激甘革命!マジパティ(分割版)

夜ノ森あかり

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レインボーポット編

第38話「失恋の果てに…スイーツ界の闇とサトリの選択」③

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「行ってきまーす!!!」
 翌日、明日香は母にそう言いながら、玄関のドアを開ける。再会してからの母はとても元気で、9月から仕事が始められるよう、就職活動も頑張っている。
「義母さん、昨日ハローワークに行ってから、相当ご機嫌だったな。」
「だって、あの男と結婚してから、パートすら許されなかったのよ?おじいちゃんの計らいでパート先が決まっても、すぐに辞めさせられてたし…」
「それなら、尚更いい就職先が見つかるといいな。」
 明日香の母の再就職を祈りつつ、2人はアパートに隣接している駐車場に到着すると、中古の白い軽自動車のドアを開け、軽自動車に乗り込む。今日は明日香が仕事で、クラフティは非番の日だ。車を走らせながら、会話が楽しく弾む中、2人は車の進行方向に、ある人物の姿を目にしてしまう。

「うぐっ……」

 吐き気を催すような邪悪な気配に、ゴリラと思えるような体格と、それに似つかわしくない坊主頭にボリュームのある横髪…それは、明日香にとって二度と見たくない人物であった。明日香はダッシュボードからエチケット袋を取り出すと、その袋を口に当て、クラフティは咄嗟にカフェとは反対の方向へハンドルを切った。
「明日香…今すぐ安全な所へ…」
 吐き気を訴える明日香の背中を、パートナー精霊であるモカが優しくさする。その間に男の勇者は公園の脇に車を止め、明日香とモカを連れて公園へと運んだ。
「セーラ…明日香の事なんだけど、あの野郎がアパートの近くに現れて…あぁ…ひどく取り乱して…少し遅くなる。」
 クラフティは姪にそう連絡すると、今度は公園脇の自販機でさっぱりとした飲み口の飲み物を購入し、それを明日香に与える。

 男の勇者は明日香をカオスから救出後、病院の検査の際、女僧侶が担当医から告げられた言葉を不意に思い出す。

「明日香さんは、父親からの虐待で心に深い傷を負っています。PTSDの疑いがありますので、お母様やご婚約者様にその事をよくお伝えください。」

 カオスから…ましてや、自分の父親から解放されるのは、そうたやすい事ではなかった。だからこそ、自分は明日香の心の病と向き合わなければならない。勇者クラフティはそう考える。
「明日香…大丈夫だ。今は俺が付いている…」
 彼の言葉に少し落ち着いたのか、明日香は勇者クラフティにもたれかかる。それだけでも、十分幸せだと2人は思った。

 その幸せな時間も束の間、明日香と勇者クラフティ、そして精霊のモカがいる公園に異変が起こった。まるで空間が歪んだような感覚を覚えた刹那、邪悪な気配と共に、公園の地面から次々と大きな鏡が、まるで屋敷に仕掛けられた槍のからくりの如く飛び出してきた。
「カオスイーツ…」
 そう確信したと同時に、勇者の背後に戦国武将のような甲冑姿の男が現れた。



 ほぼ同時刻、ここなは玉菜、フォンダンと一緒にカフェへと向かっている。玉菜の自宅はサン・ジェルマン学園からは一番近いが、一悟、みるく、雪斗ゆきと、魔界のマジパティ達と比べると、徒歩7分の差があるほどカフェまでの距離が長い。その上、途中で木苺ヶ丘きいちごがおか中央公園と雪斗の家を経由する。そろそろ徒歩以外の交通手段を用意したいところだ。
「なぁ、玉菜…」
「なぁに?」
「この公園…今日はイベントでもあるのか?」
 2人の目の前には、大きな鏡が巨大迷路のように並んでいた公園の姿であった。
「町内会のお知らせにはなかったはず…それに、この公園で無断でイベントの開催は禁止されているはずよ!!!」
 そう言いながら、玉菜はブレイブスプーンを構え、ここなも彼女の言葉に同意を示すかのように、ブレイブスプーンを構えた。

「「マジパティ・スイート・トランスフォーム!!!」」

 呪文を叫ぶと、ここなは金髪ショートヘアに、オレンジ色を基調とした執事服をベースとした姿の少年に、玉菜は銀髪ロングヘアーに黒と紫を基調としたコスチュームの女性にそれぞれ変身した。
「黄色のマジパティ、プディング!!!」
「白銀のマジパティ、クリームパフ!!!」
 変身が完了すると同時に、マジパティに変身した玉菜とここなは、巨大迷路と化した公園の中へと侵入する。そして、その2人の跡を追うかのように、ムッシュ・エクレールと既にクリームパフの姿に変身した有馬ありま、そして勇者クラフティと同じ髪色の女性の3人が公園の中へ侵入した。
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