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第2章 ルル
1 雨
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「ロロ、明日誕生日ね。」
朝ご飯を急いで食べるロロにお母さんが話しかけた。
「うん、そうだね。」
唐突に話しかけるお母さんに対して、ロロは少し素っ気なく答えたんだ。そしたらお母さんは少しへそを曲げたのさ。
「どうしたの?どこか具合でも悪いの?」
ただ急いでいるだけなんだけどって思いながら、ロロは歯を磨く為に席を立った。
「ううん、何でもないよ。ただ26歳にもなると誕生日ってあんまり嬉しくなくなるなって思ってね。」
お母さんは怒ったね。そりゃあもう怒った。滅多に怒らない人なんだけどさ。
「もう、何言ってるのよ!あなたが生まれた大事な日じゃない。あなたが一年で一番大切な日なのよ。」
「そうか、それもそうだね。」
そんなこんなで準備を終えたロロは、
「行ってきます!」
そう言って元気に仕事に出かけた。ほら、僕の予想通りだね、少し雲が多くて曇ってる。これは夕方から雨だろうね。玄関でロロを見送ったお母さんは、
「さあさあ、忙しくなるわよ!」
なんて言いながら、少し嬉しそうにリビングに戻った。タンスから編みかけのセーターを取り出す。もうすぐ冬が来る。寒くなるんだ。お母さんは、毎年ロロの誕生日に手編みのセーターを渡す。これは25年間欠かした事が無いね。今年は淡い紫色のセーターだ。
「ありがとうね、ロロ。恥ずかしいでしょうに。」
何歳になっても、自分が渡すセーターを笑顔で受け取り着てくれるロロ。お母さんは嬉しくて仕方がないんだ。ちょっと恥ずかしそうにしている姿を隠しているつもりのロロだけど、お母さんはちゃんと気付いている。
「これが終わったら、明日の為に食材を買いに行かなくっちゃ。お父さんも明日は帰ってくるはずだしね。」
お母さんはまた言った。
「ああ、忙しい忙しい!」
笑顔でね。
ピュアハート校長は、校長室の窓から空を見上げた。
「あら、今日は雨が降りそうね。」
もうすぐ朝の8時。そろそろロロが来る頃だろうって、ピュアハート校長は紅茶の準備をした。走って職員室に来るロロを紅茶で出迎えて朝のティータイム、毎日の職員室の光景なんだって。
「おはようございます!」
「おはよう、ロロ先生。」
すぐにロロはやってきた。少し息を荒げてカバンを置いたロロの机に、ピュアハート校長はそっと暖かいアールグレイを置く。
「ありがとうございます。」
ロロはカップを手に取り、暖を取った。
「おいしいです。」
そう、良かったわと言いながらピュアハート校長も席に戻った。その時、もう一度窓の外を見ると雨が降りだしたんだってさ。
「あら、降ってきたわ。」
そう言われたロロも立ち上がって窓に近づいた。
「ああ、ほんとだ。やっぱり降ると思ってたんですよ。それにあの雲・・・」
「ええ、嵐になりそうね。」
「今日、生徒は早めに家に帰しましょうか。」
「そうしようかしらね。」
*
「ゴーン・・・ゴーン・・・」
1時間目の授業が始まるベルが鳴り、教室の生徒たちは各々の席についた。すると、前のドアが開いてロロ先生が入ってくる。
「おはよう、みんな。」
ロロは全員がちゃんと学校に来て、教室にいるのを見て安堵した。
「おはようございます!」
ほぼ全員が一斉に挨拶をした。僕は学校に行った事がないから分からないんだけど、皆んなで集まって勉強するっていうのは、きっととっても楽しいんだろうね。
「今日の1時間目は・・・どうしよっか。」
この学校はいつもそうさ。というよりもロロの授業はね。毎日何を勉強するのかを、その日の朝に皆んなと決めるんだって。僕思うんだけど、何を勉強するか自分で決めなきゃならない生徒って大変だね。でも、楽しそう。
「はい!はい!」
