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レインボーポット編
第34話「想いは一つ!勇者クラフティと明日香の愛の力!!!・後編」④
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「あの男以外なら、誰でもいい…私を…助けてっ!!!私をこの世界から引きずり出してっ!!!!!」
家屋や木という木に飛び移りながら移動中、海岸の方からあすちゃんの叫び声が聞こえた。あすちゃんだって、この世界から抜け出したいんだ…だからこそ俺はあすちゃんの願いを叶えたい…勇者と一緒に…
海岸にたどり着くと、俺はミルフィーユの姿のまま砂浜を歩く。ピンクの光の先には、砂浜の上で膝を落とすツインテールのミルフィーユの姿…あすちゃんだ。あすちゃんは俺の気配に気づくや否や、顔を上げる。
「俺を呼んだのは、お前か?ミルフィーユ…」
この世界でずっと孤独で戦ってきたんだろう…あすちゃんはやっと誰かに出会えて嬉しそうな顔をしている。
「俺はお前と同じミルフィーユ…「いちご」だ。」
俺はあすちゃんに向かってそう言うと、腰にあるブレイブスプーンに手をかけ、その姿を変える。
あすちゃんと同じこげ茶色の髪をポニーテールにまとめ、赤い襟に白い身頃のセーラー服に、赤いプリーツスカートに黒いスパッツ。茶色いラインが引かれた白いハイソックスと黒いローファー…今の俺の姿は、サン・ジェルマン学園中等部の夏服姿だ。本当なら屋敷を出た時の服装にしたかったけど、ぶっちゃけこっちの方が慣れてるし、動きやすい。
「変身を解け…ミルフィーユ…いいや、千葉明日香!!!」
俺はそう言いながら、セーラー服姿でファイティングポーズを決める。マジパティの姿で、他のマジパティとタイマン勝負なんて…もう2度とやりたくないんだ。
「わ…わかったわ…」
あすちゃんは腰についているブレイブスプーンに手をかけ、変身を解く。こげ茶色のツインテールに、紗山中学校の冬服…間違いなく失踪当時の服装だ。モカの残留思念から聞いた通り、あすちゃんは赤いアンダーリムタイプのメガネをかけている。
「突然だけど、千葉明日香…俺と勝負しろ!!!」
俺は砂浜をぐっと踏み込み、あすちゃんに飛び掛かる。あすちゃんは咄嗟に避けたから、不発だ。
「い、いきなり何をするのっ!!!」
「クソ暑い炎天下で、厚手の冬服姿でその瞬発力…それに、お前はこの世界で長時間カオスジャンク達と戦っていた…仮にマジパティの姿になっていたとはいえ、長時間の戦闘は体力を消耗する…つまり、この世界では常にお前が有利の状態で戦える…」
7月の茅ケ崎は暑い…それは、あすちゃんの心の世界にいる俺でも、その暑さを全身で感じている。おまけに、さっきの移動で体力があるとは言えない状態だ。俺自身、あまり長くはもたない…だからこそ、俺はあすちゃんを…
心の闇から解放したいっ!!!
「まずは質問に答えろ!!!お前は…マジパティとして戦ってきて、楽しかったか?」
「え、えぇ…だって、家ではリボンやフリルのついた服が着られないんだもの。好きな恰好をして、好きな人と一緒にいて…楽しかった。」
涼ちゃんや紅子おばさんの言う通りだ…あすちゃんは、ミルフィーユの姿を気に入っていた。「あの男」に何も言われないところで、あすちゃんは輝いていたんだ。でも、あすちゃんはマジパティとして大事な事を、三つ見落としていた…
「それなら…どうして、仲間を大事にしなかった…同じ勇者から、力、知性、愛、光を受け継いだ者同士だろ!!!」
「なか…ま?確かに、私は他のマジパティと一緒だった事はあったけど…仲間なんて、私は…」
やっぱり、あすちゃんにとっての仲間は…勇者クラフティとモカ…時折、有馬とバニラがいた。トモちんとここなは仲間ではなく、「恋のライバル」としてしか見ていなかったんだ。これが、一つ目の欠点…
「だろうな…お前はソルベとプディングをライバル扱いしていたんだ。マジパティとしての欠点・その1…」
あすちゃんにそう言うと、俺はあすちゃんに上段蹴りを決めようとするが、あすちゃんは咄嗟にしゃがみ込んで、難を逃れた。
「マジパティとしての欠点?わ、私はただ…好きな人と一緒に…」
「好きな人…好きな人って…お前はそう言うけど、お前が他のマジパティといがみ合ってるのを見て…そいつがどう思っていたか、考えた事はあったのかよ!!!」
あすちゃんは、言葉が出ないまま顔を青く染め上げる。
「私と一緒にいる時の笑顔が嬉しくって…私…ニコルが悲しむ顔なんて…」
気づかなかったんだ…勇者クラフティは、一緒にカオスと戦ってほしかっただけだった。マジパティ同士が争う事なんて、最初から望んでいなかった…二つ目の欠点…
「「恋は盲目」…僧侶様はそう言ってた。だからお前は、勇者と一緒にいる事しか見ていなかった。それはソルベも、プディングも同じだった…勇者はただ、一緒にカオスと戦ってほしかっただけなのにな?マジパティとしての欠点・その2…まぁ、これはソルベとプディングの欠点でもあるけどな。」
今度はあすちゃんに足払いをする。またもや避けられるけど、あすちゃんは着地でバランスを崩して転倒し、メガネを落としてしまう。
「わ、私…メガネがないと…」
あすちゃんは慌ててメガネを拾い上げるが、あすちゃんがメガネを拾った瞬間、あすちゃんのメガネはさらさらと砂のように崩れてしまった。やっぱりモカが言ったとおりだ。次で…決めるっ!!!
