激甘革命!マジパティ(分割版)

夜ノ森あかり

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激甘革命編

第49話「万事休す…混沌皇帝(カイザーカオス)、降臨!」①

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 カオスの本体がシュガトピア王国の国王だったベルナルド4世で、明日香あすかの父親が混沌こんとん依り代よりしろだと判明した刹那、女勇者はまるでぷつりと糸が切れたかのように、その場に倒れそうになるが、夫に支えられ、事なきを得た。

「一体…何が起こったんスか?」

 大勇者は険しい表情のまま何も言わず、ソファーに座り、顔面を両手で覆ってしまった。「一悟いちご達になんて説明すればいいのか」…彼の頭の中で、突然突き付けられた現実ががんじがらめになって、1人の勇者を悩ませる。特に明日香に対しては、自分を性的虐待してきた相手であるだけに、猶更だ。



「ピーンポーーーーーーーーーーン…」



 そんな沈黙の空気をかき消すかのように、玄関のチャイムが鳴り響く。シュトーレンは夫の手を握りつつ、恐る恐る玄関まで向かうと…

「ご無沙汰しております…勇者シュトーレン…」

 服装はこじゃれたスーツ姿ではあるが、連邦軍に捕まり、処刑を待っていたはずのアンソニー第1王子の妃・オルタンスが立っていた。そして、その背後に立っている初老の男性に気づくや否や、女勇者は夫と共に、オルタンス妃と初老の男性をリビングへ案内した。



「ガチャッ…」



 リビングのドアが開くや否や、初老の男性はガレットの姿に気づくや否や、ガレットが座っているソファーに腰かける。テレビはシュトーレンが玄関に向かっている間に電源を消していた様で、初老の男性はテレビの方に目を向けるや否や、右手の人差し指をテレビの方へ向け、手に持っている水晶玉を光らせた。





「いやだ!!!余はまだ死にたくない!!!!!」

「醜い命乞いをする暇があるなら、今すぐ民衆達に死して詫びよ!!!!!」





 初老の男性が持っているバレーボールサイズの水晶玉が光を放ったと同時に、突然テレビの画面にシュガトピア王国の処刑場が映し出される。ドルチェ帝国女帝・キャロライン2世の罵声と、まるで狂ったかのように処刑場で泣き叫ぶ第1王子の様子に、シュトーレン、トルテ、オルタンスの3人は呆れそうになり、ガレットは俯きながらテレビのリモコンを手に取るが…

「大勇者ガレット…いや、カルマン。これは、グレートホイップのミランダ女王がご覧になられている光景だ。他国の君主たちとの話し合いで行った事とはいえ、突然の来訪となってしまった事は、すまなかった…」

「メルバ大統領…親父、いえ…父とは…」

 女勇者に声をかけられた初老の男性はすっと立ち上がり、フルーティア連邦国の政治家である証を突き出した。



「私はフルーティア連邦国15代目大統領、チャールズ・メルバ。妻はマロン・グラサージュ・メルバ…勇者モンブランの長女にあたる。つまり、私は勇者ガレットの義理の叔父にあたる。そして、これから処される元王子の元妻・オルタンスは私の第1子…つまり、大勇者ガレットのいとこだ。」



 大統領の説明に、カフェ全体が驚きに包まれ、カフェでコーヒーの準備をしていたアランは驚きのあまり、コーヒーカップを床に落としてしまった。



 オルタンスの方は、かねてからの慈善活動でシュガトピアの国民や隣国から一定の評価を得ていたからか、民衆達からの「オルタンス妃に死刑は重すぎる」という嘆願があり、それを受けたカスティラ総統率いる革命裁判所側の条件としてアンソニー王子とは離婚し、この度、父であるフルーティア連邦大統領とドルチェ帝国女帝の連名での恩赦で釈放されたのである。ただし、書類上は「シュガトピア王国からの国外追放」として扱われているが。





「民よ…勇者よ…金なら渡す!!!だから、命だけは!!!!!」





 ギロチン台に括りつけられても、必死に命乞いをする元王子の映像に、大統領はいきなり右手の人差し指で右目の目じりを下げ、舌を突き出す。いわゆる「あっかんべー」である。

「「一目ぼれしたから、嫁に欲しい」って言うから、娘を嫁に出したのに、結婚て子供ができたら、愛人と庶子作りまくって娘泣かせたり、妻の可愛い甥っ子を冷遇して来た奴が、今更命乞いすんな、バーーーーーーーーーカ!!!」

 一つの国の大統領でありながら、処刑台の元王子への言動は、どうにも子供じみている。元王子の必死の命乞いも虚しく、ギロチンの刃は瞬く間に「シャッ」という音と共に下ろされ、ミランダ女王が目線を民衆の方へ向けたことにより、元王子の生死がハッキリとは見えないものの、まるで暗黒の時代が明けたかのような民衆の歓声からして、アンソニー元王子は刑により死亡したのが伺える。民衆達の歓声が止まぬまま、中継は終わり、テレビが自動的に電源が切れる。メルバ大統領は瞬く間に真剣な表情に切り替わり、水晶からグレートホイップ連合王国の女王・ミランダが姿を現す。



「勇者ガレット…あなた様はかねてからシュガトピア王国で革命が起ころうとしている事に気づいていらしてたのでしょう。あなた様の予想通り、シュガトピア王国は革命による諸侯たちへの暴動が発生し、元国王夫妻と元第1王子がギロチンにかけられた現在…わたくしの管轄下とはいえ、城下町は混乱の最中さなかにございます。」



「ギロチンにかけられたって…?それじゃあ…あのゴリラに近づいたのは…」

「カオス本体だ…カオスは本体と依り代の二つに分かれていて、スイーツ界にいる本体、他の世界の依り代がどちらも生きている間、決して本体としての姿は、勇者が攻撃しない限りは姿を見せないんだ。」

 ゴリラと聞くや否や「えっ…人間界にいる混沌の依り代って、類人猿なの?」と、言わんばかりの顔をするメルバ大統領とミランダ女王を尻目に、ガレットは長女の疑問にそう答えた。



 今回、スイーツ界にいたカオス本体であったベルナルド4世が処刑され、さらにその息子のアンソニーの処刑で、カオスを継ぐ者がスイーツ界からいなくなったため、カオスは再び一つになろうとしているのである。



「それに、メルバ大統領はわかるけど…ミランダ女王が…どうしてアタシ達の所へ?」

「今は「勇者ガレットへの恩返し」…としかお教えできません。あなた方歴代の勇者達にスイーツ界を救って頂いていながら、私達はこれまで、カオスの本体であった歴代シュガトピア国王の妨害で、あなた方に何もお返しできませんでしたから。」

 女勇者の疑問に、魔法使いの女王が悲し気な表情で答える。

「私やミランダ女王だけではない…カスティラ総統も、女帝キャロラインも…これまでずっとカルマン達勇者に助けられてきた。…だが、私達だって勇者助けられてばかりではいけないさ。勇者が困っている時に、救済や支援といった手を差し伸べる行為も必要だ…これまで、スイーツ界を救ってくれて…本当にありがとう。」

「だからこそ、あなた方を幸せに満ちた未来へ導くための手助けをさせていただけますか?勿論、君主としてだけではなく…たった1人のスイーツ界の住人として…」

 それぞれの国の長の言葉を聞いた勇者親子は、表情こそは確認できない程顔を伏せつつ、何も言わずに大統領の手を握った。それは、自分達の明るい未来を与えてくれることに対する感謝の態度とも、長年の仕えがとれたことに対する安心感を感じ取ったような態度ともとれる。
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