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【2】リロケーション
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薄暗い店内に入ると、小さく鈴が鳴る音がした。
いらっしゃいませ、という声はせず、カウンターには人もいない。
午後八時。壁かけ時計を確認して、もうそんなに時間が経っていたのだ、と亜子は驚いた。
喫茶店も閉店の時間だろう。
窓際の席の奥に、背を向けて誰かが座っているのに気づいて、亜子は目を凝らした。
すると、人影はこちらを向いて微笑んだ。
「あら、ごめんなさい。電気つけてくれます?集中してたら気づかなくって」
「あの、私、」
亜子はここへ来た理由を告げようとして、絶句した。
相手の姿が、どう見ても自分とそう変わらない少女のものだったからだった。
「いらっしゃいませ。江藤亜子さん。占星術師の佐伯恵果です」
おかけくださいと言われて、亜子は静かに布ばりのソファーに腰かけた。
「大丈夫だった?比呂が行ってくれたから、間に合ったかと思うんだけど」
「え……ええ……あの……あの人は、」
「急に来ていただいてごめんなさい。りっちゃんのホロスコープに、あなたの存在がとても色濃く反映されていたの。だから、ちょっと気になって」
「ホロスコープ?」
「あ、占いの結果図みたいなもの」
「りっちゃ……律君、を、知ってるんですね」
「うん。あ、亜子ちゃんが疑ってるような仲じゃないから安心して」
亜子は首を傾げた。
臆面もなく自分を『占い師』だと言うこの人も、律を知っている。
自分の知らない律の姿が、恵果の口からどう伝えられるのだろうか。
いらっしゃいませ、という声はせず、カウンターには人もいない。
午後八時。壁かけ時計を確認して、もうそんなに時間が経っていたのだ、と亜子は驚いた。
喫茶店も閉店の時間だろう。
窓際の席の奥に、背を向けて誰かが座っているのに気づいて、亜子は目を凝らした。
すると、人影はこちらを向いて微笑んだ。
「あら、ごめんなさい。電気つけてくれます?集中してたら気づかなくって」
「あの、私、」
亜子はここへ来た理由を告げようとして、絶句した。
相手の姿が、どう見ても自分とそう変わらない少女のものだったからだった。
「いらっしゃいませ。江藤亜子さん。占星術師の佐伯恵果です」
おかけくださいと言われて、亜子は静かに布ばりのソファーに腰かけた。
「大丈夫だった?比呂が行ってくれたから、間に合ったかと思うんだけど」
「え……ええ……あの……あの人は、」
「急に来ていただいてごめんなさい。りっちゃんのホロスコープに、あなたの存在がとても色濃く反映されていたの。だから、ちょっと気になって」
「ホロスコープ?」
「あ、占いの結果図みたいなもの」
「りっちゃ……律君、を、知ってるんですね」
「うん。あ、亜子ちゃんが疑ってるような仲じゃないから安心して」
亜子は首を傾げた。
臆面もなく自分を『占い師』だと言うこの人も、律を知っている。
自分の知らない律の姿が、恵果の口からどう伝えられるのだろうか。
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