守護霊は吸血鬼❤

6

由宇が見ると、聖は学生鞄を探って眉を寄せている。

その表情は、嫌な予感が確信に変わったときのものだ。

「今度は何？」

「英語の教科書、教室に忘れてきた」

聖らしからぬ真面目な発言に、由宇はきょとんとした。

「それがどうしたよ」

「明日小テストなんだよ。俺、ちょっと行って取ってくる」

「もう閉門してると思うぞ。最終下校時刻過ぎてるし」

「この間、試験で赤点だったから、小テストで点数稼がなきゃやばいんだよ。小遣い値下げされちまう」

 そう言うと聖は走り出した。

「おい、聖！ちゃんと前見て走れよ！」

「分かってるって。また明日なー！」

するすると人波を縫うようにして、聖は突風のようなスピードで駅前の道を駆け抜けていった。