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勇者クラフティ編
第11話「今日は何の日?それぞれの悩み事」②
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「いらっしゃいませー!!!」
トルテが店のドアを開けると、カフェ「ルーヴル」が開店する。初めてのカフェの手伝いにあたふたする一悟だが、生まれつきの運動神経の良さで、なんとかこなせているようだ。そこへ、1人のイタリア人の捜査官がカフェにやってくる。
「いらっしゃいませー!」
「やぁ、セーラはいるかい?」
アントーニオ・パネットーネである。彼の言葉に、一悟を含めた勇者の本名を知る者たちの背筋が凍りついた。特に、普段から勇者を本名で呼んでいる者に至っては…
「大勇者様…その異様なニコニコ顔は…?」
「べっつにー?」
そんな彼の手には「ガラムマサラ」と「一味唐辛子」…家族、及び勇者の右肩と呼べる者以外が、勇者の本名を気安く名乗ってはいけない。
「何しに来たの?トーニ…」
「キョーコから君のお父さんが来ているって聞いて、ご挨拶に来たまでだよ?」
シュトーレンにとっては、本当かどうか疑わしいのは言わずもがな。
「それで…何か注文したいのはある?」
メイド服姿の勇者は、イタリア人の捜査官に注文を聞こうとするが、彼は勇者の腕をつかみ…
「それなら、僕はセーラ…君にしようかな?」
「バンッ!!!」
アントーニオがシュトーレンを引き留めようとしたと同時に、1人の女性がアントーニオと同じテーブルへとやって来た。
「随分と待たせてしまったわね?というワケで…このイタリア人の男に「マスターの父親の今日の特別メニュー」。私はエスプレッソとレアチーズケーキでいいわ。」
「イタリア人の男」の辺りで、わざと厨房にいるガレットに聞こえるように伝えるのが、いかにも僧侶様らしい。
「キョーコ…相変わらず厳しいね?君は…」
「あら?あなたに厳しいのは、私だけじゃないのよ?」
アンニンがそう言うと、2人が座るテーブルの真横に、ガレットがやって来た。
「お待たせしました。マスターの父親の今日の特別メニュー「親バカ勇者の超激辛シーフードカレー」でございます!!!」
料理を出すガレットの表情が怖いのは、言わずもがな。
「キョーコ、この男性は?」
「いつもウチの聖一郎と聖奈がお世話になってます。聖一郎と聖奈の父・首藤和真、41歳…娘と結婚させたい相手は、タコを美味しそうに食べる男です!」
そんな彼がテーブルに用意した激辛カレーの中には、タコの足のぶつ切りが何か所にも見受けられる。
「あなた、毎食タコを食べた時期があるほど、タコが好きだったのよね?和真さん、元板前だからタコのさばき方は高レベルよ?」
アンニンはにこやかな表情でそう言うが、普段の余裕に満ちたアントーニオの表情が一気に青ざめる。実を言うとアントーニオは、幼い頃に当時の友人の母が出したタコ料理で体調を崩したことがあり、それ以来、タコが苦手なのである。
「杏子ちゃんは、他に注文しないの?」
カウンターからガレットがアンニンに声をかけた。
「勉強会の前ですので、腹八分目でキープしているんです。それに…食べながらだと、聖奈の未来の伴侶を見定められませんので。」
「そうだよねー…食べ物を粗末にする輩は、娘の相手にふさわしくないもんねー♪少しでも残したら…そうだな、娘に半径2メートル以内への接近禁止ってコトで♪」
「さぁ…聖奈を自分のものだと豪語している以上、後には引けないわよ?和真さん、この事については厳しいの♪」
目の前の女性の異様なほどのにこやかな表情に、アントーニオの顔が引きつる。
「は…図ったね!?キョーコ…いただきます…」
そう言いながらアントーニオはスプーンを持ち、苦手なタコが入ったカレーを食べ始めた。トラウマのきっかけとなって以来の独特の食感…そして、焼けつくような辛さ…彼にとっては、シュトーレンの前で初めて屈辱を晒しものにされたような気分だった。
「カラン…」
アントーニオの持っているスプーンの手が止まった。彼の目の前のカレー皿には、飾りのパセリすら残っていない。
「これで満足かい?キョーコ…」
「聖奈とのこれ以上の関係は認めないけどね?今回は私のおごりよ。」
そう言いながら、アンニンは涼しい顔をしながらブラックカードを見せる。
「それじゃあ、僕は失礼するよ…ご馳走様。」
口元をハンカチでぬぐいながら、シュトーレンの幼馴染と父親にハメられた捜査官は、カフェ「ルーヴル」をあとにした。そして、店の外で盛大な炎を吐き出した。
「Piccante!!!」
厨房ではみるくが注文された料理を作り、トルテが運ばれてきたお皿を洗っている。トルテの口元は、どことなく赤いのは気のせいだろうか。
「大勇者様…あたしらに厨房全部押し付けて、何をやったかと思ったら…」
「しかも、今朝俺っちに食べさせた奴よりも…唐辛子の量が多かったッス…」
「つ、つまみ食いしちゃったの!?」
「お皿にほんのちょっぴり残っていたルーを舐めただけっス…」
どっちにしろ、お行儀が悪いぞ!そこのライオン!!!
