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勇者クラフティ編
第16話「ターゲットは勇者!?怪盗メサイア、参上!!!」②
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「これは母さんが事切れる間際、お前が成人した時に渡すように言われていたモノだ。」
シュトーレンは広いベッドの上に寝ころびながら、先週の食事会の帰りに父親から渡されたネックレスに嵌められた黄緑色の宝石…ペリドットを見つめる。
「その宝石…俺が魔界へ飛ばされる前、母さんにプレゼントした宝石なんだ。それをお前に渡すって事は…母さんも、お前とトルテが結ばれるって未来が見えていたんだろうな…」
照れ臭そうに話す父親の姿が、今にも目に浮かぶ…突然知らない屋敷に運ばれ、外に出ることも許されない状況に陥り、運ばれた日の夜は一晩中泣き明かした。だが、昨日の夕方に見えたミルフィーユとライスの姿…決して希望が無くなったワケではない。あれは父親が娘の奪還に向けて動いている証拠だった…囚われの身の勇者はそう確信した。
「お母さん…アタシ、親父達を信じるよ。だから…トーニの束縛になんて、屈したりしない…だって、アタシにはトルテがいるんだもの…」
勇者の言葉に呼応するかのように、彼女の傍で勇者の亡き母が微笑んでいるように感じた。
夕方になり、木苺ヶ丘4丁目にあるアントーニオの別荘が騒がしくなる。羽多野刑事と増田刑事の2人が、受付で招待客の招待状を次々と確認しては、屋敷の中に入れていく…そこには一悟、雪斗、玉菜、ボネ達もいるのだった。一悟と雪斗は少女の姿で、一悟は赤のドレスに白い手袋、雪斗は水色のドレスに白いシフォンタイプのショール、そして白い手袋と白いガーターストッキング姿となっている。玉菜もラベンダー色のカクテルドレス姿、あずきは青紫色のドレス姿になっており、ボネ、ガレット、下妻先生に変装中のトルテに至っては黒いタキシード姿だ。
「2人とも、女の子として振舞えよ?まぁ…ゆっきーはユキちゃんと入れ替われば問題ないけどさ。」
「言われなくても、既に入れ替わってるし!一悟…蟹股になってる!!!」
「いっけねぇ!!!」
ユキに歩き方を指摘された一悟は、慌てて姿勢を正す。
「ちゃっかりしてるなぁ…ところで、幼な妻ちゃんは?」
「幼な妻…?みるくでしたら、ジュレさん、グラッセ、ネロ、ラテと共にスタンバイ済ですわ。でも…言っちゃ悪いですけど…あの2人にまで招待状をよこすなんて…」
そう言いながら、あずきはある2人を指さす。その先は異様な笑顔で怒りのオーラを纏うガレットと…
『バカだ!私と大勇者様にまでよこすなんて…見せしめか?そうか!そうなんだな!!!』
アンニンとキョーコせかんどの姿…アンニンはクリーム色のチャイナワンピース姿で、髪形はお団子がついたツインテール。キョーコせかんどは、エメラルドグリーンのチャイナドレス姿…と、2人もドレス姿で並んでいる。
受付はユキが玉菜の付き添いとして、ボネは雪斗の祖父の代理として、一悟はガレットの付き添いとして、そして下妻先生に変装しているトルテはあずきの付き添いとしてそれぞれ受付を済ませる。
「おや…仁賀保さん、そのお子さんは?」
「私の妹のあんずです♪」
「お姉ちゃぁーん、あんず、パーティー楽しみぃ~♪(わざとらしい)」
そのやり取りに、一悟達は背中を向けて笑いをこらえるのに必死だったのは言うまでもない。
既に潜入しているみるく達は、みるくとグラッセがメイドとして、ジュレとネロは執事として囚われの勇者の居場所を探ったものの、囚われている部屋の鍵を持っているのがアントーニオとメイド長の2人のため、対面には至らなかった。それでも、攫われた時に着ていた服を回収し、ジュレが勇者を連れて退却するためにと用意した荷物と一緒にしまい込む。
「そうか…場所が分かっただけでもいい収穫だ。私も時期を見て一芝居打つ。頼んだぞ…ジュレ。」
