激甘革命!マジパティ(分割版)

夜ノ森あかり

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レインボーポット編

第38話「失恋の果てに…スイーツ界の闇とサトリの選択」④

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「まさか、貴様がダークミルフィーユだったとはな…探す手間が省けた。」
 クラフティがベイクの反対側に目を向けると、そこには鏡があり、鏡に映っているのは勇者の姿のクラフティ、そして隣にいるのは明日香ではなく…ダークミルフィーユの姿であった。肝心の明日香はパニック状態が続いており、愛する者の腕にしがみついたまま離れようとしない。それでも男の勇者はポケットの中からアクセサリー状態の大剣を取り出し、実物大サイズに変え、瞬く間に勇者の姿へと変わった。
「お前か…兄さんをつけ狙う武将の男は…」
「今は貴様とあの忌々しい勇者に用はない…あのお方の所有物を返してもらう!!!」

「パチン!!!!!」

 ベイクが指を鳴らした刹那、鏡から黒い手が何本も伸び、2本の手が明日香の両足を掴んだ。
「ひぃっ…」
「ミラーケーキカオスイーツ、ダークミルフィーユを捕らえろ!!!」
 ベイクがそう言うと、別の2本の手が明日香の口を塞ぎ、鏡の中へと引きずり込もうとする。だが、明日香はクラフティの腕を掴んだまま、決して放そうとはしない。明日香が鏡の中へ引きずられると同時に、勇者クラフティの身体も鏡の方へ近づいていく…
「ざけんじゃねぇ…」
 無数の腕が明日香の全身に絡みつく中、勇者クラフティはボソっと呟くと、大剣を地面に突き刺し、背後の鏡を裏拳で思いっきり叩いた。

「パリイイイイイイイイィィィィィィン!!!!!」

「明日香は物じゃねぇっ!!!れっきとした人間だ!そんな奴らに、俺の大切な人を渡せるかっ!!!!!」

 鏡の破片で右手から血が滲むのも構わず、男の勇者は黄金のオーラを放ち、明日香に絡みついた無数の手は鏡の中へと引っ込んでしまった。
「フン!あの兄にしてこの弟ありという事か…ミラーケーキカオスイーツ、今度は勇者共々捕らえろ!!!」

「パチン!!!!!」

 ベイクは再び指を弾くが、勇者の黄金のオーラによって、鏡から伸びる無数の手は弾かれ、鏡の中へと引っ込んでしまう。

「パリン!!!パリン!!!!パリイイイィィィィィン!!!!!」

 それと同時に、三方向から次々と鏡の割れる音が響き渡り、とうとうカオスイーツの本体が勇者達の前に現れ、ベイクを下敷きにしてしまった。
「クラフや、クラフが選んだ相手には指一本触らせない!!!!!」
 ここなの叫び声と同時に、勇者クラフティから見て左側から熱を持った黄金の球体が飛び交い、カオスイーツとベイクの動きを封じてしまった。そして、球体が飛んできた方角から、プディングワンドを構えたここなと、カオスジャンクを踏みつける玉菜が姿を現した。ここなの腰のブレイブスプーンの脇には、黄金色の宝石が煌めく。

「「マジパティ・ツインスクリューキーーーーーーーーーック!!!!!」」

 ここなの攻撃に続くかのように、今度はクリームパフの姿の有馬と、ソルベの姿の友菓がカオスイーツとベイクに更なるダメージを与える。
「あすちゃんとクラフティの邪魔はさせないよ!!!」
「幼馴染の幸せ、そう簡単に壊させてたまるか!!!」
 それぞれの想いを叫びつつ、友菓と有馬はカオスイーツの上からクラフティと明日香の近くへ着地する。そして、今度はクラフティ達の正面から女性が叫びながら走ってくる。聞き覚えのない声に勇者クラフティのマジパティ達と玉菜はきょとんとするが、勇者クラフティは同じ方角からやってくるムッシュ・エクレールの姿を確認すると、にっと笑いだす。それと同時に黄金のオーラは真紅のリーフに変わり、ここなの目の前に突如、黄色の光を放つ愛のリーフが現れ、勇者クラフティの右手の怪我は何事もなかったかのように回復する。。

「本当に、あんたは相変わらず兄さんの足元どころか、セーラの足元ですら及ばないんだから!!!!!」

 カオスイーツとブラックビターの幹部を踏みつけながらやって来た女性はTシャツにジーンズにスニーカーと、動きやすい恰好であるが、その恰好に似合わぬ大剣を握りしめている。そんな彼女の脇には勇者クラフティのレインボーポットがふよふよと浮いている。
「言ってくれるじゃねぇか!舅にイビられてた癖に…」
 それは、勇者クラフティの双子の姉・エレナであった。
「人間界で女たらしこんでおいた挙句、大事なモノ忘れるあんたに言われる筋合いはないわよ!!!ほら、さっさとカオスイーツを始末しちゃいなさい!」
 そう言いながら、彼女は弟にレインボーポットとエメラルドに輝く宝石を手渡す。
「感謝しなさいよ?アタシの力、サヴァランジュエルとしてあんたに託すんだから…」
 その言葉に、男の勇者に託された宝石は光を放ち、彼の大剣にはめ込まれる。それと同時に勇者クラフティはレインボーポットの蓋を開けると、真紅に輝く勇気のリーフと黄色に輝く愛のリーフはポットの中に入り、ポットから赤い光と黄色の光が水の様に交互に湧き上がった。

