通りすがりの龍喰らい

ヨルムンガンド

文字の大きさ
6 / 14
第一章

2日目、3日目

しおりを挟む
 2日目。

 昨晩は、やばかった。何がどうヤバいのか説明したくないけど。

 飯は、森で採れた山菜だの木の実だのを美味しく頂いた。生で食べられるものだけをベルセルクが知っていたから助かった。おかげで、俺も覚えちゃったよ。

 問題は、就寝時に起こった。

 「えっ!一緒に寝る!?」

 「えっ、ダメなの?」

 「いや、むしろいい理由が見つからない!」

 幼女という程でもないが、かなり年の離れた少女と同衾………お巡りさん、俺です。

 「でも今日は冷えるよ?」
 
 「そ、そんな顔しないで……」

 ヒュユユユウゥウウウウウ~。

ベルセルクの言葉を裏付けるように、冷たい風が吹いた。

 「よ、よろしくお願いします、ベルセルクさん」

 既に折れかけていた俺の心は、すぐに折れた。

 

 朝になると、俺は藁で作った即席の寝床を飛び起きた。実際のところは、全然眠ることが出来なかった。あんな可愛い子が隣で寝てて、緊張しないわけが無い。

 (や、やべぇ……こんなの生殺しだよマジで…よく耐えた昨日の俺!)

 「よし、鍛錬するかね」

 「すぅ、すぅ……」

 「………心身滅却!紳士滅却!」

 そう言って、俺はベルセルクが起きるまで腹筋を始めることにした。



 「へぇ、筋肉痛になってもう動けないんだ、へぇー」

 「勝手に鍛練始めてすみませんでしたマジでごめんなさい何でもしますんで許して」

 ベルセルクが目覚めた時、俺は死にかけの魚のようになっていた。彼女はそんな俺を見て、何があったのかを悟ったようだった。

 途端に俺が謝ると、彼女は何か思いついたような顔つきになる。

 「今なんでもって言ったね~フフフ~」

 「?」

 「龍魔法起動!」

 俺の足元には紫色の魔法陣が発生する。

 「汝に課すは、《怠惰》と《暴食》のカルマ。喰龍の名において、あがなえ」

 「!」

 なにするつもりだよって言おうとしたら、もう既に口が開かなかった。というか、体が重い。なんかとっても疲れる。膝から崩れ落ち、俺は俯せになる。

(こ、これはどこぞの作品で見た、重力が何倍にもなるやつか?でも、ここ界〇星でもないのに!)

 「まだ、何か考えている余裕があるみたいだね。もっとキツくできるね」

 (ひぃぃ!ドSだよ、ベルセルクがドSに目覚めたよ!)

 「じゃあ、重力を3000倍に、エネルギー消費を5000倍にするかな。死なないといいんだけど」
 
 (へっ?3000倍っていや辛



___________________________________

3日目。

 気づいたら、日を跨いでいた。

 「う、うう……」

 「やっと慣れたみたいだね」

 「急に何すんだよ!」

 「ごめん、ごめん。でも、気づかないかい?」 

 「気づくって何を、ってうおっ!」

 驚いた。まず体が軽くなったのは、ベルセルクの言った通り、超重力に慣れたのだろう。

 だが!なんだ、この素晴らしい肉体は!バキバキのシックスパック、隆々とした上腕二頭筋、引き締まった大腿四頭筋!

 あのぶくぶくだった俺が、たった一日でこんな体を手に入れただとぉっ!

 「ボディービルダーみたいだ…」

 「若い頃のターミ〇ーター役の人みたいでしょ?」

 「なんで知ってるんだよ」

 とにかく、今日は昨日のような失態をする心配は無いだろう。

 「今なら、なんでもできる気がするぞ」

 「じゃあ、もっと強力にするねー」

 「え、いや流石にちょっ、ぎゃあああああああああぁぁぁ……ってあれ?」

 前みたいな重鈍さがない。全く体が動かないことも無い。少しばかり、気だるさを感じる程度だ。

 「慣れだよ、慣れ」

 「慣れで、こんなになるものなのか?」

 ちょっと、そこまでいくと慣れの領域を超えている気がするんじゃ、等と考えていたら、ベルセルクがムッとなった。

 「そんなに細かいこと気にしてたら、もっと強くしちゃうぞ~」

  「すいませんでしたー!」

 





 その時の彼女の笑顔が少しのは、気のせいだったのかもしれない。

 




その後、俺は必死で鍛練に臨んだ。

 といっても、やっていたことは普通に「生活」することだった。

 木の実を拾うために屈む、その動作だけで筋トレになると、ベルセルクは話していた。

 木々の間を縫うようにして走り、野兎や猪(この世界にもいるらしい)を狩っているうちに、体力も付いていった。

 「一日でこんなに収穫があるとはね、驚いたよ」

 「へへーん、俺はやれば出来る子だもーん」

 「じゃあ、明日はこの2倍で♪」

 「やっぱり、そっちの才能開花しちゃった感じ?」

 



 

 



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

続・冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。 の続編です。 アンドリューもそこそこ頑張るけど、続編で苦労するのはその息子かな? 辺境から結局建国することになったので、事務処理ハンパねぇー‼ってのを息子に押しつける俺です。楽隠居を決め込むつもりだったのになぁ。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

金の羊亭へようこそ! 〝元〟聖女様の宿屋経営物語

紗々置 遼嘉
ファンタジー
アルシャインは真面目な聖女だった。 しかし、神聖力が枯渇して〝偽聖女〟と罵られて国を追い出された。 郊外に館を貰ったアルシャインは、護衛騎士を付けられた。  そして、そこが酒場兼宿屋だと分かると、復活させようと決意した。 そこには戦争孤児もいて、アルシャインはその子達を養うと決める。 アルシャインの食事処兼、宿屋経営の夢がどんどん形になっていく。 そして、孤児達の成長と日常、たまに恋愛がある物語である。

処理中です...