「了解、姉さん。あまり無茶しないでよ?アレ…衣装そろえるだけでも大変だったんだから…」
「余計なお世話だ!バカもん!!!」
そう言いながら、アンニンは一言余計な言葉を口走る弟とのテレパシーを断つ。パーティー会場へと赴いた一悟達も、食事をしながら周囲を探っているが…
「あむ…このシュークリーム…皮がべちょべちょしすぎなんですけど…60点減点!」
「こっちのピザもおいしぃ~♪雪斗、全然ピザ食べないんだもん…この機会に、雪斗が普段食べないの食べちゃお♪あむ…」
心なしか、本来の目的を忘れているようである。玉菜はテーブルのシュークリームに辛辣な採点を行い、ユキは前々から食べたがっていたピザの味見を片っ端から行っている。
「あずき…俺、最初の変身で身長に全振りしたこと…」
玉菜とユキのある部分を見ながら、一悟は「はぁ」とため息をつきながら、あずきに向かって嘆く。
「気持ちは理解してますわ…でも…幼女にならないだけ…」
あずきは、一悟を慰めつつある人物を指さし…
「ライス、一悟…お前ら…今度の月曜から毎朝1週間、中等部の職員トイレの掃除な?」
一悟とあずきに向かって、幼い僧侶はそう告げる。今の体格について揶揄されるのだけは、どうしてもイラっとするらしい。
パーティー自体は何の変哲もない立食式のパーティーで、招待されている者達はアントーニオとはかねてからの知り合いが多いようだ。その中には、トルテの友人のKAORUもいる。
「お姉ちゃん、あんずトイレ行きたーい…(わざとらしい)」
「あら…困ったわね…ちょっと、そこの執事さん!」
「はい、なんでしょう?」
妹のふりをふる主の指示で、キョーコせかんどは藍色の髪の執事を呼び止める。
「この子をお手洗いに連れて行きたいのですが、案内していただけます?」
「かしこまりました。コチラでございます。」
執事の案内により、僧侶とそのアンドロイドは、突然パーティー会場から出てしまった。
暫くしてキョーコせかんどが会場に戻り、アントーニオに声をかけられるが、主らしく振舞い、軽くあしらってしまう。僧侶がいない事に一悟達は違和感を示すが、キョーコせかんどに勇者の件で別行動に入ったと言われ、安心する。
そして、アントーニオによる婚約者紹介の時間がやってきた。
「この度、僕・アントーニオ・パネットーネの婚約発表会にお集まりいただき、誠にありがとうございます。そろそろ私の伴侶となる者も、準備が整ったようです!」
嬉しそうにマイクを持ちながら、挨拶をするアントーニオを見つめる一悟達の表情はどことなく険しい。それは、アントーニオの近くへやって来る者も同じだ…
「彼女こそ、僕の生涯の伴侶!!!セーラ・シュトーレン・クラージュ・シュヴァリエ!!!!!」
まるでウェディングドレスでも通用するような純白のドレスに、両サイドを少しばかり後頭部へ編み込んだ髪型のシュトーレンが、俯いた姿で彼の元へ歩いてくる。そして、横目で会場にいる父親の姿を確認すると、顔を上げ、どよめく会場の中、覚悟を決めた表情を見せる。
「セーラは、僕がパリで…」
「ガッ…」
まるで彼にこれ以上喋らせないかのように、勇者は強引にマイクを奪い、深く息を吸う。
「この度は、この男が皆様に出鱈目を吹聴した事を、深くお詫び申し上げます!!私の名前は「セーラ・シュトーレン・クラージュ・シュヴァリエ」ではありません!「首藤聖奈」という、この木苺ヶ丘の人間です!!!」
「「「「「ええええええええええええっ!!!!????」」」」」
「な、なにを言っているんだい?君は…」
あまりの突然の出来事に、パーティーの客達だけでなく、流石のアントーニオも動揺を隠せない。
「皆様、どうか私の話を聞いてください。私は、昨日…父親である首藤和真の了承の下、かねてから結婚を約束していた男性と入籍する予定でした。幸せになる筈だったんです…」
その言葉に、会場にいる父親はうんうんと頷く。
「人の娘の幸せをブチ壊しにしやがって…いっそのこと、イタリア産マグロの解体ショーしてやりてぇ~…」
「やめないか!セーラっ!!!」
