守護霊は吸血鬼❤

12

これは一体、何だろう。

まじまじと聖が布に見入っていると、子供は澄んだ瞳いっぱいに涙をためて首を左右に振り、焦じれたように口元の布を引っ張る仕草をした。

その動作を何度も繰り返す。何度も、何度も。

あまりに思いつめた様子に、聖は思わず彼を凝視する。

「その口の布を外してほしいの？」

あてずっぽうで問いかけると、子供は首が外れるかと思うほど激しく頷いた。

苦しそうに顔を歪めている。

（もしかして、誘拐？）

そんな考えが聖の頭に浮かんだ。

子どもをさまざまな目的で誘拐する悪党は多い。

この子が悪い人間の手から逃げ延び、ここに身を潜めていたのだとしたら。