激甘革命!マジパティ(分割版)

夜ノ森あかり

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カオスソルベ編

第7話「奇跡を起こせ!新生マジパティ・ライス」①

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 瀬戌せいぬ市の廃デパートで、少女が泣き叫ぶ声が響き渡る。あまりのうるささに、マカロンの機嫌はとても悪い。

「てぃ~ら~み~すぅ~…」

 マカロンはティラミスを睨みつける。そして、鳴き声の先を指さす。その指さす先は、カオスソルベだ。



「あいつ、何とかしてよ!!!!!学校から戻ってきて、ずーっとあの調子!!!オチオチ寝られやしないっ!!!!!」

「そ…そんなこと言われましても…私が話そうとするたび、余計ひどくなる一方で…」

「カオス様も「丁重に扱え」って言ってなかった?てゆーか、あいつにとってイヤなこと強要させたんでしょ?マジパティを倒すとか…」

「それは…そうですけど…我々の任務はマジパティを倒すこと…それを忘れては…」

「ブラックビター」で一番の融通の利かなさは、恐らくティラミスであろう。その様子を見て、マカロンは「はぁ…」とため息をつく。



「あいつは氷見雪斗ひみゆきとの「千葉一悟ちばいちごに対する執着心」が具現化したモノなんだから、ミルフィーユを倒せって言われても、そりゃギャン泣きするし、ティラミスを邪険に扱いますわなー?」



 マカロンはそう言いながら、ある物を持ってカオスソルベの所へ歩き、カオスソルベの前でそれを見せる。

「カオスソルベ、どうして泣いてるんだ?お前が泣いてると、俺も悲しくなっちゃうぜ。」



 マカロンがカオスソルベに見せたのは、マカロンお手製のミルフィーユのぬいぐるみだ。カオスソルベはミルフィーユのぬいぐるみをみるなり、ピタッと泣き止み、ぬいぐるみに釘付けになる。

「ミルフィーユ♪」

 無邪気に笑うカオスソルベに、マカロンはぬいぐるみをそのまま渡す。

「ティラミスは嫌いだけど、お姉ちゃんは優しいから大好き♪」

「まーったく…こいつの扱いくらい、頭柔らかくして考えてよねー?石頭の鬼さん?」

「い…石頭で悪かったですね!!!」

 自らの頭を指でつつきながら誇らしげな顔をするマカロンの言葉に、ティラミスは顔全体を真っ赤にしてそっぽを向いた。マカロンはティラミスがいない間に、カオスソルベに対して衣類などの生活用品を色々と用意をしていたようである。カオスの力で具現化した者同士というのもあるのか、マカロンもマカロンでカオスソルベをほっとけないようだ。







 あれはいつの日だろう?木苺ヶ丘の大地主のひ孫が一悟の通う保育園にやってきたのは。お人形のようで可愛らしい見た目の子…よっぽど一悟を気に入ったのか、一悟が遊ぼうと誘うと、無邪気に笑ってついてきた。幼馴染おさななじみ以外で、一悟に懐いてきた女の子…



 だが、ある日…その子は黒いスーツの男に連れ去られ、それ以来保育園どころか、木苺ヶ丘きいちごがおかから姿を見せなくなった。何処へ行ったのか…記憶はかすかだが、その子をどう呼んでいたのかは、覚えている。



「ユキ…ちゃん…」

 気が付くと、一悟は窓から瀬戌駅が小さめに見える広い部屋のベッドに居た。あのカオスソルベというソルベと似たような少女の攻撃を受けた後の事は覚えていない。それに、大分時間も経過しているように思える。

「っつ…」

 全身が激しく痛む…あの黒い光の矢の衝撃なのか否か、起き上がるのがやっとだ。

「ようやく目が覚めたんだな?」

 一悟が振り向くと、そこには仁賀保杏子にかほきょうこもとい、アンニンが立っている。普段はアップスタイルにしている髪は右耳の辺りに黒いリボンで緩く一つにまとめ、格好も白衣ではなく、春色のワンピース姿だ。

「ここ…は?」

「私の家だ。最上階ではないが、ターミナル駅前のマンションって住み心地最高だな。駐車場の料金高いが。」

「俺は…なんで…」

「一悟、お前はあの時、危ないところだったんだぞ?エクレールが言うには、ミルフィーユグレイブで防いでいたみたいだが、それでも保健室に運ばれた時には既に意識を失っていた。」

「えっ…」

 あまりにも衝撃的な事実に、一悟は一気に青ざめる。



「セーラ…いや、勇者様の所に医療器具一式持っていくワケにもいかないし、マジパティの事を知られるとなると、病院にも搬送できない!防犯上、学校にも泊まるワケにもいかない!つまり医療器具や薬が揃っていて、尚且つマジパティを知る者がいる場所…って事で私の家に運ぶことになったワケだ。」

 アンニンが深刻な表情で説明するほど、一悟は危険な状態で保健室に運ばれた。中途半端な変身解除の状態のため、結局アンニンが自身のマンションの一室に運び、一悟の治療にあたっていた。アンニンの治療の甲斐もあり、一悟の変身はすっかり解けており、2日間眠り続けていた事による身体の痛み以外は、カオスソルベの攻撃による影響は殆どない。

「昨日は金曜日だったから、たまたま弟が授業のない日だからって丸一日任せていたし、今日は午前中に茶道部の活動があったから、みるくとラテに来てもらったんだ。」

 彼女の言葉に、彼女と同じ髪の色をした20歳程の学生が入ってきた。アンニンの弟である。アンニンの弟・ジュレことトーマス・ジュレット・ブランシュは、スイーツ界の医療技術向上のために人間界に来ていて、仁賀保桃真にかほとうまとして看護学校に通っている。

「そーゆーコト。とんだ騒ぎ起こしてくれちゃって…もっとも、一番の原因はカオスなワケだけどね。」

「あら…おかえり、ジュレ。勇者様の方は?」

「今日は土曜日だから、トルテもコーヒー淹れるほどの大繁盛っぷり。まぁ…一昨日は勇者様が風邪ひいて短縮営業だった時のツケがきたって感じだった。」

 そう言いながら、ジュレはため息をつく。そして…



「ホント、チョーじれったい!聞き耳立ててないで、堂々と入ればいいのに…」



 彼は一悟のいる部屋に、みるくとラテを入れた。

「ぴゃあっ!!!」

「みるく!!!!」

 みるくは部屋の入口で転倒したが、すぐに起き上がり、一悟の所へ駆け寄る。ラテも一緒だ。

「よかった…いっくんの意識が…戻って…」

 駆け寄るや否や、一悟の姿を見るなり安心しきったのか、みるくとラテは泣き出してしまった。そんな2人に対して一悟は何もできなかったが…

「てゆーか、そんな感動の再会やってる余裕なんてないんだけどねー?」

「ジュレ…それはどういうこと?」

 ジュレの言葉に、再び部屋の空気が張り詰める。
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