護国の鳥

凪子

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春の章

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「構わないよ。それより後で医務室に来なさい。手当てをする必要があるね」

「いえ、結構です。問題ありません」

かたくなな態度を見て、ラグランジュは和やかな笑みを浮べた。

「我が校始まって以来の逸材を、妬む人間は後を絶たない」

何と答えるべきか分からず、わずらわしそうにルートは目を逸らして立ち上がった。

「喧嘩をするなとは言わないよ。時にはぶつかり合っても、相手に自分の思いを伝えることが必要なときもある。
それに大人になると、なかなか喧嘩なんてできないからね。時々、君たちのような年頃の子をうらやましく思うよ」

振り向かない背中に向かって、ラグランジュは穏やかに語りかける。

「でも、相手の尊厳を傷つけることだけは、絶対にしてはいけないよ」

「……俺は何もしていません」

ルートは鼻白んだ。

ラグランジュは困ったように苦笑すると、

「とにかく気をつけることだ。ここは士官学校の割には自由が許されている。士官候補生の自主性に委ねられている部分が多ければ、それだけつけ入る隙も多くなる」

ルートが釈然としない様子をなのを見ると、語尾を優しくほどいて、

「まあ、仮にも軍人を目指しているんだ。危機管理能力の訓練だと思って頑張るんだね。応援しているよ」

「失礼します」

ルートは敬礼すると、本を抱えて足早に図書室を去った。















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