「明日香、戦えるか?」
 今も腕に捕まる明日香に話しかける。だが、明日香の様子は先ほどとは違う…
「えぇ、ニコルやみんながいるもの!!!怖くはないわ!」
 そう言いながら、明日香は勇者の腕から離れ、ブレイブスプーンを構えた。

「マジパティ・スイート・トランスフォーム!!!!!」

 明日香の全身を覆いつくすように、ピンクの光の柱が現れ、明日香はピンク色のツインテールに、ピンクを基調とした衣装の姿の少女に変身した。
「ピンクのマジパティ、ミルフィーユ!!!」
「おのれ…なんて忌々しい…あのお方の所有物の分際で…」
 カオスイーツごと起き上がろうとするベイクだが、そんな鎧の幹部に追い打ちをかけるように、ムッシュ・エクレールの束縛魔法で妨害されてしまう。
「貴様に、勇者様の大切なお方を物呼ばわりする資格などない!!!」
 そう口走る魔導士の瞳は、鎧の幹部に対して冷徹だ。
「今です、勇者様!そしてマジパティ達!!!」
「ナイスアシスト!エクレール!!!みんな、行くぞ!!!!!」
 勇者は魔導士と双子の姉、己のマジパティの前で大剣を構えた。そして彼のマジパティ達も、武器を構える。

「3つの心を1つに合わせて…」

 ミルフィーユ、プディング、ソルベがそう叫んだ瞬間、3人の武器は光の粒子となり、それぞれのカラーに合わせた細身の剣・パティブレードに変わった。

「勇者の力を1つの剣に!!!ミルフィーユブレード!!!」
「勇者の愛を1つの剣に!!!プディングブレード!!!」
「勇者の知性を1つの剣に!!!ソルベブレード!!!」

 3人はそれぞれのパティブレードを構え、ピンク、黄色、水色の光をまといつつ、カオスイーツに飛び掛かる。

「有馬、今は私のエクレールジュエルを使え!!!」
 ムッシュ・エクレールが萌黄色の宝石を有馬に向かって投げると、有馬はそれを右手でキャッチする。有馬はパートナー精霊と一体化しているため、パートナー精霊のジュエルを持っていない今は、決め技を使えない。しかし、スイーツ界の魔導士は元々精霊の加護を受けているため、彼らの力をジュエルを介して、精霊の力同様の強さの力をかりる事ができる。
「サンキュ、かりるぜ♪」
 有馬がそう言うと、萌黄色の宝石は白い光を放つ。
「バレットリロード!!!」
 有馬はそう言いながら、白い光を放つ宝石をクリームグレネードのレンコン状のシリンダーに光の銃弾を装填する。そして、有馬は左手でシリンダーをくるくると回転させ、狙いを定めると同時に、拳銃のトリガーを引く。

 そして、勇者は白い光を纏いながらカオスイーツの前で高くジャンプする…

「「「「「マジパティ・ブレイブ・ピュニシオン!!!!!」」」」」

 その掛け声とともに、カオスイーツはミルフィーユ、プディング、ソルベの順に斬られ、クリームパフの無数の光の銃弾を浴びる。最後に、勇者クラフティがカオスイーツの頭上から大きく振りかぶってカオスイーツを一刀両断する。

「「「「「アデュー♪」」」」」

 勇者と4人のマジパティがウインクをすると、カオスイーツは光の粒子となり、本来の姿を取り戻す。だが、ベイクは…
「なんて忌々しい力だ…この力に屈してたまるか!!!!!」
 カオスイーツが元の姿に戻っているスキに、フッと音を立て、どこかへ消えてしまったのであった。



「そんで、何でここにいるんだよ?」
 スイーツ界に居るはずの双子の姉が、なぜ人間界にいるのか状況が飲み込めない勇者クラフティは、姉に詰め寄る。
「アタシはね、当主夫人がアタオカ鎧に連れていかれちゃったから、連れ戻しに来ただけよ?」
 ミラーケーキのカオスイーツにされていたのは、氷見家当主・氷見冬彦ひみふゆひこの妻・涼子りょうこであった。そんな彼女は気を失っており、ベンチで寝かされている。
「それはわかるっつーの!!!俺が聞きたいのは、何で人間界に…」
「モーガンが父親である国王を見限った以上、スイーツ界にいる必要なんてないもの…一家全員、人間界に亡命よ♪」
 しれっと話す王子の妃に、プディング以外のマジパティ達、勇者、魔導士は開いた口が塞がらない。プディングは昨日のブランシュ親子のやり取りを思い出したのか、思わず両肩を震わせる。

「それって…大勇者様は全てを知っているのか?ボク…ブランシュ卿達が…」

「その質問…今は「Yes」とだけしか言えないわね。アタシは勇者じゃないし、この事を話すべきなのは兄さん…いえ、勇者ガレット本人だからね。」
 エレナはそう言うと、夫と氷見家の使用人たちと共に当主夫人を連れ、氷見家へと行ってしまった。そんな彼女を、勇者クラフティ達は黙ってみているしかなかった。
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