「教師が住所不定なのはマズい」ということで、シュトーレンに頭を下げ、即日入居ができるアパートを紹介してもらえたとのことである。ナルシストな彼も、さすがに勇者様の知り合いが紹介してくれたアパートということで、納得しているようだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

​『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』

月神世一
SF
​【あらすじ】 ​「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」 ​ 坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。  かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。  背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。 ​ 目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。  鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。 ​ しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。  部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。 ​ (……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?) ​ 現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。  すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。  精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。 ​ これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。 スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。 だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。 それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。 色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。 しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。 ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。 一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。 土曜日以外は毎日投稿してます。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜

美鈴
ファンタジー
ホットランキング上位ありがとうございます😊  ストーカーの被害に遭うアイドル歌羽根天音。彼女は警察に真っ先に相談する事にしたのだが…結果を言えば解決には至っていない。途方にくれる天音。久しぶりに会った親友の美樹子に「──なんかあった?」と、聞かれてその件を伝える事に…。すると彼女から「なんでもっと早く言ってくれなかったの!?」と、そんな言葉とともに彼女は誰かに電話を掛け始め… ※カクヨム様にも投稿しています ※イラストはAIイラストを使用しています

異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』 見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装… 俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。 突然の事で戸惑うクラスメート達… だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。 「またか…」 王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。 そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。 そして俺はというと…? 『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』 「それよりも不知火君は何を得たんだ?」 イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。 俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。 その場にいた者達は、俺の加護を見ると… 「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。 『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』 王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。 まぁ、その方が気楽で良い。 そして正義は、リーダーとして皆に言った。 「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」 正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。 「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」 「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」 「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」 「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」 「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」 「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」 「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」 俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。 「その…鎧と剣は?」 「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」 「今迄って…今回が2回目では無いのか?」 「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」 俺はうんざりしながら答えた。 そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。 いずれの世界も救って来た。 そして今度の世界は…? 6月22日 HOTランキングで6位になりました! 6月23日 HOTランキングで4位になりました! 昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°. 6月24日 HOTランキングで2位になりました! 皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m

処理中です...