「それと、親父はコレもカレーに入れようとしていたみたいね?」
厨房に入ってきたシュトーレンは、そう言いながら胸の谷間からソースの瓶を取り出した。そこに書いてあるのは…
「サドンデスソース」
それは、想像を超える辛さ…
マジパティに動きがあると同時に、ブラックビターの連中にも変化が訪れようとしている。
「やっぱり、カオス様にお会いするには手土産は必要だものねぇ…」
そう言いながら、クグロフは何かが砕ける音をBGMにコーヒーをすすり始める。
「歩くスメルハラスメント…」
「右に同じ…んで、お前が捕まえた「逃げ足の遅い奴」って誰だよ?」
「ティラミスの悪い影響でも受けたのかい?マカロン…まぁ、特別に捕まえた場所とおおまかな時間は教えてやろう。東京の有名私立小学校さ。下校時間だったらしく、親の車に乗り込もうとする小学生たちをジロジロと見ていたのさ。特に男の子の方をね?」
クグロフの言葉に、マカロンはカオスソルベだった頃のユキとの話を不意に思い出した。
「お姉ちゃん…シャベッターにもあったけど、アニメに出てくる小さい子を好きな人って…ああいう犯罪するとは限らないよね?」
2人でテレビのニュースを見ていた時の事…丁度、その日は瀬戌市から遠く離れた地域で発生した幼女誘拐殺人の初公判のニュースが流れており、マカロンは彼女と一緒にそのニュースを見ていた。コメンテーター達は口をそろえて「犯人は漫画、アニメ、ゲーム好き」云々の言葉を述べるが、彼女の言葉通りそうとは限らないのが現状だ。実際、マカロンのシャベッターアカウントのフォロワーにも漫画、アニメ、ゲーム好きのフォロワーはいる。しかし、該当フォロワー達全てが3次元の人間に手を出すとは限ったことではない。
「そうだね…大体、こういうニュース番組って大半がスポンサーついてるからさ…コメンテーターに好き放題喋らせたりして、真実を捻じ曲げて視聴者に間違った知識を与えてしまう事なんて容易いんだよ。」
実際、ティラミスがカオスイーツにする相手を品定めする為、マカロンは逮捕された犯人の経歴をハッキングで調べていた。すると案の定、犯人は趣味、特技共にテニスで、よく地域のボランティア活動に積極的に参加している、漫画、アニメ、ゲーム好きとは遠い関係の男だった。テレビで映されたアニメポスターは、犯人の家族の部屋に貼ってあったものだ。視聴率のためならどんな情報操作も問わない…それがマスコミだと、マカロンは思う。
「新たな幹部にするのなら、やはり外面の良い変質者が一番さ。」
「ガシャッ…」
金属が動く音がクグロフの背後から聞こえる。そして彼女が振り向くと、戦国武将のような鎧姿の青年が立っている。目元は隠れているが、口元からは顔立ちの良さが伺える。
「媒体に関する言葉、誉め言葉として受け取っておこう…」
「紹介しよう…こやつはベイク。カオス様の手土産に持ってきた男を媒体とした、我々の仲間だ。ベイクや、こいつらはティラミスとマカロン。好きに動きたいなら、こき使って構わん。」
クグロフの言葉に対して、ティラミスとマカロンは眉をひそめた。
「このババア、気に入らねぇーっ!!!!!」
「左に同じ」
トルテが店のドアを開けると、カフェ「ルーヴル」が開店する。初めてのカフェの手伝いにあたふたする一悟だが、生まれつきの運動神経の良さで、なんとかこなせているようだ。そこへ、1人のイタリア人の捜査官がカフェにやってくる。
「いらっしゃいませー!」
「やぁ、セーラはいるかい?」
アントーニオ・パネットーネである。彼の言葉に、一悟を含めた勇者の本名を知る者たちの背筋が凍りついた。特に、普段から勇者を本名で呼んでいる者に至っては…