「最後の質問だ…お前は、自分がいなくなった事で、自分の姉弟、母親、祖父母達…そして、勇者の家族の事を考えた事はあったのか?」
あすちゃんがいなくなって、俺は正直言うと…頼れるお姉さんを失ったような気分だった。最も…俺の姉ちゃんは頼りになんねーし、「頼れるお兄さん」がお隣にいても、「神童」と呼ばれたお兄さんには、常にクラスメイト達が取り囲んでいた。
「あ、あの男以外なら忘れた事もないわ!!!お母さんも…柊也も…涼也も…おじいちゃんやおばあちゃんだって、私の大切な人よ!!!勿論、いとこ達もそうだし…」
「でも…勇者の家族については考えた事もなかったよな?お前の勇者は、常に自分の兄と比べられる自分を嫌っていた…」
「それは知ってる…私と同じ年頃の妹分がいる事も、ニコルから聞かされた…あまりにも楽しそうにしゃべるから、正直聞きたくなかったけど…」
「その子は…たった1人の少女として育つはずだった…「偉大な勇者の娘」として幸せになるはずだった…」
段々と怒りがあふれ出してくる…先代マジパティの身勝手な想いで、彼女は過酷な運命を背負うことになったんだ…
「俺はその少女の力を受け継いだマジパティだ…お前の独りよがりな言動で、過酷な運命を背負った少女の…」
それが、最後の欠点…俺はそのままあすちゃん目掛けて力いっぱい拳を突き出した…
「ドゴッ…」
何かが当たる音がして、俺は顔を上げると、そこにはあすちゃんではなく、勇者クラフティの姿…
「流石は、セーラの力を受け継いだマジパティだ…強烈な拳だぜ…」
それと同時に、勇者クラフティの甲冑に包まれた腹部に当たっている俺の拳に、衝撃が走り出す。
「いってぇえええええええええええええーーーーーーーーーー!!!!!」
「ニコル!!!どうして…ここに…」
ぽんぽんとあすちゃんの身体に着いた砂を払いながら、勇者クラフティははにかみながら微笑む。
「お前を助けに来たんだよ…大切な存在として…」
「助…けに…」
「だから、一悟達と一緒に来たんだ。あいつらも、俺と同じ想いでここに来た…「お前を心の闇から解放したい」…って。」
勇者の言葉に、あすちゃんの瞳が潤み始める。やっと…思い出したんだ…
「この世界にいる明日香は、ダークミルフィーユだった時の記憶はカオスの力によって封印されています。明日香をこの世界から引きずり出す…いわば、カギのようなモノ。」
あすちゃんのメガネが砂のように崩れてしまったのは、ダークミルフィーユだった時に落としてしまったから…その時に拾い上げようとしなかったのは、落としたことに気が付かなかっただけ…
「思い出した…私…一悟を庇って、カオスに…」
やっと、あすちゃんが終業式の日の事を思い出す。あすちゃんは、俺を庇ってカオスに囚われ、黒水晶の中へ封印されていた。それを、ビスコッティだった柊ちゃんが茅ケ崎へ運んだ…
「あすちゃん…もう大丈夫みてぇだな?」
そう言いながら、俺は8年前にあすちゃんが俺をカオスイーツから助けた時のように、あすちゃんに右手を差し出す。
「一悟…ありがとう…私、マジパティとしてやり直したい。今度は私1人で戦うんじゃない…みんなと一緒に戦いたいの!!」
あすちゃんは俺が差し出した右手をぎゅっと掴む。
「俺もさ…あすちゃんと一緒に戦いてぇんだ。だから、もう勇者をかけて争うのはナシだぜ!!!」
あすちゃんがふふっと笑うと、俺は制服のポケットからブレイブスプーンを取り出し、あすちゃんはそれを受け取った。
家屋や木という木に飛び移りながら移動中、海岸の方からあすちゃんの叫び声が聞こえた。あすちゃんだって、この世界から抜け出したいんだ…だからこそ俺はあすちゃんの願いを叶えたい…勇者と一緒に…
海岸にたどり着くと、俺はミルフィーユの姿のまま砂浜を歩く。ピンクの光の先には、砂浜の上で膝を落とすツインテールのミルフィーユの姿…あすちゃんだ。あすちゃんは俺の気配に気づくや否や、顔を上げる。
「俺を呼んだのは、お前か?ミルフィーユ…」
この世界でずっと孤独で戦ってきたんだろう…あすちゃんはやっと誰かに出会えて嬉しそうな顔をしている。
「俺はお前と同じミルフィーユ…「いちご」だ。」
俺はあすちゃんに向かってそう言うと、腰にあるブレイブスプーンに手をかけ、その姿を変える。