アントーニオはそう言いながら止めようとするが…
「えー…ここで皆様にお見せしたい映像がございます。血が出ているモノが苦手な人は、目を伏せながら彼女の話を聞いてください。」
突然現れた鼻眼鏡をかけた、グラッセに似た女性司会がそう言うと、シュトーレンの背後のスクリーンに、血だらけで倒れているトルテの写真が映し出される。
その様子に、会場のパーティー客たちの動揺がヒートアップする。
「これはひどい…」
「何が婚約パーティーだよ…」
「げろげろ~…いくらホテル王の息子だからって、自分の一方的な感情で人妻誘拐して、勝手に婚約者にしていいワケ~?」
ギャラリーに混ざっている1人の売れっ子モデルが、そうヤジを入れると、会場全体はアントーニオに対する批難で埋め尽くされる。
「婚約したいお相手のお気持ちを聞かずに、勝手に婚姻の話を進めるなんて…お相手の事を「鬼チョロ」だと侮辱しているのと同じですわっ!!!!!」
あずきもギャラリーに紛れつつ、アントーニオの今回の行動を批判する。スイーツ界の住人だけに、勇者の事を気安く真名で呼んでいる事に対し、その怒りは相当のようだ。
「あんな状態で倒れてたんだな…って、増田ァっ!!!もらった証拠写真を俺に見せなかったとか、何事だよっ!!!!!」
「す、すみません…うっかり弟のサブアカウントの方に送ってしまいまして…」
トルテが倒れている写真も証拠として提出されたようだが、増田刑事のミスにより、一悟の父は見られなかったようだ。
「私は、この男と結婚なんてしません!!!なんといっても、私の本当の伴侶である取手利雄に暴行を…えっ?」
勇者が背後に視線を向けると、そこには血だらけで倒れているトルテの姿を映した映像…
「セーラ…あれはただの合成さ…でっち上げ…」
「スパーーーーーーーーーーーーン」
アントーニオのセリフを遮るかのように、勇者の左手が必死で取り繕うアントーニオの頬を勢いよく叩く。
「アタシはもう、あんたなんかに騙されないっ!!!3年前からずっと人の事をしつこく付け回して…だから…皆様、どうか私を彼のいる場所へ…いいえ、家族の元へ帰してくださいっ!!!!!」
勇者の叫び声と同時に、会場の時計の鐘の音が大きく鳴り響く…
シュトーレンは広いベッドの上に寝ころびながら、先週の食事会の帰りに父親から渡されたネックレスに嵌められた黄緑色の宝石…ペリドットを見つめる。
「その宝石…俺が魔界へ飛ばされる前、母さんにプレゼントした宝石なんだ。それをお前に渡すって事は…母さんも、お前とトルテが結ばれるって未来が見えていたんだろうな…」
照れ臭そうに話す父親の姿が、今にも目に浮かぶ…突然知らない屋敷に運ばれ、外に出ることも許されない状況に陥り、運ばれた日の夜は一晩中泣き明かした。だが、昨日の夕方に見えたミルフィーユとライスの姿…決して希望が無くなったワケではない。あれは父親が娘の奪還に向けて動いている証拠だった…囚われの身の勇者はそう確信した。
「お母さん…アタシ、親父達を信じるよ。だから…トーニの束縛になんて、屈したりしない…だって、アタシにはトルテがいるんだもの…」
勇者の言葉に呼応するかのように、彼女の傍で勇者の亡き母が微笑んでいるように感じた。
夕方になり、木苺ヶ丘4丁目にあるアントーニオの別荘が騒がしくなる。羽多野刑事と増田刑事の2人が、受付で招待客の招待状を次々と確認しては、屋敷の中に入れていく…そこには一悟、雪斗、玉菜、ボネ達もいるのだった。一悟と雪斗は少女の姿で、一悟は赤のドレスに白い手袋、雪斗は水色のドレスに白いシフォンタイプのショール、そして白い手袋と白いガーターストッキング姿となっている。玉菜もラベンダー色のカクテルドレス姿、あずきは青紫色のドレス姿になっており、ボネ、ガレット、下妻先生に変装中のトルテに至っては黒いタキシード姿だ。
「2人とも、女の子として振舞えよ?まぁ…ゆっきーはユキちゃんと入れ替われば問題ないけどさ。」
「言われなくても、既に入れ替わってるし!一悟…蟹股になってる!!!」
「いっけねぇ!!!」
