ウェルテルの陰謀 -美少女と美少年(?)に囲まれた俺の運命やいかに?ー

凪子

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第三章

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「合コンで会ったんだって?最近の高校生はすごいね」

「分かってた」

里香は真啓の言葉を鼻息一つで片づけた。

「最初から。和臣が、私自身じゃなくて私の後ろにある何かを求めてるんだってことは」

「後ろって?」

「顔とか体とか。女子高生っていうステータスとか。……お姉ちゃんとか」

やさぐれた空気が里香の周りを覆う。

和臣から話を聞いたときの、公香の反応の速さと表情といったら、見物だった。

きっと、こういった事態は初めてではないのだろう。

「それでもいいと思ったの。周りの子は彼氏ができて、どんどん綺麗になっていく。私一人、取り残されているようで寂しかった」

「……そう」

まだ高校生なのに。いや、高校生だからか。

こんなにも可愛らしいのに。いや、こんなにも可愛らしいからか。

「でもまさか、和臣があの小さい子に脅されて、お姉ちゃんのことを探ろうとしているなんて思わなかった。あの子、事件と何の関係があるの?」

「俺のところに届いた脅迫状があるだろ。あれは、あの子が和臣くんにやらせたことらしい。俺や公香の周りをうろついて、写真を撮ったりしたのもね」

「どうして……」

「分からない」

真啓は正直に答えたが、里香は何か含むところがあると感じたようだった。

「私がまた暴走するんじゃないかって、心配ですか?」

「そうじゃないよ。ただ……」

ああ、と里香は腑に落ちたのか頷いた。

「子供相手に尋問はできないか。有澤さん、お優しいですもんね」

里香の言葉には揶揄するような棘があったが、真啓は肩をすくめることでそれをやり過ごした。

「お姉さんのことが心配なのは分かるよ。歯がゆいのも当然だと思う。だけど、もうちょっと待ってくれないかな。あの子が自分から話さないと、意味がないと思うんだ」

里香は組んだ指の上に顎を置き、ふっと息をついた。

「有澤さん、もう本当は分かってるんじゃないんですか?」

挑発的な笑顔に、真啓は動じることなく微笑み返す。
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