「大勇者様…その異様なニコニコ顔は…?」
「べっつにー?」
そんな彼の手には「ガラムマサラ」と「一味唐辛子」…家族、及び勇者の右肩と呼べる者以外が、勇者の本名を気安く名乗ってはいけない。
「何しに来たの?トーニ…」
「キョーコから君のお父さんが来ているって聞いて、ご挨拶に来たまでだよ?」
シュトーレンにとっては、本当かどうか疑わしいのは言わずもがな。
「それで…何か注文したいのはある?」
メイド服姿の勇者は、イタリア人の捜査官に注文を聞こうとするが、彼は勇者の腕をつかみ…
「それなら、僕はセーラ…君にしようかな?」
「バンッ!!!」
アントーニオがシュトーレンを引き留めようとしたと同時に、1人の女性がアントーニオと同じテーブルへとやって来た。
「随分と待たせてしまったわね?というワケで…このイタリア人の男に「マスターの父親の今日の特別メニュー」。私はエスプレッソとレアチーズケーキでいいわ。」
「イタリア人の男」の辺りで、わざと厨房にいるガレットに聞こえるように伝えるのが、いかにも僧侶様らしい。
「キョーコ…相変わらず厳しいね?君は…」
「あら?あなたに厳しいのは、私だけじゃないのよ?」
アンニンがそう言うと、2人が座るテーブルの真横に、ガレットがやって来た。
「お待たせしました。マスターの父親の今日の特別メニュー「親バカ勇者の超激辛シーフードカレー」でございます!!!」
料理を出すガレットの表情が怖いのは、言わずもがな。
「キョーコ、この男性は?」
「いつもウチの聖一郎と聖奈がお世話になってます。聖一郎と聖奈の父・首藤和真、41歳…娘と結婚させたい相手は、タコを美味しそうに食べる男です!」
そんな彼がテーブルに用意した激辛カレーの中には、タコの足のぶつ切りが何か所にも見受けられる。
「あなた、毎食タコを食べた時期があるほど、タコが好きだったのよね?和真さん、元板前だからタコのさばき方は高レベルよ?」
アンニンはにこやかな表情でそう言うが、普段の余裕に満ちたアントーニオの表情が一気に青ざめる。実を言うとアントーニオは、幼い頃に当時の友人の母が出したタコ料理で体調を崩したことがあり、それ以来、タコが苦手なのである。
「杏子ちゃんは、他に注文しないの?」
カウンターからガレットがアンニンに声をかけた。
「勉強会の前ですので、腹八分目でキープしているんです。それに…食べながらだと、聖奈の未来の伴侶を見定められませんので。」
「そうだよねー…食べ物を粗末にする輩は、娘の相手にふさわしくないもんねー♪少しでも残したら…そうだな、娘に半径2メートル以内への接近禁止ってコトで♪」
「さぁ…聖奈を自分のものだと豪語している以上、後には引けないわよ?和真さん、この事については厳しいの♪」
目の前の女性の異様なほどのにこやかな表情に、アントーニオの顔が引きつる。
「は…図ったね!?キョーコ…いただきます…」
そう言いながらアントーニオはスプーンを持ち、苦手なタコが入ったカレーを食べ始めた。トラウマのきっかけとなって以来の独特の食感…そして、焼けつくような辛さ…彼にとっては、シュトーレンの前で初めて屈辱を晒しものにされたような気分だった。
「カラン…」
アントーニオの持っているスプーンの手が止まった。彼の目の前のカレー皿には、飾りのパセリすら残っていない。
「これで満足かい?キョーコ…」
「聖奈とのこれ以上の関係は認めないけどね?今回は私のおごりよ。」