ジェレンダが勢いよく手を挙げた。そういえば今日の夜デートだったんだ、随分とおめかししている、ロロはそう思った。
「どうしたんだい、ジェレンダ。」
「あのさ、今日の授業、なぜ男は短いスカートが好きなのかっていうのはどう?」
一瞬教室が静まりかえったね。6歳のソフィアなんて、何の事か分かんないって顔だ。
「それは、また今度ね。」
「ちぇっ、つまんないな。」
ジェレンダはそっぽ向いた。雨のせいかな、少しみんな眠そうな顔をしていた。
「じゃあね、ソフィア。君は何か知りたいことあるかい?」
ロロは一番年下のソフィアに優しく問いかけた。皆んなそうなんだ、ソフィアが決めた事には誰も反対しない。一番年下のちっちゃなソフィア。皆んなのアイドルさ。ソフィアは少しぱあっとした表情をして、首を傾けた。
「うーんとね、うーんとね。」
まるでお人形さんのように可愛らしい笑顔なんだってさ。
「せんせい、なんであめってふってるの?」
いいねその質問、そう思いながらロロは教壇に戻った。ロロが教壇に戻ると、皆んなはロロに目線を合わさずにいようと必死だった。もし目が合って、何でだと思う?って聞かれても分からないからさ。
「じゃあ、皆んな。何で雨が降るか考えてみよっか。」
「でも、1つ条件がある。」
皆んな一斉視線をロロに戻した。
「先生、条件って?」
ロロはゆっくりと皆んなを見渡した。
「物語にしよう。」
「ものがたり?」
生徒たちはロロが言ってる意味が分からなかったんだ。ロロは続ける。
「そう、物語だ。何で雨が降るのかを物語にしてみよう。主人公がいて、冒険してもいいし、とびっきりロマンチックにしても構わないよ。最後に雨が降る理由が書かれていれば何でもいいよ。今日の授業はこれにしよう。」
皆んなは納得した表情で筆箱を開けた。
「ねえせんせい、ソフィア、絵でもいい?」
まだちゃんと字が書けないソフィアが尋ねた。
「ああ、いいよ。さあ、みんな始めて。そうだね、じゃあ2時間後に発表だ。」
皆んなはそれぞれの雨の物語を考え始めた。
朝ご飯を急いで食べるロロにお母さんが話しかけた。
「うん、そうだね。」
唐突に話しかけるお母さんに対して、ロロは少し素っ気なく答えたんだ。そしたらお母さんは少しへそを曲げたのさ。
「どうしたの?どこか具合でも悪いの?」
ただ急いでいるだけなんだけどって思いながら、ロロは歯を磨く為に席を立った。
「ううん、何でもないよ。ただ26歳にもなると誕生日ってあんまり嬉しくなくなるなって思ってね。」
お母さんは怒ったね。そりゃあもう怒った。滅多に怒らない人なんだけどさ。
「もう、何言ってるのよ!あなたが生まれた大事な日じゃない。あなたが一年で一番大切な日なのよ。」
「そうか、それもそうだね。」
そんなこんなで準備を終えたロロは、
「行ってきます!」
そう言って元気に仕事に出かけた。ほら、僕の予想通りだね、少し雲が多くて曇ってる。これは夕方から雨だろうね。玄関でロロを見送ったお母さんは、
「さあさあ、忙しくなるわよ!」
なんて言いながら、少し嬉しそうにリビングに戻った。タンスから編みかけのセーターを取り出す。もうすぐ冬が来る。寒くなるんだ。お母さんは、毎年ロロの誕生日に手編みのセーターを渡す。これは25年間欠かした事が無いね。今年は淡い紫色のセーターだ。
「ありがとうね、ロロ。恥ずかしいでしょうに。」
何歳になっても、自分が渡すセーターを笑顔で受け取り着てくれるロロ。お母さんは嬉しくて仕方がないんだ。ちょっと恥ずかしそうにしている姿を隠しているつもりのロロだけど、お母さんはちゃんと気付いている。
「これが終わったら、明日の為に食材を買いに行かなくっちゃ。お父さんも明日は帰ってくるはずだしね。」
お母さんはまた言った。
「ああ、忙しい忙しい!」
笑顔でね。
ピュアハート校長は、校長室の窓から空を見上げた。
「あら、今日は雨が降りそうね。」
