通りすがりの龍喰らい

ヨルムンガンド

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第一章

2日目、3日目

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 2日目。

 昨晩は、やばかった。何がどうヤバいのか説明したくないけど。

 飯は、森で採れた山菜だの木の実だのを美味しく頂いた。生で食べられるものだけをベルセルクが知っていたから助かった。おかげで、俺も覚えちゃったよ。

 問題は、就寝時に起こった。

 「えっ!一緒に寝る!?」

 「えっ、ダメなの?」

 「いや、むしろいい理由が見つからない!」

 幼女という程でもないが、かなり年の離れた少女と同衾………お巡りさん、俺です。

 「でも今日は冷えるよ?」
 
 「そ、そんな顔しないで……」

 ヒュユユユウゥウウウウウ~。

ベルセルクの言葉を裏付けるように、冷たい風が吹いた。

 「よ、よろしくお願いします、ベルセルクさん」

 既に折れかけていた俺の心は、すぐに折れた。

 

 朝になると、俺は藁で作った即席の寝床を飛び起きた。実際のところは、全然眠ることが出来なかった。あんな可愛い子が隣で寝てて、緊張しないわけが無い。

 (や、やべぇ……こんなの生殺しだよマジで…よく耐えた昨日の俺!)

 「よし、鍛錬するかね」

 「すぅ、すぅ……」

 「………心身滅却!紳士滅却!」

 そう言って、俺はベルセルクが起きるまで腹筋を始めることにした。



 「へぇ、筋肉痛になってもう動けないんだ、へぇー」

 「勝手に鍛練始めてすみませんでしたマジでごめんなさい何でもしますんで許して」

 ベルセルクが目覚めた時、俺は死にかけの魚のようになっていた。彼女はそんな俺を見て、何があったのかを悟ったようだった。

 途端に俺が謝ると、彼女は何か思いついたような顔つきになる。

 「今なんでもって言ったね~フフフ~」

 「?」

 「龍魔法起動!」

 俺の足元には紫色の魔法陣が発生する。

 「汝に課すは、《怠惰》と《暴食》のカルマ。喰龍の名において、あがなえ」

 「!」

 なにするつもりだよって言おうとしたら、もう既に口が開かなかった。というか、体が重い。なんかとっても疲れる。膝から崩れ落ち、俺は俯せになる。

(こ、これはどこぞの作品で見た、重力が何倍にもなるやつか?でも、ここ界〇星でもないのに!)

 「まだ、何か考えている余裕があるみたいだね。もっとキツくできるね」

 (ひぃぃ!ドSだよ、ベルセルクがドSに目覚めたよ!)

 「じゃあ、重力を3000倍に、エネルギー消費を5000倍にするかな。死なないといいんだけど」
 
 (へっ?3000倍っていや辛



___________________________________

3日目。

 気づいたら、日を跨いでいた。

 「う、うう……」

 「やっと慣れたみたいだね」

 「急に何すんだよ!」

 「ごめん、ごめん。でも、気づかないかい?」 

 「気づくって何を、ってうおっ!」

 驚いた。まず体が軽くなったのは、ベルセルクの言った通り、超重力に慣れたのだろう。

 だが!なんだ、この素晴らしい肉体は!バキバキのシックスパック、隆々とした上腕二頭筋、引き締まった大腿四頭筋!

 あのぶくぶくだった俺が、たった一日でこんな体を手に入れただとぉっ!

 「ボディービルダーみたいだ…」

 「若い頃のターミ〇ーター役の人みたいでしょ?」

 「なんで知ってるんだよ」

 とにかく、今日は昨日のような失態をする心配は無いだろう。

 「今なら、なんでもできる気がするぞ」

 「じゃあ、もっと強力にするねー」

 「え、いや流石にちょっ、ぎゃあああああああああぁぁぁ……ってあれ?」

 前みたいな重鈍さがない。全く体が動かないことも無い。少しばかり、気だるさを感じる程度だ。

 「慣れだよ、慣れ」

 「慣れで、こんなになるものなのか?」

 ちょっと、そこまでいくと慣れの領域を超えている気がするんじゃ、等と考えていたら、ベルセルクがムッとなった。

 「そんなに細かいこと気にしてたら、もっと強くしちゃうぞ~」

  「すいませんでしたー!」

 





 その時の彼女の笑顔が少しのは、気のせいだったのかもしれない。

 




その後、俺は必死で鍛練に臨んだ。

 といっても、やっていたことは普通に「生活」することだった。

 木の実を拾うために屈む、その動作だけで筋トレになると、ベルセルクは話していた。

 木々の間を縫うようにして走り、野兎や猪(この世界にもいるらしい)を狩っているうちに、体力も付いていった。

 「一日でこんなに収穫があるとはね、驚いたよ」

 「へへーん、俺はやれば出来る子だもーん」

 「じゃあ、明日はこの2倍で♪」

 「やっぱり、そっちの才能開花しちゃった感じ?」

 



 

 



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