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第一章
実戦演習
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「しっかし、ひでぇ荒れようだな」
およそ、1週間ぶりの村訪問だった。村の様子は、すっかり変わってしまっていた。
家々は、殆どが半壊か全壊していた。気配を見る限りは、人々は皆避難を済ませたようだった。もしかしたら、俺が感知できないほど弱っている人がいるのもしれない。
ベルセルクは、近くの元は家だったであろう瓦礫の陰に隠しておく。
「……倒してくるわ」
赤竜だかなんだか知らないが、村を襲ったからには報いを受けて頂こうじゃないか。
しかも、彼女が前に言っていたことが本当ならば___
「あいつは、竜や龍を『喰らう』」
正確には、食べるとは言っていなかった。『喰らう』。それがどのようなものなのかは分からないが、大事なのはその後だった。
_____えーっとね、僕は基本的に喰らわない。栄養摂取は、人とかと同じだよ。
じゃあ、なんで喰らうんだ?意味無いだろ。
うーん。正直必要ないんだけど、喰らうことで対象の能力とかマナとかを吸収出来るんだよね。
つまり、あいつのマナ切れを治すには、赤竜のマナを喰わせればいいってことだよな…
これで、ますますあいつを倒さなれなければいけなくなった。マナは自然回復するみたいだが、そんなの待ってられない。
「やっぱ、手っ取り早く倒して、さっさと目覚めてもらうか」
起きた時には、あいつを一発ぶん殴る。そう決めて、俺は歩みを進めた。
敵は、中央広場にいた。簡素な噴水や手作りのベンチが並び、普段なら村人の憩いの場となってるはずなのだろうが、今やその影もない。あるのは、その広場の設備だったと思われる残骸だけ。
「てめぇが、この村への闖入者か。悪いが、ベルセルクの糧になってもらうぞ」
「グ?グルルルルルルル……」
どうやら、会話は無理みたいだ。そりゃ、ベルセルクのような龍が一緒にされたくないわけだ。
だが、油断は出来ない。腐っても、魔物の上位種なのだろう。ひしひしと、そのマナの大きさを感じる。
(いけるのか?こんなマナも図体もデカいやつ初めてだそ?)
俺の心配をよそに、戦いの火蓋は切って落とされた。
「龍式武術第壱式『縮地』」
龍式武術の基本は、移動だ。龍は羽があるとはいえ、何時までも飛行は出来ないし、速度にも限界がある。そこで、大気中にある限り、半永久的に使える気が重宝された。気を使うと、普通に飛ぶよりも速いらしい。
「まぁ、全部ベルセルクの受け売りなんだがなっ!」
「グガァ!?」
俺の速度についていけていない竜は、完全にいい的だ。
脇腹に軽く一発。だが、それは多大な運動エネルギーを孕んでいる。
竜の体は、紙屑のように飛んでいく。
地面を何度かバウンドし、目測数十メートルほど離れた場所でようやく止まる。
「ゴゴゴルルル……」
どうやら、しっかりとダメージは入っているようだ。
すると、
キュイイイイイイイイイイイイイッッッッッッッッッッッッッンンンンンン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
竜の大きな顎から強烈な光が放たれる。
俺は、そういえば、アギトってラテン語で「覚醒」って意味があったような、なんてどうでもいいかもしれないけど、もしかしたら必要かもしれないことを考えていた。
光は、荘厳な魔法陣を形作る。色は、竜と同じ深紅。
「くそっ、火属性の魔法か!」
竜といえば、火炎放射。使い古されまくったテンプレだが、実際受けることになると、そんなことを言っている場合ではない。
轟!!!!
意志を持ったかのように、熱と光が射出される。
「うおっ!」
髪の毛が数本焦げる。完全に油断していた。思っていた以上に速い。
地面に着弾。
ドゴオオオオオオオツツッンン!
