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第四章 星屑の勝算と誤算
59 精霊の誤算
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◇◇◇◇
王はあのまま城に籠った。
私の力を奪いにくるかと思ったが、多人数の前で初めてプライドを砕かれたのだろう。異様に静かなままだ。
だがこれでいい。
王はこの国と命が連動しているのならばどうせもう長くない。私が直接手を下さなくとも、もうすぐ彼は居なくなる。
そして私は彼の子を孕むつもりは、一切ない。
好き勝手に他人をこの世界に召喚し、好き勝手な事を強いて、好き勝手に体を犯して。彼は最低の男だ。だけど、そこまでは恨んでいない。二人の素晴らしい恋人に出会えたのは、この世界に来られたお陰だから。
精霊は私を力の後見人として選んだ。人選として正しいのだろう。
だが、私はもう誰かに使われるつもりは、ない。
カレルとフユウの二人に抱かれた時に精霊の力を完全に吸収したらしい。あれからは現れていないし、体ももう違和感はない。時々キラキラした物が溢れ出すが、まぁ、害はなさそうなので深く考えないようにしている。
私は世界を滅ぼさなかった。
だが、再生もしていない。
そして、もし何かあれば迷いなく力を使うつもりだ。
破壊と再生。自分が正しいと思う選択が出来る。何にも強制されず、ちゃんと自分で考えて決断が出来る。
今は手首辺りまで真っ黒に変色をした。だが星屑の力を使うと内側から直接金色に光るように見え、正直見た目が綺麗で気に入っている。長期的な影響は考慮しないようにしている。
そして、今――――。
私は久し振りに東京の空気を吸っている。一言言いたい。
――――……東京って……こんなに臭かったの⁉︎
住んでいた時はたまに下水や生ゴミの匂いがしたがそこまで気にしなかった。それが半年間機械の存在しない世界にいて、こんなにも排気ガスの匂いが充満した重い空気を吸っていたのかと思うと、少し恐怖を感じる。
私は以前住んでたいたアパートに寄ってみたが時間の流れが違っているらしく、あの運命のクリスマスイブから約二年経っている。家賃等は自動引き落としだったので恐ろしい事にそのまま継続していた。だがそのお陰で両親の写真が手に入った。
ネオン看板のすぐ横を通る。
「……こんな世界だと神経が参りそうだ」
私は隣を歩くカレルを見上げる。
「日常的なストレスは確かにあったわね。星屑の世界のように獲物に食べられちゃう心配はなかったけど」
「……俺も、ここは疲れる」
反対側を歩くフユウを見上げる。彼は私の力で簡単な人間風の変装をしている。肌色や目の色を擬装しただけだが。そうしたらやたらと異国人風に見え、先程から彼の美貌で振り向く女性がちらほら見える。尻尾は片足に巻き付けて隠している。少し歩き難そうだ。
カレルも視線を集めている。
そんな格好良い恋人達に仲良く肩を抱かれ、一緒に目的の一つをしてきたばかりだ。
両親のお墓参り。
これだけは、ちゃんとしたかった。
由香は全く来ていないらしく、雑草が酷かった。だが三人だと大して時間も掛からずに綺麗に出来た。
そしてもう一つの目的。
「……ケイ? ケイ……か⁉︎」
健司の声がして腕を強く引っ張られる。
――――……なんか……老けたわね
元婚約者は私の顔を見ると顔を歪ませ、抱き付く。
嗅ぎ慣れた香り。彼の匂いがする。
それに、強い嫌悪感がする。
フユウは彼を引き剥がし、カレルが彼を歩道へと投げ飛ばす。
「何をするんだ! ……ケイ! どこに行っていたんだよ! 会社も無断で辞めて、捜索願出したんだぞ⁉︎」
「誰が?」
「誰がって……俺――――」
「家族でも婚約者でもないあなたに、もうそんな権利はないわ」
