女子高生占い師の事件簿

【１】ハーモニクス アストロジー

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「じゃ、占ってみますね」

恵果は紙を二つに折りたたみ、大事そうに鞄の中へしまった。

今この場で占うと思っていた美蘭は、肩すかしを食わされた気分だった。

そのとき、律がうめき声を上げて目を覚ました。

「あら、お早いお目覚めだねー。りっちゃん」

恵果がコップに水を注ぎ、氷を入れて渡してやった。

「何時？」

『ん』が消えて、「な……じ？」になったが、恵果は聞き取ったらしく、

「二時。お風呂入ってもうちょっと寝たら？明日、じゃなかった、今日学校ないんでしょ」

「いや、いい。一旦家帰るわ」

ぼさぼさの頭を揺らして立ち上がる律を見て、恵果が呆れたようにため息をつく。

「ねえ、何回も言うけど、プロ目指す気は本当にないの？」

評判を聞いてレコード会社のスカウトマンがやってきたときも、二人はにべもなく断った。

恵果も、この返事を聞くために質問しているようなふしがある。