129 / 248
レインボーポット編
第34話「想いは一つ!勇者クラフティと明日香の愛の力!!!・後編」②
しおりを挟む「俺…?」
紫色の髪に、白い半袖のワイシャツと黒いスラックス姿の少年…その姿こそ、8年前の藍本有馬だった。8年前の有馬は、3人のクリームパフの姿を見るや否や、紫色の宝石が付いたブレイブスプーンを構え、それを空高く掲げる。
「マジパティ・スイート・トランスフォーム!!!」
8年前の有馬は瞬く間に銀髪に紫色、白を基調とした姿へと変わる。その様子に、パートナー精霊であるバニラと一体化した有馬はぐっと覚悟を決める。
「白銀のマジパティ・クリームパフ!!!禍々しい混沌のスイーツ!勇者の光で、邪な心を打ち砕いてみせる!!!」
恐らく今の彼には、3人のクリームパフがカオスイーツに見えるのだろう。彼は咄嗟にクリームグレネードを構えるが、現代の有馬は8年前の自分の所へ飛び、彼の右手首にチョップをかました。
「バシッ…」
銀髪少年の持つ紫色の銃はテニスコートの上に落下する。
「思い出した…最後の戦いの前、バニラが見た予知夢を…俺が他のクリームパフとテニスコートの上で戦うって奴…」
8年前の彼は咄嗟にクリームグレネードを拾い上げようとするが…
「やめろ!!!ここはお前にとって、神聖なテニスコートだろ!!!銃を構えて戦う場所じゃねぇっ!!!!!」
そう言いながら、現代の有馬はクリームグレネードをテニスラケットに変えてしまった。
「テニスだ…俺とテニスで勝負しろ!!!」
現代の有馬に何を感じたのか、8年前の有馬も自身の銃をテニスラケットへ変えてしまった。
「ちょっ…何で、いきなりテニスに…」
「俺、学生時代はテニス部だったんだよ。教師として帰国してからは、部活で指導するだけになっちまったけどな?サーブはこっちからだっ!!!」
玉菜にそう答えながら、有馬はコートの外で黄色いテニスボールを真上に目掛けて放り投げ、それを向かいのコートを目掛け、ラケットで打ち放つ。ボールはネットを越え、8年前の有馬のいるコートへ入り、有馬はそれを見事に打ち返す。
「流石は元テニス部…綺麗なフォームね…」
現代の有馬が打ったボールを、8年前の有馬が打ち返す…2人のラリーが続く音がテニスコート全体に響く中、テニスコートの端で身動きが取れない玉菜とトロールに異変が起こる。
「じゅわっ…」
2人の身体から何かが溶ける音がして、玉菜が目線を下ろすと…
「な、なによこれっ…」
2人を拘束しているフェンスから繊維片を溶かす液体が漏れ出し、腕のアームカバーとスカートの裾が溶け始めたのである。玉菜とトロールは何とかフェンスから抜け出そうとするが、思うように抜け出せず、玉菜を下にして転倒してしまう。
「ぶはっ…やっと息できたァ…」
「こら、私を下敷きにすんなーっ!!!」
漏れ出した液体は重力に沿うかのように、徐々に2人のコスチュームを蝕む。特に玉菜の方は、有馬達のラリーが続くと同時に、段々と素肌が露わになっていく…
「ラリー続けてないで、さっさと白黒つけんかーーーーーーーーーーーーーいっ!!!」
恥辱寸前の玉菜の叫びも虚しく、有馬達のラリーはまだ続いている。
「俺は…明日香に幸せになってほしいだけだっ!!!だから、俺は戦うんだ!」
「幸せになってほしい?それなら、どうして仲間同士が争っている事に気づかなかった!!!そこには明日香がいたはずだぞ!!!」
ラリーを続けながら、2人の有馬は互いの本音をぶつけ合う。
「本当は明日香の事が好きだったんだろ?妹同然の存在じゃなく、1人の女として!!!」
有馬がそう叫んだ刹那、8年前の有馬は危うくボールを打ち返しそびれる。恐らく、革新的な事を突かれたのだろう…
「それでも、明日香はクラフティの事を愛していた…お前は、明日香の気持ちを尊重し、明日香を応援した…違うか?」
「バシュウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥ…」
現代の有馬が打ち返したボールは、打ち返そうとする8年前の有馬の目の前でワンバウンドし、コートの外へ飛び出す。勝負が決まった瞬間だ。
「明日香は、俺を頼れる兄として見ていただけだった…だから、俺は明日香の想いに応えた…」
コートの上で膝を落とし、悲しげな表情でボールを見つめつつ、8年前の有馬はそう答えた。現代の有馬はやれやれと言わんばかりに、8年前の自分の所へやってくる。
「それでも、明日香に対して「Like」ではなく「Love」のままでいたかった気持ちは揺るがなかった…それを言わなかったのは、勇者をライバル視して、明日香に嫌われたくなかったから。それは、今でも変わんねぇ…」
「今…でも…?」
現代の有馬は黙って頷き、覚悟を決めて正体を明かす。
「俺、バニラと一体化してこの姿になっちまったんだけどな…俺は未来のお前だ。」
無邪気に微笑む現代の有馬の背後に、2人のクリームパフが並ぶ。鳥の翼を携えた方のクリームパフはコスチュームが所々溶けているが、隣にいるオッドアイの方のクリームパフの方は局部こそはギリギリで隠れているものの、スカートは殆ど機能を失っており、水色と白の縞模様のショーツが丸見えとなっている。
「玉菜ってば、酷い恰好ね…」
「誰のせいだ、誰のっ!!!」
あくまで、トロールに悪気はない。2人はトロールの力でフェンスから脱出できたようだが、今の有馬達
にとっては、修羅場という空気に切り替わりかねない。
「あーちゃんっ!!!」
テニスコートに入るためのフェンスが開き、そこから明日香が有馬の所へ駆けつける。8年前の有馬はクリームパフの姿から戻り、明日香と合流する。
「どうした、明日香…またあいつに…」
「違うの、勉強に付き合ってほしくて…あーちゃん、英語得意でしょ?だから…英語を教えて欲しいの!!!」
そんな2人の様子に、現代の有馬は安堵する。安堵と同時に、有馬はどうして過去の自分が明日香の心の世界に存在しているのか理解した。
「明日香にとって、有馬は兄でもあり、憧れの存在」
…だったからだ。
「俺も…ちゃんと明日香に伝えるか…明日香を愛していた…てな?」
そう言いながら、現代の有馬は2人のクリームパフに微笑みながら振り向いた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』
月神世一
SF
【あらすじ】
「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」
坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。
かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。
背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。
目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。
鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。
しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。
部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。
(……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?)
現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。
すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。
精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。
これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。
~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる
僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。
スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。
だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。
それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。
色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。
しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。
ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。
一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。
土曜日以外は毎日投稿してます。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜
美鈴
ファンタジー
ホットランキング上位ありがとうございます😊
ストーカーの被害に遭うアイドル歌羽根天音。彼女は警察に真っ先に相談する事にしたのだが…結果を言えば解決には至っていない。途方にくれる天音。久しぶりに会った親友の美樹子に「──なんかあった?」と、聞かれてその件を伝える事に…。すると彼女から「なんでもっと早く言ってくれなかったの!?」と、そんな言葉とともに彼女は誰かに電話を掛け始め…
※カクヨム様にも投稿しています
※イラストはAIイラストを使用しています
異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』
見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装…
俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。
突然の事で戸惑うクラスメート達…
だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。
「またか…」
王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。
そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。
そして俺はというと…?
『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』
「それよりも不知火君は何を得たんだ?」
イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。
俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。
その場にいた者達は、俺の加護を見ると…
「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。
『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』
王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。
まぁ、その方が気楽で良い。
そして正義は、リーダーとして皆に言った。
「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」
正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。
「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」
「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」
「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」
「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」
「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」
「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」
「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」
俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。
「その…鎧と剣は?」
「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」
「今迄って…今回が2回目では無いのか?」
「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」
俺はうんざりしながら答えた。
そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。
いずれの世界も救って来た。
そして今度の世界は…?
6月22日
HOTランキングで6位になりました!
6月23日
HOTランキングで4位になりました!
昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°.
6月24日
HOTランキングで2位になりました!
皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
