女子高生占い師の事件簿

凪子

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【1】ハーモニクス アストロジー

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――凄腕の占い師なのよ

今井マネージャーの声が頭の中でリフレインした。

社長が直々じきじきに会って占ってもらったというのは本当の話だろう。

何せ、今井は社長の愛人になったからこそ、今の仕事につけているわけだから。

地位も名誉もある大人が、わざわざ時間を作って、こんな年端としはもいかない小娘に会う。

それが、恵果が真に有能な占い師だということの証拠ではないか。

プライドを傷つけられるのが嫌だからといって、この機会をふいにしてしまうのも、もったいないのではないか?

当たるも八卦はっけ、当たらぬも八卦というし。

もしかすると、この泥沼から解放されるきっかけがつかめるかもしれない。

恵果の占いが駄目だったとしても、無料なのだから自分には何の損もない。

そして現に今、自分は来るところまで来てしまっている。

切り立った崖を目前にして、どうすることもできないほど追い詰められている。

――救われたい、だなんて

美蘭は、自分の中に生まれた衝動に驚いていた。

自分はこの局面を打開したいと願っているのだ。

何もかも、とうの昔に諦めたと思っていたのに。
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