健司の顔が更に歪む。
「後悔しているんだ。本当に……悪かった。どうかしていたんだ。あんな女に引っ掛かるなんて……」
王はあのまま城に籠った。
私の力を奪いにくるかと思ったが、多人数の前で初めてプライドを砕かれたのだろう。異様に静かなままだ。
だがこれでいい。
王はこの国と命が連動しているのならばどうせもう長くない。私が直接手を下さなくとも、もうすぐ彼は居なくなる。
そして私は彼の子を孕むつもりは、一切ない。
好き勝手に他人をこの世界に召喚し、好き勝手な事を強いて、好き勝手に体を犯して。彼は最低の男だ。だけど、そこまでは恨んでいない。二人の素晴らしい恋人に出会えたのは、この世界に来られたお陰だから。
精霊は私を力の後見人として選んだ。人選として正しいのだろう。
だが、私はもう誰かに使われるつもりは、ない。
カレルとフユウの二人に抱かれた時に精霊の力を完全に吸収したらしい。あれからは現れていないし、体ももう違和感はない。時々キラキラした物が溢れ出すが、まぁ、害はなさそうなので深く考えないようにしている。
私は世界を滅ぼさなかった。
だが、再生もしていない。
そして、もし何かあれば迷いなく力を使うつもりだ。
破壊と再生。自分が正しいと思う選択が出来る。何にも強制されず、ちゃんと自分で考えて決断が出来る。
今は手首辺りまで真っ黒に変色をした。だが星屑の力を使うと内側から直接金色に光るように見え、正直見た目が綺麗で気に入っている。長期的な影響は考慮しないようにしている。
そして、今――――。
私は久し振りに東京の空気を吸っている。一言言いたい。
――――……東京って……こんなに臭かったの⁉︎
住んでいた時はたまに下水や生ゴミの匂いがしたがそこまで気にしなかった。それが半年間機械の存在しない世界にいて、こんなにも排気ガスの匂いが充満した重い空気を吸っていたのかと思うと、少し恐怖を感じる。
私は以前住んでたいたアパートに寄ってみたが時間の流れが違っているらしく、あの運命のクリスマスイブから約二年経っている。家賃等は自動引き落としだったので恐ろしい事にそのまま継続していた。だがそのお陰で両親の写真が手に入った。
ネオン看板のすぐ横を通る。
「……こんな世界だと神経が参りそうだ」
私は隣を歩くカレルを見上げる。
「日常的なストレスは確かにあったわね。星屑の世界のように獲物に食べられちゃう心配はなかったけど」
「……俺も、ここは疲れる」
反対側を歩くフユウを見上げる。彼は私の力で簡単な人間風の変装をしている。肌色や目の色を擬装しただけだが。そうしたらやたらと異国人風に見え、先程から彼の美貌で振り向く女性がちらほら見える。尻尾は片足に巻き付けて隠している。少し歩き難そうだ。
カレルも視線を集めている。
そんな格好良い恋人達に仲良く肩を抱かれ、一緒に目的の一つをしてきたばかりだ。
両親のお墓参り。
これだけは、ちゃんとしたかった。
由香は全く来ていないらしく、雑草が酷かった。だが三人だと大して時間も掛からずに綺麗に出来た。
そしてもう一つの目的。
「……ケイ? ケイ……か⁉︎」
健司の声がして腕を強く引っ張られる。
――――……なんか……老けたわね
元婚約者は私の顔を見ると顔を歪ませ、抱き付く。
嗅ぎ慣れた香り。彼の匂いがする。
それに、強い嫌悪感がする。
フユウは彼を引き剥がし、カレルが彼を歩道へと投げ飛ばす。
「何をするんだ! ……ケイ! どこに行っていたんだよ! 会社も無断で辞めて、捜索願出したんだぞ⁉︎」
「誰が?」
「誰がって……俺――――」
「家族でも婚約者でもないあなたに、もうそんな権利はないわ」
健司の顔が更に歪む。
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