ユキに歩き方を指摘された一悟は、慌てて姿勢を正す。
「ちゃっかりしてるなぁ…ところで、幼な妻ちゃんは?」
「幼な妻…?みるくでしたら、ジュレさん、グラッセ、ネロ、ラテと共にスタンバイ済ですわ。でも…言っちゃ悪いですけど…あの2人にまで招待状をよこすなんて…」
そう言いながら、あずきはある2人を指さす。その先は異様な笑顔で怒りのオーラを纏うガレットと…
『バカだ!私と大勇者様にまでよこすなんて…見せしめか?そうか!そうなんだな!!!』
アンニンとキョーコせかんどの姿…アンニンはクリーム色のチャイナワンピース姿で、髪形はお団子がついたツインテール。キョーコせかんどは、エメラルドグリーンのチャイナドレス姿…と、2人もドレス姿で並んでいる。
受付はユキが玉菜の付き添いとして、ボネは雪斗の祖父の代理として、一悟はガレットの付き添いとして、そして下妻先生に変装しているトルテはあずきの付き添いとしてそれぞれ受付を済ませる。
「おや…仁賀保さん、そのお子さんは?」
「私の妹のあんずです♪」
「お姉ちゃぁーん、あんず、パーティー楽しみぃ~♪(わざとらしい)」
そのやり取りに、一悟達は背中を向けて笑いをこらえるのに必死だったのは言うまでもない。
既に潜入しているみるく達は、みるくとグラッセがメイドとして、ジュレとネロは執事として囚われの勇者の居場所を探ったものの、囚われている部屋の鍵を持っているのがアントーニオとメイド長の2人のため、対面には至らなかった。それでも、攫われた時に着ていた服を回収し、ジュレが勇者を連れて退却するためにと用意した荷物と一緒にしまい込む。
「そうか…場所が分かっただけでもいい収穫だ。私も時期を見て一芝居打つ。頼んだぞ…ジュレ。」
「了解、姉さん。あまり無茶しないでよ?アレ…衣装そろえるだけでも大変だったんだから…」
「余計なお世話だ!バカもん!!!」
そう言いながら、アンニンは一言余計な言葉を口走る弟とのテレパシーを断つ。パーティー会場へと赴いた一悟達も、食事をしながら周囲を探っているが…
「あむ…このシュークリーム…皮がべちょべちょしすぎなんですけど…60点減点!」
「こっちのピザもおいしぃ~♪雪斗、全然ピザ食べないんだもん…この機会に、雪斗が普段食べないの食べちゃお♪あむ…」
心なしか、本来の目的を忘れているようである。玉菜はテーブルのシュークリームに辛辣な採点を行い、ユキは前々から食べたがっていたピザの味見を片っ端から行っている。
「あずき…俺、最初の変身で身長に全振りしたこと…」
玉菜とユキのある部分を見ながら、一悟は「はぁ」とため息をつきながら、あずきに向かって嘆く。
「気持ちは理解してますわ…でも…幼女にならないだけ…」
あずきは、一悟を慰めつつある人物を指さし…
「ライス、一悟…お前ら…今度の月曜から毎朝1週間、中等部の職員トイレの掃除な?」
一悟とあずきに向かって、幼い僧侶はそう告げる。今の体格について揶揄されるのだけは、どうしてもイラっとするらしい。
パーティー自体は何の変哲もない立食式のパーティーで、招待されている者達はアントーニオとはかねてからの知り合いが多いようだ。その中には、トルテの友人のKAORUもいる。
「お姉ちゃん、あんずトイレ行きたーい…(わざとらしい)」
「あら…困ったわね…ちょっと、そこの執事さん!」
「はい、なんでしょう?」
妹のふりをふる主の指示で、キョーコせかんどは藍色の髪の執事を呼び止める。
「この子をお手洗いに連れて行きたいのですが、案内していただけます?」
「かしこまりました。コチラでございます。」
執事の案内により、僧侶とそのアンドロイドは、突然パーティー会場から出てしまった。
暫くしてキョーコせかんどが会場に戻り、アントーニオに声をかけられるが、主らしく振舞い、軽くあしらってしまう。僧侶がいない事に一悟達は違和感を示すが、キョーコせかんどに勇者の件で別行動に入ったと言われ、安心する。
そして、アントーニオによる婚約者紹介の時間がやってきた。
