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【3】ホラリー
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「ようこそいらっしゃいました」
恵果はさっと立ち上がり、笑顔で会釈した。めぐみもぎこちなく微笑み返す。
「……あんにゃろ、わざと黙ってやがったな」
めぐみが来ると知ってて言わなかったのだ、性悪女め。
律は恵果を睨んだ。
あやうく悪口雑言のオンパレードの最中に、めぐみと鉢合わせするところだった。
「遅れてすみません」
「いえ、結構ですよ。この通り閑古鳥が鳴いてます。ちょっとかけて待ってくださいます?この二人追い出しますから」
めぐみはちらりと律と比呂を見たが、やがて首を力なく横に振った。
「構いませんわ」
「でも、今日のお話は、あなたにとって他人に聞かれたくないものになりますよ」
恵果はやんわりと忠告したが、めぐみは全く躊躇しなかった。
もはや律や比呂など眼中にないようだ。
どこか力なく悄然としていて、いつもの苛烈なまでの美貌が影を潜めているように見える。
二人は奥まった席に座り、恵果がホロスコープを机の上に置いて切り出した。
「めぐみさん。あなたも多忙を極めていらっしゃるでしょうから、無駄話はやめて率直に言います」
いつになくシビアな口調だな、と律は首を傾げた。
「結論から言いましょう。お二人は結婚なさらないほうがよいと思います。いいえ、今は『できない』と言ったほうが正しいでしょう。理由は、あなたが一番よく分かっておられるはずです」
めぐみははっと手で口を覆った。
恵果の目がさらに鋭い光を放つ。
「占星術師に嘘をつくのは無意味です。言葉や態度でいくら粉飾しても、星は全てを明らかに示します」
口調こそ穏やかだったが、それはめぐみを糾弾する言葉だった。
律は唾を飲んだ。
「市井清隆には、法律上の配偶者がいますね」
恵果はさっと立ち上がり、笑顔で会釈した。めぐみもぎこちなく微笑み返す。
「……あんにゃろ、わざと黙ってやがったな」
めぐみが来ると知ってて言わなかったのだ、性悪女め。
律は恵果を睨んだ。
あやうく悪口雑言のオンパレードの最中に、めぐみと鉢合わせするところだった。
「遅れてすみません」
「いえ、結構ですよ。この通り閑古鳥が鳴いてます。ちょっとかけて待ってくださいます?この二人追い出しますから」
めぐみはちらりと律と比呂を見たが、やがて首を力なく横に振った。
「構いませんわ」
「でも、今日のお話は、あなたにとって他人に聞かれたくないものになりますよ」
恵果はやんわりと忠告したが、めぐみは全く躊躇しなかった。
もはや律や比呂など眼中にないようだ。
どこか力なく悄然としていて、いつもの苛烈なまでの美貌が影を潜めているように見える。
二人は奥まった席に座り、恵果がホロスコープを机の上に置いて切り出した。
「めぐみさん。あなたも多忙を極めていらっしゃるでしょうから、無駄話はやめて率直に言います」
いつになくシビアな口調だな、と律は首を傾げた。
「結論から言いましょう。お二人は結婚なさらないほうがよいと思います。いいえ、今は『できない』と言ったほうが正しいでしょう。理由は、あなたが一番よく分かっておられるはずです」
めぐみははっと手で口を覆った。
恵果の目がさらに鋭い光を放つ。
「占星術師に嘘をつくのは無意味です。言葉や態度でいくら粉飾しても、星は全てを明らかに示します」
口調こそ穏やかだったが、それはめぐみを糾弾する言葉だった。
律は唾を飲んだ。
「市井清隆には、法律上の配偶者がいますね」
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