47 / 174
春の章
45
しおりを挟む
「あいつが自殺するようなタマかよ」
組んだ腕を頭の後ろに回し、レッドが不遜に鼻を鳴らす。
「少なくとも昨日までピンピンしてたぜ。なあ?お姫様」
ルートは素っ気なく挑発を黙殺する。
「彼に会ったのか?レッド」
注意深くユリシスは尋ねた。
「まあね」
とレッドは含みを持たせた言い方をする。
ユリシスはルートのほうに進み出ると、
「何か知っていることがあるなら教えてほしい。僕は教官に報告する義務がある」
「なぜ」
「そうか、言い忘れていたね」
ユリシスは爽やかな笑みを浮かべ、胸に手を当てて言った。
「今日、班分けが発表された。僕ら四班は、ここにいる四人がメンバーだ。僭越ながら僕は、この班のリーダーに任命されている」
ルートは愚にもつかないと言わんばかりの溜息をつく。
「出ていけよ」
刺すような目つきが答えだった。
「探偵ごっこはよそでやれ」
「そういうわけにはいかないよ」
ユリシスは物柔らかく、だが断固として意志を貫く構えだった。
「憶測で物を言ったり、根も葉もない噂を流すのはよくない。だけど、知っていることがあるのなら隠しておくべきじゃない」
「怖いのか?お坊ちゃん」
鼻先でせせら笑い、ルートは痛烈に言った。
「不安なら、いつでもママの元へ帰ればいい」
ユリシスの顔色が変わったのを見て、レッドは慌てて二人を引き離した。
組んだ腕を頭の後ろに回し、レッドが不遜に鼻を鳴らす。
「少なくとも昨日までピンピンしてたぜ。なあ?お姫様」
ルートは素っ気なく挑発を黙殺する。
「彼に会ったのか?レッド」
注意深くユリシスは尋ねた。
「まあね」
とレッドは含みを持たせた言い方をする。
ユリシスはルートのほうに進み出ると、
「何か知っていることがあるなら教えてほしい。僕は教官に報告する義務がある」
「なぜ」
「そうか、言い忘れていたね」
ユリシスは爽やかな笑みを浮かべ、胸に手を当てて言った。
「今日、班分けが発表された。僕ら四班は、ここにいる四人がメンバーだ。僭越ながら僕は、この班のリーダーに任命されている」
ルートは愚にもつかないと言わんばかりの溜息をつく。
「出ていけよ」
刺すような目つきが答えだった。
「探偵ごっこはよそでやれ」
「そういうわけにはいかないよ」
ユリシスは物柔らかく、だが断固として意志を貫く構えだった。
「憶測で物を言ったり、根も葉もない噂を流すのはよくない。だけど、知っていることがあるのなら隠しておくべきじゃない」
「怖いのか?お坊ちゃん」
鼻先でせせら笑い、ルートは痛烈に言った。
「不安なら、いつでもママの元へ帰ればいい」
ユリシスの顔色が変わったのを見て、レッドは慌てて二人を引き離した。
0
あなたにおすすめの小説
十八歳で必ず死ぬ令嬢ですが、今日もまた目を覚ましました【完結】
藤原遊
恋愛
十八歳で、私はいつも死ぬ。
そしてなぜか、また目を覚ましてしまう。
記憶を抱えたまま、幼い頃に――。
どれほど愛されても、どれほど誰かを愛しても、
結末は変わらない。
何度生きても、十八歳のその日が、私の最後になる。
それでも私は今日も微笑む。
過去を知るのは、私だけ。
もう一度、大切な人たちと過ごすために。
もう一度、恋をするために。
「どうせ死ぬのなら、あなたにまた、恋をしたいの」
十一度目の人生。
これは、記憶を繰り返す令嬢が紡ぐ、優しくて、少しだけ残酷な物語。
悪役令嬢?いま忙しいので後でやります
みおな
恋愛
転生したその世界は、かつて自分がゲームクリエーターとして作成した乙女ゲームの世界だった!
しかも、すべての愛を詰め込んだヒロインではなく、悪役令嬢?
私はヒロイン推しなんです。悪役令嬢?忙しいので、後にしてください。
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
結婚前夜に婚約破棄されたけど、おかげでポイントがたまって溺愛されて最高に幸せです❤
凪子
恋愛
私はローラ・クイーンズ、16歳。前世は喪女、現世はクイーンズ公爵家の公爵令嬢です。
幼いころからの婚約者・アレックス様との結婚間近……だったのだけど、従妹のアンナにあの手この手で奪われてしまい、婚約破棄になってしまいました。
でも、大丈夫。私には秘密の『ポイント帳』があるのです!
ポイントがたまると、『いいこと』がたくさん起こって……?
異世界転移したと思ったら、実は乙女ゲームの住人でした
冬野月子
恋愛
自分によく似た攻略対象がいるからと、親友に勧められて始めた乙女ゲームの世界に転移してしまった雫。
けれど実は、自分はそのゲームの世界の住人で攻略対象の妹「ロゼ」だったことを思い出した。
その世界でロゼは他の攻略対象、そしてヒロインと出会うが、そのヒロインは……。
※小説家になろうにも投稿しています
世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。
笑顔が苦手な元公爵令嬢ですが、路地裏のパン屋さんで人生やり直し中です。~「悪役」なんて、もう言わせない!~
虹湖🌈
ファンタジー
不器用だっていいじゃない。焼きたてのパンがあればきっと明日は笑えるから
「悪役令嬢」と蔑まれ、婚約者にも捨てられた公爵令嬢フィオナ。彼女の唯一の慰めは、前世でパン職人だった頃の淡い記憶。居場所を失くした彼女が選んだのは、華やかな貴族社会とは無縁の、小さなパン屋を開くことだった。
人付き合いは苦手、笑顔もぎこちない。おまけにパン作りは素人も同然。
「私に、できるのだろうか……」
それでも、彼女が心を込めて焼き上げるパンは、なぜか人の心を惹きつける。幼馴染のツッコミ、忠実な執事のサポート、そしてパンの師匠との出会い。少しずつ開いていくフィオナの心と、広がっていく温かい人の輪。
これは、どん底から立ち上がり、自分の「好き」を信じて一歩ずつ前に進む少女の物語。彼女の焼くパンのように、優しくて、ちょっぴり切なくて、心がじんわり温かくなるお話です。読後、きっとあなたも誰かのために何かを作りたくなるはず。
【完結】テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる