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第一章
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「そんなことだろうと思った」
「ってことは、脅迫されたり、危険な目に遭う覚えがあるってこと?」
「どうせ里香から聞いているだろう」
「遺産相続がどうのって話なら、ちょっとは」
公香はヨーグルトをすくっていた手を止め、穴があくほど真啓を凝視した。
「……はあ?」
気の抜けたような声を出し、公香はテーブルに身を乗り出した。
「遺産相続?何言ってるんだお前?」
呆れたような小馬鹿にするような口調で言いかけ、はっと口をつぐんで、
「……そうか……そういうことか」
プチケーキをつまんでほおばり、口をもごもご動かす。
真啓は焦れたように言った。
「何だよ。一人で納得するなって」
「里香はお前に嘘をついたんだよ。……私をかばうためにな」
公香はやや自嘲気味に笑う。そんな表情をするのを見るのは初めてで、心打たれるものがあった。
「うちは一般庶民の家庭だから、継ぐような資産なんてない。もし私が危険な目に遭うとしたら、ご大層な遺産相続とは関係ない話だ」
「やっぱりそうか」
「やっぱりって?」
「いや、話してるとき、何か変な感じだったからさ」
じゃあ、あの詩のような文章も、やはり暗号でも何でもなかったということか。
里香があれを公香に見せたくなかった理由も、何となく想像がつく。
だがこれは、姉妹がお互いに気を遣い、かばい合って何とかなる次元の話ではない。
真啓は意を決して、テーブルの上に脅迫状を置いた。
「ってことは、脅迫されたり、危険な目に遭う覚えがあるってこと?」
「どうせ里香から聞いているだろう」
「遺産相続がどうのって話なら、ちょっとは」
公香はヨーグルトをすくっていた手を止め、穴があくほど真啓を凝視した。
「……はあ?」
気の抜けたような声を出し、公香はテーブルに身を乗り出した。
「遺産相続?何言ってるんだお前?」
呆れたような小馬鹿にするような口調で言いかけ、はっと口をつぐんで、
「……そうか……そういうことか」
プチケーキをつまんでほおばり、口をもごもご動かす。
真啓は焦れたように言った。
「何だよ。一人で納得するなって」
「里香はお前に嘘をついたんだよ。……私をかばうためにな」
公香はやや自嘲気味に笑う。そんな表情をするのを見るのは初めてで、心打たれるものがあった。
「うちは一般庶民の家庭だから、継ぐような資産なんてない。もし私が危険な目に遭うとしたら、ご大層な遺産相続とは関係ない話だ」
「やっぱりそうか」
「やっぱりって?」
「いや、話してるとき、何か変な感じだったからさ」
じゃあ、あの詩のような文章も、やはり暗号でも何でもなかったということか。
里香があれを公香に見せたくなかった理由も、何となく想像がつく。
だがこれは、姉妹がお互いに気を遣い、かばい合って何とかなる次元の話ではない。
真啓は意を決して、テーブルの上に脅迫状を置いた。
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