あすちゃんと同じこげ茶色の髪をポニーテールにまとめ、赤い襟に白い身頃のセーラー服に、赤いプリーツスカートに黒いスパッツ。茶色いラインが引かれた白いハイソックスと黒いローファー…今の俺の姿は、サン・ジェルマン学園中等部の夏服姿だ。本当なら屋敷を出た時の服装にしたかったけど、ぶっちゃけこっちの方が慣れてるし、動きやすい。
「変身を解け…ミルフィーユ…いいや、千葉明日香!!!」
俺はそう言いながら、セーラー服姿でファイティングポーズを決める。マジパティの姿で、他のマジパティとタイマン勝負なんて…もう2度とやりたくないんだ。
「わ…わかったわ…」
あすちゃんは腰についているブレイブスプーンに手をかけ、変身を解く。こげ茶色のツインテールに、紗山中学校の冬服…間違いなく失踪当時の服装だ。モカの残留思念から聞いた通り、あすちゃんは赤いアンダーリムタイプのメガネをかけている。
「突然だけど、千葉明日香…俺と勝負しろ!!!」
俺は砂浜をぐっと踏み込み、あすちゃんに飛び掛かる。あすちゃんは咄嗟に避けたから、不発だ。
「い、いきなり何をするのっ!!!」
「クソ暑い炎天下で、厚手の冬服姿でその瞬発力…それに、お前はこの世界で長時間カオスジャンク達と戦っていた…仮にマジパティの姿になっていたとはいえ、長時間の戦闘は体力を消耗する…つまり、この世界では常にお前が有利の状態で戦える…」
7月の茅ケ崎は暑い…それは、あすちゃんの心の世界にいる俺でも、その暑さを全身で感じている。おまけに、さっきの移動で体力があるとは言えない状態だ。俺自身、あまり長くはもたない…だからこそ、俺はあすちゃんを…
心の闇から解放したいっ!!!
「まずは質問に答えろ!!!お前は…マジパティとして戦ってきて、楽しかったか?」
「え、えぇ…だって、家ではリボンやフリルのついた服が着られないんだもの。好きな恰好をして、好きな人と一緒にいて…楽しかった。」
涼ちゃんや紅子おばさんの言う通りだ…あすちゃんは、ミルフィーユの姿を気に入っていた。「あの男」に何も言われないところで、あすちゃんは輝いていたんだ。でも、あすちゃんはマジパティとして大事な事を、三つ見落としていた…
「それなら…どうして、仲間を大事にしなかった…同じ勇者から、力、知性、愛、光を受け継いだ者同士だろ!!!」
「なか…ま?確かに、私は他のマジパティと一緒だった事はあったけど…仲間なんて、私は…」
やっぱり、あすちゃんにとっての仲間は…勇者クラフティとモカ…時折、有馬とバニラがいた。トモちんとここなは仲間ではなく、「恋のライバル」としてしか見ていなかったんだ。これが、一つ目の欠点…
「だろうな…お前はソルベとプディングをライバル扱いしていたんだ。マジパティとしての欠点・その1…」
あすちゃんにそう言うと、俺はあすちゃんに上段蹴りを決めようとするが、あすちゃんは咄嗟にしゃがみ込んで、難を逃れた。
「マジパティとしての欠点?わ、私はただ…好きな人と一緒に…」
「好きな人…好きな人って…お前はそう言うけど、お前が他のマジパティといがみ合ってるのを見て…そいつがどう思っていたか、考えた事はあったのかよ!!!」
あすちゃんは、言葉が出ないまま顔を青く染め上げる。
「私と一緒にいる時の笑顔が嬉しくって…私…ニコルが悲しむ顔なんて…」
気づかなかったんだ…勇者クラフティは、一緒にカオスと戦ってほしかっただけだった。マジパティ同士が争う事なんて、最初から望んでいなかった…二つ目の欠点…
「「恋は盲目」…僧侶様はそう言ってた。だからお前は、勇者と一緒にいる事しか見ていなかった。それはソルベも、プディングも同じだった…勇者はただ、一緒にカオスと戦ってほしかっただけなのにな?マジパティとしての欠点・その2…まぁ、これはソルベとプディングの欠点でもあるけどな。」
今度はあすちゃんに足払いをする。またもや避けられるけど、あすちゃんは着地でバランスを崩して転倒し、メガネを落としてしまう。
「わ、私…メガネがないと…」
あすちゃんは慌ててメガネを拾い上げるが、あすちゃんがメガネを拾った瞬間、あすちゃんのメガネはさらさらと砂のように崩れてしまった。やっぱりモカが言ったとおりだ。次で…決めるっ!!!