「この度、僕・アントーニオ・パネットーネの婚約発表会にお集まりいただき、誠にありがとうございます。そろそろ私の伴侶となる者も、準備が整ったようです!」
嬉しそうにマイクを持ちながら、挨拶をするアントーニオを見つめる一悟達の表情はどことなく険しい。それは、アントーニオの近くへやって来る者も同じだ…
「彼女こそ、僕の生涯の伴侶!!!セーラ・シュトーレン・クラージュ・シュヴァリエ!!!!!」
まるでウェディングドレスでも通用するような純白のドレスに、両サイドを少しばかり後頭部へ編み込んだ髪型のシュトーレンが、俯いた姿で彼の元へ歩いてくる。そして、横目で会場にいる父親の姿を確認すると、顔を上げ、どよめく会場の中、覚悟を決めた表情を見せる。
「セーラは、僕がパリで…」
「ガッ…」
まるで彼にこれ以上喋らせないかのように、勇者は強引にマイクを奪い、深く息を吸う。
「この度は、この男が皆様に出鱈目を吹聴した事を、深くお詫び申し上げます!!私の名前は「セーラ・シュトーレン・クラージュ・シュヴァリエ」ではありません!「首藤聖奈」という、この木苺ヶ丘の人間です!!!」
「「「「「ええええええええええええっ!!!!????」」」」」
「な、なにを言っているんだい?君は…」
あまりの突然の出来事に、パーティーの客達だけでなく、流石のアントーニオも動揺を隠せない。
「皆様、どうか私の話を聞いてください。私は、昨日…父親である首藤和真の了承の下、かねてから結婚を約束していた男性と入籍する予定でした。幸せになる筈だったんです…」
その言葉に、会場にいる父親はうんうんと頷く。
「人の娘の幸せをブチ壊しにしやがって…いっそのこと、イタリア産マグロの解体ショーしてやりてぇ~…」
「やめないか!セーラっ!!!」
アントーニオはそう言いながら止めようとするが…
「えー…ここで皆様にお見せしたい映像がございます。血が出ているモノが苦手な人は、目を伏せながら彼女の話を聞いてください。」
突然現れた鼻眼鏡をかけた、グラッセに似た女性司会がそう言うと、シュトーレンの背後のスクリーンに、血だらけで倒れているトルテの写真が映し出される。
その様子に、会場のパーティー客たちの動揺がヒートアップする。
「これはひどい…」
「何が婚約パーティーだよ…」
「げろげろ~…いくらホテル王の息子だからって、自分の一方的な感情で人妻誘拐して、勝手に婚約者にしていいワケ~?」
ギャラリーに混ざっている1人の売れっ子モデルが、そうヤジを入れると、会場全体はアントーニオに対する批難で埋め尽くされる。
「婚約したいお相手のお気持ちを聞かずに、勝手に婚姻の話を進めるなんて…お相手の事を「鬼チョロ」だと侮辱しているのと同じですわっ!!!!!」
あずきもギャラリーに紛れつつ、アントーニオの今回の行動を批判する。スイーツ界の住人だけに、勇者の事を気安く真名で呼んでいる事に対し、その怒りは相当のようだ。
「あんな状態で倒れてたんだな…って、増田ァっ!!!もらった証拠写真を俺に見せなかったとか、何事だよっ!!!!!」
「す、すみません…うっかり弟のサブアカウントの方に送ってしまいまして…」
トルテが倒れている写真も証拠として提出されたようだが、増田刑事のミスにより、一悟の父は見られなかったようだ。
「私は、この男と結婚なんてしません!!!なんといっても、私の本当の伴侶である取手利雄に暴行を…えっ?」
勇者が背後に視線を向けると、そこには血だらけで倒れているトルテの姿を映した映像…
「セーラ…あれはただの合成さ…でっち上げ…」
「スパーーーーーーーーーーーーン」
アントーニオのセリフを遮るかのように、勇者の左手が必死で取り繕うアントーニオの頬を勢いよく叩く。
「アタシはもう、あんたなんかに騙されないっ!!!3年前からずっと人の事をしつこく付け回して…だから…皆様、どうか私を彼のいる場所へ…いいえ、家族の元へ帰してくださいっ!!!!!」
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