「Wow…」
威力も予想外。直撃していないはずの周囲の木々ですすら完全燃焼していた。地面には、現世の月もかくやという大きさのcrater。当たったら、それで終了だ。
だ・け・ど、
「これで戦略が絞れたな。短距離しかねぇ」
相手が、遠距離が得意なら詰めればいい。シンプルだが、その分効果もある。
「よし、次で決めやんよ。お前の動きは読めたぞ」
どうだろう。誰が、この俺が元NEETだということが信じられるだろうか。俺自身にも信じられないぐらいだ。親が見たら、きっと卒倒するだろう。
「愚息は、元気に異世界で生きてますよ、っとお!」
再度縮地。
だが、今度は俺が赤竜の動きを読んだように、赤竜も俺の動きを読んでいたみたいだ。鋭利な爪で、俺を迎え撃たんとする。
しかし!ここで!
「龍式武術第弐式『狂気』」
そっと、添わせるように、優しく、迫ってきた竜の腕に掌を押し付ける。
その時だった。
竜の体が急に光り輝き、盛大に爆散…………………しなかった。
「ゴガァ?」
しかし、竜は気づいていた。自身の異常に。
「へへへ。こんなとこで爆発なんて起こすかよ。こちとら、自爆趣味はなくてね」
その代わり、
竜は、電気が走ったかのようにビクン!と体を震わせると、絶命する。
「『狂気』は、対象に器容量を超える気を流し込む技だ」
血液をイメージしてもらえればいい。確かに、少なすぎるのは危険だ。だが、あまりに多い量が供給された場合は?過ぎたるは及ばざるが如し。
血管の方が耐えられなくなる。
気も同じだ。多すぎる気は害でしかない。
「っと…」
少し立ち眩む。この技も万能というわけではない。流し込むということは、一回俺の体にも害のある量の気を通しているのだ。ただ、送っている側だから、被害が少ないだけで。
「ベルセルクの言う通り、乱発は出来ねぇな、ははは…」
力無く、笑うしかなかった。
しかし、まだ終わりではない。この竜をベルセルクの元に届けなければいけない。
「あ、あいつ起きなきゃ意味ねぇじゃん」
喰らうことがどういったことか分からない以上、本人にその行為をしてもらう他ない。
「ぜっんぜん考えてなかったぁー!」
すると、突如として、
「もう、煩いなぁ。僕は病み上がりなんだから少しは静かにしてくれよー」
およそ、1週間ぶりの村訪問だった。村の様子は、すっかり変わってしまっていた。
家々は、殆どが半壊か全壊していた。気配を見る限りは、人々は皆避難を済ませたようだった。もしかしたら、俺が感知できないほど弱っている人がいるのもしれない。
ベルセルクは、近くの元は家だったであろう瓦礫の陰に隠しておく。
「……倒してくるわ」
赤竜だかなんだか知らないが、村を襲ったからには報いを受けて頂こうじゃないか。
しかも、彼女が前に言っていたことが本当ならば___
「あいつは、竜や龍を『喰らう』」
正確には、食べるとは言っていなかった。『喰らう』。それがどのようなものなのかは分からないが、大事なのはその後だった。
_____えーっとね、僕は基本的に喰らわない。栄養摂取は、人とかと同じだよ。
じゃあ、なんで喰らうんだ?意味無いだろ。
うーん。正直必要ないんだけど、喰らうことで対象の能力とかマナとかを吸収出来るんだよね。
つまり、あいつのマナ切れを治すには、赤竜のマナを喰わせればいいってことだよな…
これで、ますますあいつを倒さなれなければいけなくなった。マナは自然回復するみたいだが、そんなの待ってられない。
「やっぱ、手っ取り早く倒して、さっさと目覚めてもらうか」
起きた時には、あいつを一発ぶん殴る。そう決めて、俺は歩みを進めた。
敵は、中央広場にいた。簡素な噴水や手作りのベンチが並び、普段なら村人の憩いの場となってるはずなのだろうが、今やその影もない。あるのは、その広場の設備だったと思われる残骸だけ。
「てめぇが、この村への闖入者か。悪いが、ベルセルクの糧になってもらうぞ」
「グ?グルルルルルルル……」
どうやら、会話は無理みたいだ。そりゃ、ベルセルクのような龍が一緒にされたくないわけだ。
だが、油断は出来ない。腐っても、魔物の上位種なのだろう。ひしひしと、そのマナの大きさを感じる。
(いけるのか?こんなマナも図体もデカいやつ初めてだそ?)
