護国の鳥

凪子

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冬の章

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「レッド、どうして」

「状況が変わったからな」

みなまで言わせず、レッドは言い伏せた。

「俺の足がこんなじゃ、お前を守る戦力として心もとないだろ。島を出るにしたって、数じゃ完璧、黒服軍団に負けてるわけだし。あの二人なら最悪、弾よけの盾にはなる」

「そうじゃなく」

ユリシスはレッドの袖を引いた。

「どうしてここが分かったんだ。どうやって、ここまで来られたんだ?」

「ギルベルトが見張り役だったんだろ。なら、話は聞いてるんじゃねえの」

強がって笑ってはいるが、時折、痛みを堪えるためか、レッドの表情が強張る。

焦りと疲労の色が足取りに濃く刻まれていた。

「彼らは軍を解散し、自分たちの国をつくると。父に要求を」

「そ。お前の親父さんにね」

レッドは辛辣な笑みを浮かべた。

「よりにもよって、一番敵に回しちゃいけない人を怒らせちまったわけだ」

角を曲がった瞬間、黒装束の人間が四人ほど襲いかかってきて、レッドは滑らかな動作で剣を抜いた。

ユリシスもとっさに剣を抜く。

腕に斬りつけられた瞬間は、痛みはほとんど感じず、衝撃のほうが強かった。

恐怖は麻痺し、躊躇いや慈悲が入り込む余地はなかった。

ユリシスは一人に手傷を負わせ、一人を追い払い、レッドは残りの二人を殺して武器を奪うことに成功した。

「ほら、持っとけ」

装飾の美しい短銃を放り投げられ、慌てて受け止める。

安全装置が作動しており、装填された銃弾が七発であることを確認していると、レッドが事もなげに言った。

「お父君は要求を拒否されたよ。『交渉の余地など皆無。国家に対する反逆者と話し合いをする気は毛頭ない』とさ。無条件降伏しなければ、即座に軍を差し向けるそうだ。その割には到着が遅れてるってのが、さすがは軍部、一枚岩じゃないというか何というか」

「……どうして」

「恨むなよ。アレクシス様は国家の重責を担っておられるんだ」

「そうじゃない」

ユリシスは抑えかねて、激した口調で言った。

「インバースはどうしてこんな真似をするんだ。どう考えても勝ち目はない、むしろ状況が悪化するだけだ!」

「声、抑えろ。一応潜伏中なんだから」

レッドは宥めるように言って、無人なのを確認すると医務室に入り込んだ。

棚からごっそりと薬や包帯がなくなっているのを見て、舌打ちをする。
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