結婚前夜に婚約破棄されたけど、おかげでポイントがたまって溺愛されて最高に幸せです❤

凪子

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「先ほどまで一緒におりましたが、諸事情あって私が先にこちらへ移動してまいりました。そろそろいらっしゃるころかとは思いますが」

「お前、ローラと踊ったのか?」

バルコニーの入口、カーテンの陰に身を潜めた私からは、二人の声はかろうじて聞き取れても、表情までははっきりと分からない。

特にナサニエル殿下は仮面をつけているから、なおさらだ。

だけど口調から、殿下がちょっとからかうようなニュアンスなのは感じ取れた。

「……はい」

「それはうらやましいな。俺も一曲、踊ってもらおうかな」

「……殿下」

渋い声でユリウスがとがめたのと、殿下が「ははっ」と声を上げて笑ったのは同時だった。

「冗談だよ。ローラを見世物にするつもりはない。それじゃ借りを返すことにならんからな」

借り……?

身に覚えのない単語に、私は戸惑った。

ナサニエル殿下は、婚約破棄になった私にイヤリングをプレゼントしてくれ、味方になってくれた。

貸しを作った覚えはないし、むしろ恩義のある相手だ。

「……ローラ様は、殿下に貸しを作ったとは思っておられませんよ。むしろ罪悪感を覚えておいででした」

「罪悪感?」

「ナイト家やロベルト様たちクイーンズ分家と決別し、ご自分の身を守るために、殿下にいただいたイヤリングを使われたことを悩んでおられました」

「それでいいんだよ。何を悩む必要がある?あれは、ああいう連中をはねつけるための、いわばお守りだ。正しく使ってもらえて本望だよ」

「そこで悩まれるのがローラ様なんですよ。ご自分が殿下と結婚するとは限らないのに、殿下の優しさを利用しているとお考えになる。律儀な方なんです」

「……なるほどな。貴族の権謀術数とは無縁な娘だ。少しうらやましいよ」

ナサニエル殿下は、ゆっくりと噛みしめるように言った。

「俺はあいつに救われたんだ。あのタイミングでなければ、ローラでなければ不可能だった」

話の意図が飲み込めず、私は眉を寄せた。

これって、立ち聞きしていい話じゃないよね……?
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