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エピローグ
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「意外だよ」
「え?」
「お前が、そんなことにコンプレックス持ってたなんて」
「……記憶を失う前まではな」
「男だろうと女だろうと、人はお前を好きになるよ。それは、公香が魅力的だからだ。欠陥品なんてこと、絶対にないからな」
「……気持ち悪いこと言うな」
公香はそっぽを向いてうそぶいた。
「いつ気づいたんだ?そのこと……犯人が、都築さんだってこと」
「確証はなかった。だけど、初めて会った時から変な違和感があった。初めて会う気がしないっていうか」
「ま、会ったことあるんだから当たり前だな」
「それで、テストが終わって三人で飲みに行ったことがあったろ。あのときに、こいつは過去の私を知ってると確信した」
「あの、食欲がなくなったときか。どうして」
「スマホだよ」
「スマホ?」
「そう。あのとき私のスマホは吉村の件でぶっ壊れてて、代替機を持っていた。それは、私が高校のときに使っていた前のスマホと偶然一緒のモデルだったんだよ。でも、あの女はスマホを見るなり私のものだと勘違いした」
「勘違いって……」
「大学に入ってから私に会った人間なら、スマホ変えたのって聞くはずだろ」
「あ」
公香は呆れたように息をつくと、
「それから、通ってた予備校に行って名簿を調べて、はっきりした。屈辱的な告白を受けたことも、全部思い出した。それから、もしかしたらって疑ってたんだが……三上の話を聞いて、確信を得た」
「それなら、どうして気づいたときに言わなかったんだよ」
責める口調になっていることに、真啓は気づかなかった。
公香は目を伏せると、
「約束、したからな」
真啓ははっとした。あのときの会話が、感情が、目まぐるしく蘇る。
――そうだ。俺が言ったんだ。
他ならぬ俺が自分で、あのとき公香に釘を刺したんじゃないか。
都築さんが好きだと。この恋を応援してくれと。
言えなかったに決まっている。理紗を好きな真啓を目の前にして。
胸の奥が切り裂かれるように痛んだ。
「公香……」
公香は自嘲気味に言った。
「私はあのとき、そうでなければいい、そうであらないでくれって、願ってた」
「ごめん」
ぽん、と慰めるように肩をたたかれる。
「何でお前が謝るんだよ」
「お前の過去を、好き勝手ほじくり返して、傷つけたから」
真啓がしゅんとうなだれているのを見て、公香は表情を緩める。
「何言ってんだ、馬鹿」
包み込むような、優しい声が耳元で響いた。
「え?」
「お前が、そんなことにコンプレックス持ってたなんて」
「……記憶を失う前まではな」
「男だろうと女だろうと、人はお前を好きになるよ。それは、公香が魅力的だからだ。欠陥品なんてこと、絶対にないからな」
「……気持ち悪いこと言うな」
公香はそっぽを向いてうそぶいた。
「いつ気づいたんだ?そのこと……犯人が、都築さんだってこと」
「確証はなかった。だけど、初めて会った時から変な違和感があった。初めて会う気がしないっていうか」
「ま、会ったことあるんだから当たり前だな」
「それで、テストが終わって三人で飲みに行ったことがあったろ。あのときに、こいつは過去の私を知ってると確信した」
「あの、食欲がなくなったときか。どうして」
「スマホだよ」
「スマホ?」
「そう。あのとき私のスマホは吉村の件でぶっ壊れてて、代替機を持っていた。それは、私が高校のときに使っていた前のスマホと偶然一緒のモデルだったんだよ。でも、あの女はスマホを見るなり私のものだと勘違いした」
「勘違いって……」
「大学に入ってから私に会った人間なら、スマホ変えたのって聞くはずだろ」
「あ」
公香は呆れたように息をつくと、
「それから、通ってた予備校に行って名簿を調べて、はっきりした。屈辱的な告白を受けたことも、全部思い出した。それから、もしかしたらって疑ってたんだが……三上の話を聞いて、確信を得た」
「それなら、どうして気づいたときに言わなかったんだよ」
責める口調になっていることに、真啓は気づかなかった。
公香は目を伏せると、
「約束、したからな」
真啓ははっとした。あのときの会話が、感情が、目まぐるしく蘇る。
――そうだ。俺が言ったんだ。
他ならぬ俺が自分で、あのとき公香に釘を刺したんじゃないか。
都築さんが好きだと。この恋を応援してくれと。
言えなかったに決まっている。理紗を好きな真啓を目の前にして。
胸の奥が切り裂かれるように痛んだ。
「公香……」
公香は自嘲気味に言った。
「私はあのとき、そうでなければいい、そうであらないでくれって、願ってた」
「ごめん」
ぽん、と慰めるように肩をたたかれる。
「何でお前が謝るんだよ」
「お前の過去を、好き勝手ほじくり返して、傷つけたから」
真啓がしゅんとうなだれているのを見て、公香は表情を緩める。
「何言ってんだ、馬鹿」
包み込むような、優しい声が耳元で響いた。
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