ウェルテルの陰謀 －美少女と美少年(？)に囲まれた俺の運命やいかに？ー

第二章

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何とか家にたどりついたものの、真啓は今だかつて経験したことのない混乱に陥っていた。

もらった弁当を冷蔵庫に入れて、床にへたり込む。

途端、図ったようなタイミングでスマホが鳴り響く。

慌てまくり、恐れおののいてスマホを何度も取り落とす。

「もっもしもし」

「出るのが遅い！」

耳の奥を突き刺すような大音量が響いた。思わず耳から遠ざけて、

「出るタイミングまで指定かよ」

「はっ！？聞こえないんだけど」

「何でもない。何か用？」

一瞬受話器の向こうが静まりかえる。ややあって、

「何かあったのか？」

あったと言えばあったが、ありすぎて何から説明していいものやら分からない。

「何で」

返事が不機嫌な調子になるのは否めない。

「死にかけの犬みたいな声してるぞ。餌は食べたのか」

真啓は思わず吹き出した。あまりにも公香らしい言い草だったので。

「確かに腹はそこそこ減ってるけど、問題はそこじゃないから大丈夫」

「ふん」

公香は鼻を鳴らした。

「里香がな、明日お前を家に招待したいそうだ」

「げ」

反射的にうめき声をもらす。

「今、げって言ったか？かわいい妹のお願いに」

「いや何も？気のせいだよアハハハハ」

どういうつもりだろう。これは何の策略だ？自白剤でも盛られるのか？

「里香の料理はプロ級だからな。手土産持参しなきゃ血を見ると思え」

公香はどすの利いた声で凄む。

真啓は心の中で両手を上げて無条件降伏した。