激甘革命!マジパティ(分割版)

夜ノ森あかり

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勇者クラフティ編

第13話「逃した獅子は大きい…マジパティ変身不能!!!」②

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 昼休みになり、イナバと虎太郎は学園食堂のテーブルで向かい合うように座っている。そして、イナバの隣には一華が座る。イナバの機嫌はとても悪い。

「ぷっ…はははっ…災難だったな?イナバ…」

「笑わないでよ…虎太郎…」

「ホント、ウチの弟がゴメンね…あのバカ、あとでシメとくから…」

「まさか、見たのが一華ちゃんの弟とは思わなかったし…虎太郎、スカート代立て替えといてね?」

「はぁっ?何で俺!?」

「虎太郎の教科書代立て替えたの、たつきちゃんじゃなくって、私なのーっ!!!」

 ただでさえ機嫌の悪いイナバの機嫌が、さらに悪くなった。



 一方、その渦中の人物は偶然にも生徒会長の隣に座ることになった。

「おいーっす、いちごん!幼な妻とゆっきーはどうした?顔に紅葉ついてるけど…」

「昼飯の弁当…取り上げられた…俺の弁当だった奴は、今頃…雪斗の胃袋の…中…」

「おーおー…何ともおいたわしい…このおタマさんが、から揚げを分けて差し上げよう…」

 そう言いながら、玉菜たまなは一悟のカレー皿にから揚げを全部乗っける。

「んで…どうしてそうなった?理由ワケ…話してみそ。」

 何でか自分に優しい生徒会長に、2限目の時の事を話した。美術のスケッチで白樺の並木をスケッチしようとしたら、たまたまそこに高等部の女子生徒が木に引っかかって宙づりの状態になっているのをみた途端、一悟の真上に落下。一悟は彼女の下敷きとなってしまったのである。

「んで、白樺やめようと石段の所に戻ったら、雪斗がその様子スケッチしやがって…それを見たみるくにぶっ叩かれて、罰として飯抜き…理由も聞き入れてくれねぇ…」

 泣きながら話す一悟の話を、生徒会長は笑わず、真剣に聞く。そして、思いついたかのように決断する。



「よし!今日はいちごん、一緒にカフェ「ルーヴル」に行こう!!!アレは持ってるんでしょ?だったら、話は早い!いちごんに「だけ」話したいことあるのよ!!!」



 あまりの唐突な生徒会長の言葉に、一悟は思わず持っているカレーのスプーンを皿の上に落してしまった。







「キーーーーーーンコーーーーーーーンカーーーーーーーーーンコーーーーーーン」



 放課後を告げるチャイムが鳴る。中等部はもうすぐ中間テストを控えているため、部活は大会の近い部活は短縮、それ以外は放課後の活動は休みとなっている。そんな2年A組の教室に、ハチミツ色のポニーテールの少女がやってくる…玉菜だ。

