34 / 138
【1】ハーモニクス アストロジー
34
しおりを挟む
絶句した美蘭に、渡瀬はさらに言い募った。
「あれー?おかしいなあ。今井さんから話は聞いてると思うんだけど」
美蘭は体中の血がざっと足に流れ落ちるのが分かった。
今井か。
あいつの持ってきた『仕事』はこれか。
今井はさまざまな言葉に粉飾していたけれど、聡い美蘭はすぐに気づいた。
これはNOを許さない仕事なのだろう。断れば、美蘭の首は今度こそ飛ぶ。とても簡単に。
数年前まで事務所の出世頭で、どんなワガママも許されてきた自分が。
「金ないんだろ?ね、頼むよ。美蘭ちゃん」
汚らわしい手を振り払い、美蘭は唇を噛み締めた。
体全体がわなわなと、こらえようのない怒りに打ち震えていた。
美蘭の刺し貫くような視線を受けて、渡瀬はせせら笑った。
「何怒ってんの?お高くとまっても無駄だよ。それとも、今さら清純派女優で売れると思ってるわけ?サバ読み姫が聞いて呆れるね」
美蘭はまず、親指を入れずに右手を握り締めた。
「女は脱げば金になるんだからさ、四の五の言わずに素直になれよ」
それから顎と肘を引き、しっかりと相手を見据える。
「もう事務所から承諾は取ってあるの。はい、いい子でちゅねー。かわいーく撮ってあげるから、おいで」
足を一歩踏みしめ、それから渾身の力を込めて、男の鼻めがけて拳を叩き込んだ。
骨にめり込む確かな手応えがあった。
「むぐっ……ふぐぅ……っ」
渡瀬が顔を仰向けてたたらを踏む。
鼻の穴から血がだらだら出ているを見て、思わず爆笑した。
「ははっ……あはははははは!!!!」
爽快だった。
「あれー?おかしいなあ。今井さんから話は聞いてると思うんだけど」
美蘭は体中の血がざっと足に流れ落ちるのが分かった。
今井か。
あいつの持ってきた『仕事』はこれか。
今井はさまざまな言葉に粉飾していたけれど、聡い美蘭はすぐに気づいた。
これはNOを許さない仕事なのだろう。断れば、美蘭の首は今度こそ飛ぶ。とても簡単に。
数年前まで事務所の出世頭で、どんなワガママも許されてきた自分が。
「金ないんだろ?ね、頼むよ。美蘭ちゃん」
汚らわしい手を振り払い、美蘭は唇を噛み締めた。
体全体がわなわなと、こらえようのない怒りに打ち震えていた。
美蘭の刺し貫くような視線を受けて、渡瀬はせせら笑った。
「何怒ってんの?お高くとまっても無駄だよ。それとも、今さら清純派女優で売れると思ってるわけ?サバ読み姫が聞いて呆れるね」
美蘭はまず、親指を入れずに右手を握り締めた。
「女は脱げば金になるんだからさ、四の五の言わずに素直になれよ」
それから顎と肘を引き、しっかりと相手を見据える。
「もう事務所から承諾は取ってあるの。はい、いい子でちゅねー。かわいーく撮ってあげるから、おいで」
足を一歩踏みしめ、それから渾身の力を込めて、男の鼻めがけて拳を叩き込んだ。
骨にめり込む確かな手応えがあった。
「むぐっ……ふぐぅ……っ」
渡瀬が顔を仰向けてたたらを踏む。
鼻の穴から血がだらだら出ているを見て、思わず爆笑した。
「ははっ……あはははははは!!!!」
爽快だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる