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第三章
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「誰だ」
鋭く誰何しながらも、真啓は胸の奥底に広がっていく驚きを隠しきれなかった。
その青年の容姿が非常に優れており、かつ、雰囲気が公香に似ていたからである。
公香を男にしたらこんな感じかな、と場違いなことをぼんやり考えてしまったほどだ。
やがて、頭が徐々に冴え渡っていく。
恐怖に支配される前に、考えなければならない。この事態を打開する方策を。
「お前、優って奴の仲間か、三上輝男を使って、」
「動けないよ。筋肉弛緩剤を打ったからね」
何とか身動きをしようとする真啓に、青年はにこにこしたまま言った。
顔は動くし、言葉も呂律は回らないが話すことができる。
だが、腕も足も萎えてしまって使い物にならない。全身が重く、不愉快な倦怠感がつきまとう。
「ごめんね」
真啓の抗議の視線を受け流すと、青年は水のような美声で言った。
「俺にも催眠剤を使ってみますか?」
真啓はわざと挑発的に笑う。
青年がははっ、と軽く笑い声を立てた。
「あんたが黒幕なんだろ?こんなことをして、ただで済むと思ってるのか」
青年は優雅に微笑むと、つかつかと真啓の前までやってきた。
「そうだね。でも、公香の彼氏気取りの君を、懲らしめてって言われたからね。僕も辛いところさ」
「優に?」
「君が悪いんだよ?いろいろと嗅ぎ回ったりするから。僕は一向に構わないけれど……彼女は、公香が絡むと激し
やすい」
「公香公香と、気安くその名を呼ぶな」
真啓は歯をむき出して言った。
「何が目的だ。どうしてあのとき、公香を誘拐した」
「だから言ったろ?優に頼まれたんだよ」
「どうして優って奴の言いなりになるんだ。お前も脅されてるのか」
「まさか」
青年はくすくすと笑った。
「ただ、あの子と一緒にいると、僕も面白い実験ができるからね」
「実験?」
「そう、実験」
青年は歌うように言い、真啓はなぜかその響きにぞっとした。
鋭く誰何しながらも、真啓は胸の奥底に広がっていく驚きを隠しきれなかった。
その青年の容姿が非常に優れており、かつ、雰囲気が公香に似ていたからである。
公香を男にしたらこんな感じかな、と場違いなことをぼんやり考えてしまったほどだ。
やがて、頭が徐々に冴え渡っていく。
恐怖に支配される前に、考えなければならない。この事態を打開する方策を。
「お前、優って奴の仲間か、三上輝男を使って、」
「動けないよ。筋肉弛緩剤を打ったからね」
何とか身動きをしようとする真啓に、青年はにこにこしたまま言った。
顔は動くし、言葉も呂律は回らないが話すことができる。
だが、腕も足も萎えてしまって使い物にならない。全身が重く、不愉快な倦怠感がつきまとう。
「ごめんね」
真啓の抗議の視線を受け流すと、青年は水のような美声で言った。
「俺にも催眠剤を使ってみますか?」
真啓はわざと挑発的に笑う。
青年がははっ、と軽く笑い声を立てた。
「あんたが黒幕なんだろ?こんなことをして、ただで済むと思ってるのか」
青年は優雅に微笑むと、つかつかと真啓の前までやってきた。
「そうだね。でも、公香の彼氏気取りの君を、懲らしめてって言われたからね。僕も辛いところさ」
「優に?」
「君が悪いんだよ?いろいろと嗅ぎ回ったりするから。僕は一向に構わないけれど……彼女は、公香が絡むと激し
やすい」
「公香公香と、気安くその名を呼ぶな」
真啓は歯をむき出して言った。
「何が目的だ。どうしてあのとき、公香を誘拐した」
「だから言ったろ?優に頼まれたんだよ」
「どうして優って奴の言いなりになるんだ。お前も脅されてるのか」
「まさか」
青年はくすくすと笑った。
「ただ、あの子と一緒にいると、僕も面白い実験ができるからね」
「実験?」
「そう、実験」
青年は歌うように言い、真啓はなぜかその響きにぞっとした。
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