「おっつー、いちごん♪」

「お…お疲れ様です…」

 玉菜は一悟の教室をのぞき込み、周囲を見渡す。どうやら教室にみるくと雪斗はいないようだ。

「それじゃ、聖奈せいなの家にれっつごー♪」

 ラテをカバンに入れた状態の一悟の背中を押しながら、玉菜は一目散に下校してしまった。そして、その様子を目の当たりにした雪斗は急いで保健室へ向かう。

「コラ、氷見!廊下を走るな!!!」



「ガラッ…」



「し、ししししし…失礼ひまふっ!!!」

 雪斗が勢いよく開けたのは、保健室のドアだった。保健室にはみるくがいる。

「あら…そんなに慌ててどうしたのかしら?」

「た…たたた…タマ…タマねぇが…」

「はいはい…3丁目の三毛猫が学校に来ちゃったのね…」







「ガチャッ…」



「安心して。既に聖奈には連絡してるから。」

 住居スペースの玄関の鍵を開けた一悟は、どうにも生徒会長の言動が怪しく感じるようだ。

「それに、精霊さんもいるんでしょ?出てきなよ…」

 そういいながら、玉菜は一悟のカバンのファスナーを開ける。そこから出てきたのは…

「わ…私の事にも気づいていたってワケですね…」

「そゆこと♪」

 ラテは一悟のカバンの中で目を回していたのだった。玄関にあがり、2階にあるリビングへと向かう。そこにいたのは、ガレットとココアだ。

「いらっしゃーい!セーラも暫くしたら、着替え済ませて下りて来るよ。」

「おっ…それじゃ、その時にフランスの時の事を話そうかな。」

 そう言いながら、玉菜は一悟をテーブルの前に座らせ、自分はガレットの隣に座る。ココアは玉菜の登場に興奮するが、恋人であるラテにプロレス技をかけられた。



「いちごん…この際だからハッキリ言うわ。頭脳戦、向いてないでしょ?ただ単に、カオスイーツにパンチやキックかませばいいってもんじゃないの。あなた、プディングの能力に頼りすぎてるのよ。」



「えっ…」

 玉菜は、まるで一悟がミルフィーユである事を知っているかのように話始めた。

「確かに、昔の俺や俺のプディングと似てる戦い方だもんねー…この間なんて、ティラミス…だっけ?彼女がいなけりゃどうなっていたか…」

「その話し方をされてるって事は…玉菜…あなたは…」

「察しがいいのね…ラテ。そうよ…私が白銀のマジパティ・クリームパフ…」

 そう言いながら、玉菜はブレイブスプーンを一悟達に見せる。ハート型の宝石には紫色の宝石が輝いている。

「それなら…サントノーレは…」

「アレは変装。ちょっとワケありでね…まぁ、シュトーレンが来たら話すけど。」



「ドタドタドタ…」



 シュトーレンが階段を駆け下りる音がして、やがてリビングのドアが開く。そこにはメイド服姿のシュトーレンが立っている。

「親父、あとは厨房任せたからね。」

「それじゃ、もうひと踏ん張りいきますか。」

 ガレットは立ち上がり、カフェの方へと向かう。そんなシュトーレンを見て、玉菜は嬉しそうだ。

「お父さんがカフェ手伝うようになって、少しは助かったんじゃない?」

「それもあるけど…とにかくやりたい放題が玉にキズなのよねー…でも、一悟にだけ話していいの?」

「いいの♪だって、いちごんはミルフィーユの時もだけど、反応が見ていて面白いのよねー♪すぐ鼻血出しちゃうとことか♪」

 そう微笑む玉菜の言葉に、シュトーレンは大いに納得する。「可愛い」とか「子供みたい」等には言われ慣れている一悟ではあるが、「面白い」と言われたのは初めてで、少しばかり照れ臭く感じた。



「ここからは真面目に聞いて欲しいの。私は、ゆっきーがあなたを追い掛け回した事の責任を負う形で、一時的に学校を離れたの。その留学先で出会ったのがシュトーレン…」



 ラテとココア以外の精霊の存在、パリでの戦い、クイニー・アマンとの決戦…そして、悲しい別れ…玉菜は一悟にパリでの出来事を包み隠さず明かす。







「あの時の決戦でさ…フォンダンは命にかかわる怪我をしたの。フォンダンの力を借りない限り、私はカオスイーツ相手に大きな決め技が使えないの。だから、私は今…「サントノーレ」として、ミルフィーユ達をアシストしているワケよ。」

 一悟は玉菜の言葉を一つ一つかみしめながら聞く。玉菜の一言一言には偽りがないからだ。

「いちごんがあの幼な妻ちゃんやゆっきーに誤解されちゃったみたいに、私もいちごん達に誤解させちゃったのは悪いと思ってる。でもね、そう遠くないうちにいちごん達にジョイントする予定ではいるの。私もさ…先代のマジパティの件で出向くときがあってさ…」

「先代の…マジパティ?」

 玉菜は黙って頷く。

「だから…一悟、玉菜を…クリームパフを信じて。午前中の事は、親父が本人に直接話をしてくれるから…だから、玉菜の件は時期がくるまでの間、みるくと雪斗には内緒ね?」

「はいっ!!!」

「私も秘密は厳守しますっ!!!ほら、ココアも!!!」

「ほいっ!カカオとおっぱいは絶対に裏切ってはならないっ!!!」

 2秒後、ココアは恋人によって首を締め上げられたのだった。
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