「最後の質問だ…お前は、自分がいなくなった事で、自分の姉弟、母親、祖父母達…そして、勇者の家族の事を考えた事はあったのか?」
あすちゃんがいなくなって、俺は正直言うと…頼れるお姉さんを失ったような気分だった。最も…俺の姉ちゃんは頼りになんねーし、「頼れるお兄さん」がお隣にいても、「神童」と呼ばれたお兄さんには、常にクラスメイト達が取り囲んでいた。
「あ、あの男以外なら忘れた事もないわ!!!お母さんも…柊也も…涼也も…おじいちゃんやおばあちゃんだって、私の大切な人よ!!!勿論、いとこ達もそうだし…」
「でも…勇者の家族については考えた事もなかったよな?お前の勇者は、常に自分の兄と比べられる自分を嫌っていた…」
「それは知ってる…私と同じ年頃の妹分がいる事も、ニコルから聞かされた…あまりにも楽しそうにしゃべるから、正直聞きたくなかったけど…」
「その子は…たった1人の少女として育つはずだった…「偉大な勇者の娘」として幸せになるはずだった…」
段々と怒りがあふれ出してくる…先代マジパティの身勝手な想いで、彼女は過酷な運命を背負うことになったんだ…
「俺はその少女の力を受け継いだマジパティだ…お前の独りよがりな言動で、過酷な運命を背負った少女の…」
それが、最後の欠点…俺はそのままあすちゃん目掛けて力いっぱい拳を突き出した…
「ドゴッ…」
何かが当たる音がして、俺は顔を上げると、そこにはあすちゃんではなく、勇者クラフティの姿…
「流石は、セーラの力を受け継いだマジパティだ…強烈な拳だぜ…」
それと同時に、勇者クラフティの甲冑に包まれた腹部に当たっている俺の拳に、衝撃が走り出す。
「いってぇえええええええええええええーーーーーーーーーー!!!!!」
「ニコル!!!どうして…ここに…」
ぽんぽんとあすちゃんの身体に着いた砂を払いながら、勇者クラフティははにかみながら微笑む。
「お前を助けに来たんだよ…大切な存在として…」
「助…けに…」
「だから、一悟達と一緒に来たんだ。あいつらも、俺と同じ想いでここに来た…「お前を心の闇から解放したい」…って。」
勇者の言葉に、あすちゃんの瞳が潤み始める。やっと…思い出したんだ…
「この世界にいる明日香は、ダークミルフィーユだった時の記憶はカオスの力によって封印されています。明日香をこの世界から引きずり出す…いわば、カギのようなモノ。」
あすちゃんのメガネが砂のように崩れてしまったのは、ダークミルフィーユだった時に落としてしまったから…その時に拾い上げようとしなかったのは、落としたことに気が付かなかっただけ…
「思い出した…私…一悟を庇って、カオスに…」
やっと、あすちゃんが終業式の日の事を思い出す。あすちゃんは、俺を庇ってカオスに囚われ、黒水晶の中へ封印されていた。それを、ビスコッティだった柊ちゃんが茅ケ崎へ運んだ…
「あすちゃん…もう大丈夫みてぇだな?」
そう言いながら、俺は8年前にあすちゃんが俺をカオスイーツから助けた時のように、あすちゃんに右手を差し出す。
「一悟…ありがとう…私、マジパティとしてやり直したい。今度は私1人で戦うんじゃない…みんなと一緒に戦いたいの!!」
あすちゃんは俺が差し出した右手をぎゅっと掴む。
「俺もさ…あすちゃんと一緒に戦いてぇんだ。だから、もう勇者をかけて争うのはナシだぜ!!!」
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