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第二章 血液と精液と寿命
⑥ 血液と精液と寿命
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◇
朝食は勿論とても最高だった。
――――この人、本気で俺の胃袋をぎっちぎちに掴んで二度と離すつもりないんじゃなかろうか
普通のご飯が食べられなくなりそうで少し困る。いずれ飽きてポイ捨てされたら俺はどうすればいいんだろうか。
朝は卵焼き、コンソメスープ、ソーセージ、サラダ、ベリーソースとホイップが山盛りのワッフルだ。それにしても料理するのが早い。二十分も経っていない。前に積まれた山盛りのワッフルに垂涎する。見事なサクッふわっでとても軽い。
――――まさかこのソーセージ、自分で詰めていないよね?
皮がパリッと割れたあとに肉汁が口一杯に広がる。ハーブの味付けが良く、臭みがない。
――――あとこのホイップクリーム、最高に濃厚。スプーンで掬って逆さにしても落ちない。舌触りだともはや固まったシルク。もしかしてベリーソースのちょっとした隠し味にリキュール入っている? 本当にレパートリー多過ぎだろ
餓死寸前の人みたいに食事に熱中する俺をにこにこと見ながら、相変わらず優雅に今度はコーヒーを飲んでいる。挽き立ての豆の香りが嗅覚を刺激する。食後にちょっと斜めに座って脚を組み、眼鏡をかけて新聞を読む姿が様になっている。
「目が悪いのか?」
「いや、いいよ。過去の情報と併せて読んでいる」
――――あ、情報検索しながら読んでいるのか
最近またこの眼鏡型小型コンピュータが流行っていたのを思い出す。両手がフリーになるから大層人気があるらしい。そういえばこの人は全身生身だった事を思い出す。それなのに日常作業でもサイボーグ並みに情報の並行処理をしていそう。俺さえも知らない機械を普通に使いこなしそうだし。本当に凄まじい能力だ。
「どんな仕事か聞いていいのか?」
「あはは。気になるよねぇ。今日は簡単な仕事だけど、ちょっとだけスプラッターになるよ」
やたらとうきうきしている雰囲気が滲み出てくる。ちょっと勘弁して。
「天はいつもそんな感じの仕事しているのか?」
「ん~……」
あぁ、出た。例の無言の笑っていない笑顔。怖いから、本当に止めて欲しい。
「なんで俺も連れて行ってくれるんだ? いや、天の仕事にはとても興味はあるけど」
「ん~……暇潰し的な? まぁ、あとは」
目を細めて笑う。とても嫌な予感がする。
「終わったらハイな僕を満足させて貰おうかと」
「……やっぱり」
俺の存在意義って、携帯ちんこか。ちょっと悲しくなる。
「コレクターだったら色々と慣れているでしょう」
「慣れているからって、俺は別に血が好きな訳じゃない。取扱商品なだけだよ」
「じゃいい商品が見つかったらお兄さんの仕事の為に採取しとく?」
「いや、お前、本当に怖いわ! 体は人間でも魂がバンパイアじゃねぇか!」
「心外だなぁ。あんな低俗な生き物じゃないってば。それに僕はバンパイアの目が嫌い」
「あー、あれは気持ち悪いよね。俺、本当にバンパイアにならなくって良かった」
「もしお兄さんの目があれだったら路地裏の時に刳り抜いて捨てていたかもねぇ」
「……本当に人間で良かったと、今、凄まじく実感している」
自分の前にいる男を見ながら少し引き攣った声が出た。
朝食は勿論とても最高だった。
――――この人、本気で俺の胃袋をぎっちぎちに掴んで二度と離すつもりないんじゃなかろうか
普通のご飯が食べられなくなりそうで少し困る。いずれ飽きてポイ捨てされたら俺はどうすればいいんだろうか。
朝は卵焼き、コンソメスープ、ソーセージ、サラダ、ベリーソースとホイップが山盛りのワッフルだ。それにしても料理するのが早い。二十分も経っていない。前に積まれた山盛りのワッフルに垂涎する。見事なサクッふわっでとても軽い。
――――まさかこのソーセージ、自分で詰めていないよね?
皮がパリッと割れたあとに肉汁が口一杯に広がる。ハーブの味付けが良く、臭みがない。
――――あとこのホイップクリーム、最高に濃厚。スプーンで掬って逆さにしても落ちない。舌触りだともはや固まったシルク。もしかしてベリーソースのちょっとした隠し味にリキュール入っている? 本当にレパートリー多過ぎだろ
餓死寸前の人みたいに食事に熱中する俺をにこにこと見ながら、相変わらず優雅に今度はコーヒーを飲んでいる。挽き立ての豆の香りが嗅覚を刺激する。食後にちょっと斜めに座って脚を組み、眼鏡をかけて新聞を読む姿が様になっている。
「目が悪いのか?」
「いや、いいよ。過去の情報と併せて読んでいる」
――――あ、情報検索しながら読んでいるのか
最近またこの眼鏡型小型コンピュータが流行っていたのを思い出す。両手がフリーになるから大層人気があるらしい。そういえばこの人は全身生身だった事を思い出す。それなのに日常作業でもサイボーグ並みに情報の並行処理をしていそう。俺さえも知らない機械を普通に使いこなしそうだし。本当に凄まじい能力だ。
「どんな仕事か聞いていいのか?」
「あはは。気になるよねぇ。今日は簡単な仕事だけど、ちょっとだけスプラッターになるよ」
やたらとうきうきしている雰囲気が滲み出てくる。ちょっと勘弁して。
「天はいつもそんな感じの仕事しているのか?」
「ん~……」
あぁ、出た。例の無言の笑っていない笑顔。怖いから、本当に止めて欲しい。
「なんで俺も連れて行ってくれるんだ? いや、天の仕事にはとても興味はあるけど」
「ん~……暇潰し的な? まぁ、あとは」
目を細めて笑う。とても嫌な予感がする。
「終わったらハイな僕を満足させて貰おうかと」
「……やっぱり」
俺の存在意義って、携帯ちんこか。ちょっと悲しくなる。
「コレクターだったら色々と慣れているでしょう」
「慣れているからって、俺は別に血が好きな訳じゃない。取扱商品なだけだよ」
「じゃいい商品が見つかったらお兄さんの仕事の為に採取しとく?」
「いや、お前、本当に怖いわ! 体は人間でも魂がバンパイアじゃねぇか!」
「心外だなぁ。あんな低俗な生き物じゃないってば。それに僕はバンパイアの目が嫌い」
「あー、あれは気持ち悪いよね。俺、本当にバンパイアにならなくって良かった」
「もしお兄さんの目があれだったら路地裏の時に刳り抜いて捨てていたかもねぇ」
「……本当に人間で良かったと、今、凄まじく実感している」
自分の前にいる男を見ながら少し引き攣った声が出た。
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