もうすぐ朝の8時。そろそろロロが来る頃だろうって、ピュアハート校長は紅茶の準備をした。走って職員室に来るロロを紅茶で出迎えて朝のティータイム、毎日の職員室の光景なんだって。
「おはようございます!」
「おはよう、ロロ先生。」
すぐにロロはやってきた。少し息を荒げてカバンを置いたロロの机に、ピュアハート校長はそっと暖かいアールグレイを置く。
「ありがとうございます。」
ロロはカップを手に取り、暖を取った。
「おいしいです。」
そう、良かったわと言いながらピュアハート校長も席に戻った。その時、もう一度窓の外を見ると雨が降りだしたんだってさ。
「あら、降ってきたわ。」
そう言われたロロも立ち上がって窓に近づいた。
「ああ、ほんとだ。やっぱり降ると思ってたんですよ。それにあの雲・・・」
「ええ、嵐になりそうね。」
「今日、生徒は早めに家に帰しましょうか。」
「そうしようかしらね。」
*
「ゴーン・・・ゴーン・・・」
1時間目の授業が始まるベルが鳴り、教室の生徒たちは各々の席についた。すると、前のドアが開いてロロ先生が入ってくる。
「おはよう、みんな。」
ロロは全員がちゃんと学校に来て、教室にいるのを見て安堵した。
「おはようございます!」
ほぼ全員が一斉に挨拶をした。僕は学校に行った事がないから分からないんだけど、皆んなで集まって勉強するっていうのは、きっととっても楽しいんだろうね。
「今日の1時間目は・・・どうしよっか。」
この学校はいつもそうさ。というよりもロロの授業はね。毎日何を勉強するのかを、その日の朝に皆んなと決めるんだって。僕思うんだけど、何を勉強するか自分で決めなきゃならない生徒って大変だね。でも、楽しそう。
「はい!はい!」
ジェレンダが勢いよく手を挙げた。そういえば今日の夜デートだったんだ、随分とおめかししている、ロロはそう思った。
「どうしたんだい、ジェレンダ。」
「あのさ、今日の授業、なぜ男は短いスカートが好きなのかっていうのはどう?」
一瞬教室が静まりかえったね。6歳のソフィアなんて、何の事か分かんないって顔だ。
「それは、また今度ね。」
「ちぇっ、つまんないな。」
ジェレンダはそっぽ向いた。雨のせいかな、少しみんな眠そうな顔をしていた。
「じゃあね、ソフィア。君は何か知りたいことあるかい?」
ロロは一番年下のソフィアに優しく問いかけた。皆んなそうなんだ、ソフィアが決めた事には誰も反対しない。一番年下のちっちゃなソフィア。皆んなのアイドルさ。ソフィアは少しぱあっとした表情をして、首を傾けた。
「うーんとね、うーんとね。」
まるでお人形さんのように可愛らしい笑顔なんだってさ。
「せんせい、なんであめってふってるの?」
いいねその質問、そう思いながらロロは教壇に戻った。ロロが教壇に戻ると、皆んなはロロに目線を合わさずにいようと必死だった。もし目が合って、何でだと思う?って聞かれても分からないからさ。
「じゃあ、皆んな。何で雨が降るか考えてみよっか。」
「でも、1つ条件がある。」
皆んな一斉視線をロロに戻した。
「先生、条件って?」
ロロはゆっくりと皆んなを見渡した。
「物語にしよう。」
「ものがたり?」
生徒たちはロロが言ってる意味が分からなかったんだ。ロロは続ける。
「そう、物語だ。何で雨が降るのかを物語にしてみよう。主人公がいて、冒険してもいいし、とびっきりロマンチックにしても構わないよ。最後に雨が降る理由が書かれていれば何でもいいよ。今日の授業はこれにしよう。」
皆んなは納得した表情で筆箱を開けた。
「ねえせんせい、ソフィア、絵でもいい?」
まだちゃんと字が書けないソフィアが尋ねた。
「ああ、いいよ。さあ、みんな始めて。そうだね、じゃあ2時間後に発表だ。」
皆んなはそれぞれの雨の物語を考え始めた。
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