俺の心配をよそに、戦いの火蓋は切って落とされた。
「龍式武術第壱式『縮地』」
龍式武術の基本は、移動だ。龍は羽があるとはいえ、何時までも飛行は出来ないし、速度にも限界がある。そこで、大気中にある限り、半永久的に使える気が重宝された。気を使うと、普通に飛ぶよりも速いらしい。
「まぁ、全部ベルセルクの受け売りなんだがなっ!」
「グガァ!?」
俺の速度についていけていない竜は、完全にいい的だ。
脇腹に軽く一発。だが、それは多大な運動エネルギーを孕んでいる。
竜の体は、紙屑のように飛んでいく。
地面を何度かバウンドし、目測数十メートルほど離れた場所でようやく止まる。
「ゴゴゴルルル……」
どうやら、しっかりとダメージは入っているようだ。
すると、
キュイイイイイイイイイイイイイッッッッッッッッッッッッッンンンンンン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
竜の大きな顎から強烈な光が放たれる。
俺は、そういえば、アギトってラテン語で「覚醒」って意味があったような、なんてどうでもいいかもしれないけど、もしかしたら必要かもしれないことを考えていた。
光は、荘厳な魔法陣を形作る。色は、竜と同じ深紅。
「くそっ、火属性の魔法か!」
竜といえば、火炎放射。使い古されまくったテンプレだが、実際受けることになると、そんなことを言っている場合ではない。
轟!!!!
意志を持ったかのように、熱と光が射出される。
「うおっ!」
髪の毛が数本焦げる。完全に油断していた。思っていた以上に速い。
地面に着弾。
ドゴオオオオオオオツツッンン!
「Wow…」
威力も予想外。直撃していないはずの周囲の木々ですすら完全燃焼していた。地面には、現世の月もかくやという大きさのcrater。当たったら、それで終了だ。
だ・け・ど、
「これで戦略が絞れたな。短距離しかねぇ」
相手が、遠距離が得意なら詰めればいい。シンプルだが、その分効果もある。
「よし、次で決めやんよ。お前の動きは読めたぞ」
どうだろう。誰が、この俺が元NEETだということが信じられるだろうか。俺自身にも信じられないぐらいだ。親が見たら、きっと卒倒するだろう。
「愚息は、元気に異世界で生きてますよ、っとお!」
再度縮地。
だが、今度は俺が赤竜の動きを読んだように、赤竜も俺の動きを読んでいたみたいだ。鋭利な爪で、俺を迎え撃たんとする。
しかし!ここで!
「龍式武術第弐式『狂気』」
そっと、添わせるように、優しく、迫ってきた竜の腕に掌を押し付ける。
その時だった。
竜の体が急に光り輝き、盛大に爆散…………………しなかった。
「ゴガァ?」
しかし、竜は気づいていた。自身の異常に。
「へへへ。こんなとこで爆発なんて起こすかよ。こちとら、自爆趣味はなくてね」
その代わり、
竜は、電気が走ったかのようにビクン!と体を震わせると、絶命する。
「『狂気』は、対象に器容量を超える気を流し込む技だ」
血液をイメージしてもらえればいい。確かに、少なすぎるのは危険だ。だが、あまりに多い量が供給された場合は?過ぎたるは及ばざるが如し。
血管の方が耐えられなくなる。
気も同じだ。多すぎる気は害でしかない。
「っと…」
少し立ち眩む。この技も万能というわけではない。流し込むということは、一回俺の体にも害のある量の気を通しているのだ。ただ、送っている側だから、被害が少ないだけで。
「ベルセルクの言う通り、乱発は出来ねぇな、ははは…」
力無く、笑うしかなかった。
しかし、まだ終わりではない。この竜をベルセルクの元に届けなければいけない。
「あ、あいつ起きなきゃ意味ねぇじゃん」
喰らうことがどういったことか分からない以上、本人にその行為をしてもらう他ない。
「ぜっんぜん考えてなかったぁー!」
すると、突如として、
「もう、煩いなぁ。僕は病み上がりなんだから少しは静かにしてくれよー」
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