ウェルテルの陰謀 －美少女と美少年(？)に囲まれた俺の運命やいかに？ー

第一章

19

「そうに決まってるだろ。言っとくが、食べきれなかったらお前が代金払うんだからな」

理不尽りふじんな要求に、真啓は思わず、

「ええーっ？！」

と、非難のこもった声をあげた。

公香はそれを聞くなり、細い指で真啓の顔をこれでもかとつねりあげ、

「私が誰のせいで清々しい門出かどでの日をめちゃめちゃにされたと思ってるんだ？え？文句を言うのはこの口か？」

「ふぁかりまひたふみまふぇん」（訳：分かりました、すみません）

何度も頷くと、公香はぱっと手を離し、満足げにかつ凶悪に笑った。

「よし。死ぬ気で食えよ。後で吐いても構わん」

いや俺、新しいスーツだし困るんですけど。

入学早々、なんでこんな目に遭うんだ。何か憑ついてるのか俺。

真啓はとことんツイてない自分を呪い、目の前にうず高く盛られたクリームとアイスの山を見つめてうなだれた。