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第四章 星屑の勝算と誤算
46 決戦の火花と味方
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◇◇◇
泉から王都までは通常四日掛かる。それを星屑の力が少しずつ使えるようになって二日で戻ってきた。
少量の雪が積もった道で步を進める度に、靴の下で道の上の雪のザクッザクッという音がする。
その反対に遠く離れた場所から荒野へと向かう王軍の足音が轟く。
粉雪が立ち上がっている。
私はまだフユウが生きているという確信がある。あの冷酷な王は私を懲らしめ、絶望させ、彼以外に抱かれた事を後悔させるつもりだ。だがそうはならない。
遠くに城が、そして軍が見え始める。山の間を行く王城までの道のりを王軍の兵列が塞ぐ。そしてその軍の後ろの方には王の旗がはためく。
だが少ない。百人もいない。まだ国境を護りに派遣されてこの短期間で集められたのがこの人数なのだろう。それでも急遽足りない人数は傭兵で補ったらしい。
――――完全に、馬鹿にされている。女一人で、と馬鹿にされている
鋼色の鎧が太陽の光を反射し、鋭そうな剣先が天を向いている。王軍に混じってランダムに立っている私服の傭兵達も私に剣を向けるが、なぜ女一人にこんな事をしているんだと困惑した表情が多い。
――――フユウ!
いた。ずっと奥の一番後ろに。
王が偉そうにふんぞり返っている足元にフユウはいた。まだ体の自由が効かないのか、顔が下を向いて鎖で繋がれる。上半身裸のままで傷の手当はされていなく乾いた血だらけだ。
「捕らえよ。怪我はさせるな」
王の冷たい声が命令をし、王軍と傭兵達は一斉に私へと突きつけられる。
一歩一歩近付く毎に鎧や剣の鉄の匂いが濃くなり、重苦しい空気を一層重くする。
――――……カレル
見覚えのある顔。二列目にカレルがいた。
私と目が合った瞬間、彼は顔を歪めて両手を私に向かって差し出す。味方だと、彼は一生懸命示そうとしている。
――――だけど……だったらなんでここにいる?
私は彼から視線を外し、迫り来る軍を無言で見つめる。
小さなどよめきに視線を前方へ戻すと、カレルが両手を上げながら前へと進み出ている。
「……探した」
彼の声は震えている。だが私に向けた視線は燃えるように熱い。
「何度も間に合わずに、擦れ違った。ずっと追っていた。王が傭兵を急いで集めているのを聞いて『これだ』と思った」
彼は剣を私の前の地面に突き刺す。ゆっくりと手を伸ばして私の手に触れる。彼の手は緊張で冷たい汗で濡れ、抑えていていても荒い呼吸で胸が上下する。震えているのが伝わってくる。
「頼む……最後のチャンスをくれ……!」
カレルは剣から手を完全に離し、膝を地に突いて私を仰ぎ見る。彼の目には焦燥と渇望と、隠しようのない熱が宿している。
「……ケイが誰に抱かれていてもいい。精霊にだろうが、竜人にだろうが、構わない……!」
唇を噛み、息を荒く吐きながら続ける。
泉から王都までは通常四日掛かる。それを星屑の力が少しずつ使えるようになって二日で戻ってきた。
少量の雪が積もった道で步を進める度に、靴の下で道の上の雪のザクッザクッという音がする。
その反対に遠く離れた場所から荒野へと向かう王軍の足音が轟く。
粉雪が立ち上がっている。
私はまだフユウが生きているという確信がある。あの冷酷な王は私を懲らしめ、絶望させ、彼以外に抱かれた事を後悔させるつもりだ。だがそうはならない。
遠くに城が、そして軍が見え始める。山の間を行く王城までの道のりを王軍の兵列が塞ぐ。そしてその軍の後ろの方には王の旗がはためく。
だが少ない。百人もいない。まだ国境を護りに派遣されてこの短期間で集められたのがこの人数なのだろう。それでも急遽足りない人数は傭兵で補ったらしい。
――――完全に、馬鹿にされている。女一人で、と馬鹿にされている
鋼色の鎧が太陽の光を反射し、鋭そうな剣先が天を向いている。王軍に混じってランダムに立っている私服の傭兵達も私に剣を向けるが、なぜ女一人にこんな事をしているんだと困惑した表情が多い。
――――フユウ!
いた。ずっと奥の一番後ろに。
王が偉そうにふんぞり返っている足元にフユウはいた。まだ体の自由が効かないのか、顔が下を向いて鎖で繋がれる。上半身裸のままで傷の手当はされていなく乾いた血だらけだ。
「捕らえよ。怪我はさせるな」
王の冷たい声が命令をし、王軍と傭兵達は一斉に私へと突きつけられる。
一歩一歩近付く毎に鎧や剣の鉄の匂いが濃くなり、重苦しい空気を一層重くする。
――――……カレル
見覚えのある顔。二列目にカレルがいた。
私と目が合った瞬間、彼は顔を歪めて両手を私に向かって差し出す。味方だと、彼は一生懸命示そうとしている。
――――だけど……だったらなんでここにいる?
私は彼から視線を外し、迫り来る軍を無言で見つめる。
小さなどよめきに視線を前方へ戻すと、カレルが両手を上げながら前へと進み出ている。
「……探した」
彼の声は震えている。だが私に向けた視線は燃えるように熱い。
「何度も間に合わずに、擦れ違った。ずっと追っていた。王が傭兵を急いで集めているのを聞いて『これだ』と思った」
彼は剣を私の前の地面に突き刺す。ゆっくりと手を伸ばして私の手に触れる。彼の手は緊張で冷たい汗で濡れ、抑えていていても荒い呼吸で胸が上下する。震えているのが伝わってくる。
「頼む……最後のチャンスをくれ……!」
カレルは剣から手を完全に離し、膝を地に突いて私を仰ぎ見る。彼の目には焦燥と渇望と、隠しようのない熱が宿している。
「……ケイが誰に抱かれていてもいい。精霊にだろうが、竜人にだろうが、構わない……!」
唇を噛み、息を荒く吐きながら続ける。
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