守護霊は吸血鬼❤

10

泣き声は最初は小さく遠く、近づくにつれて徐々に、我慢できないほど大きくなっていった。

木陰の作る暗がりと夜の漆黒がまじり合い、混沌こんとんとした暗闇となってわだかまっている。

梢を揺らす風さえも厳しく、聖の存在を測っているようにも思えた。

裏山といっても標高は低く、頂上付近に小さな祠ほこらがあるだけの質素なものだ。

道も踏み固められた緩やかな勾配こうばいのものが敷かれており、登りきるのに十分とかからない。

よく不良がさぼってタバコを吸うときに使われており、今日も道には吸殻がいくつか落ちていた。

暗い道を声に従って進むと祠が見えてくる。

そこに小さな影がうずくまっているのを見とめて、聖は立ち止まった。

しゃがみこんで顔を覆い、頭を伏せているので表情は分からなかったが、目を凝らせばそれが子供だということがかろうじて判別できた。

だが、その事実は露つゆほども聖の心を和ませなかった。