そう言いながら、アンニンは涼しい顔をしながらブラックカードを見せる。
「それじゃあ、僕は失礼するよ…ご馳走様。」
口元をハンカチでぬぐいながら、シュトーレンの幼馴染と父親にハメられた捜査官は、カフェ「ルーヴル」をあとにした。そして、店の外で盛大な炎を吐き出した。
「Piccante!!!」
厨房ではみるくが注文された料理を作り、トルテが運ばれてきたお皿を洗っている。トルテの口元は、どことなく赤いのは気のせいだろうか。
「大勇者様…あたしらに厨房全部押し付けて、何をやったかと思ったら…」
「しかも、今朝俺っちに食べさせた奴よりも…唐辛子の量が多かったッス…」
「つ、つまみ食いしちゃったの!?」
「お皿にほんのちょっぴり残っていたルーを舐めただけっス…」
どっちにしろ、お行儀が悪いぞ!そこのライオン!!!
「それと、親父はコレもカレーに入れようとしていたみたいね?」
厨房に入ってきたシュトーレンは、そう言いながら胸の谷間からソースの瓶を取り出した。そこに書いてあるのは…
「サドンデスソース」
それは、想像を超える辛さ…
マジパティに動きがあると同時に、ブラックビターの連中にも変化が訪れようとしている。
「やっぱり、カオス様にお会いするには手土産は必要だものねぇ…」
そう言いながら、クグロフは何かが砕ける音をBGMにコーヒーをすすり始める。
「歩くスメルハラスメント…」
「右に同じ…んで、お前が捕まえた「逃げ足の遅い奴」って誰だよ?」
「ティラミスの悪い影響でも受けたのかい?マカロン…まぁ、特別に捕まえた場所とおおまかな時間は教えてやろう。東京の有名私立小学校さ。下校時間だったらしく、親の車に乗り込もうとする小学生たちをジロジロと見ていたのさ。特に男の子の方をね?」
クグロフの言葉に、マカロンはカオスソルベだった頃のユキとの話を不意に思い出した。
「お姉ちゃん…シャベッターにもあったけど、アニメに出てくる小さい子を好きな人って…ああいう犯罪するとは限らないよね?」
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「そうだね…大体、こういうニュース番組って大半がスポンサーついてるからさ…コメンテーターに好き放題喋らせたりして、真実を捻じ曲げて視聴者に間違った知識を与えてしまう事なんて容易いんだよ。」
実際、ティラミスがカオスイーツにする相手を品定めする為、マカロンは逮捕された犯人の経歴をハッキングで調べていた。すると案の定、犯人は趣味、特技共にテニスで、よく地域のボランティア活動に積極的に参加している、漫画、アニメ、ゲーム好きとは遠い関係の男だった。テレビで映されたアニメポスターは、犯人の家族の部屋に貼ってあったものだ。視聴率のためならどんな情報操作も問わない…それがマスコミだと、マカロンは思う。
「新たな幹部にするのなら、やはり外面の良い変質者が一番さ。」
「ガシャッ…」
金属が動く音がクグロフの背後から聞こえる。そして彼女が振り向くと、戦国武将のような鎧姿の青年が立っている。目元は隠れているが、口元からは顔立ちの良さが伺える。
「媒体に関する言葉、誉め言葉として受け取っておこう…」
「紹介しよう…こやつはベイク。カオス様の手土産に持ってきた男を媒体とした、我々の仲間だ。ベイクや、こいつらはティラミスとマカロン。好きに動きたいなら、こき使って構わん。」
クグロフの言葉に対して、ティラミスとマカロンは眉をひそめた。
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