女子高生占い師の事件簿

【５】イベントチャート

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加奈子は、チャイムを押す自分の指が震えるのが分かった。

『――はい』
応答した素っ気ない男の声に、自分の声が裏返る。

「山瀬加奈子です。えっと……」

言葉を続ける前に、ぶつっと音がしてインターフォンが切れた。

立ち尽くした加奈子の目の前で、無造作にドアが開く。

色素の薄い髪と瞳、端正な顔立ちをした若者がそこに立っていた。

「あがって」

「あ……ありがとうございます」

加奈子はどぎまぎしながら、若者に頭を下げた。

――わあ……恵果ちゃんのお兄さんだ。

そういえば、確かに目のあたりが似ていなくもない。

けれど、男性だけあって、全てのパーツが恵果よりも一回り以上大きい。

痩身なのでむさくるしさは感じないが、筋肉のついたしなやかな体つきであることが、服の上からでも見てとれる。

加奈子は出されたスリッパに履きかえながら、あれこれと考えた。

居間に通され、出迎えた恵果の姿を見た途端、加奈子は全てを忘れて飛びついた。

「恵果ちゃん！」

抱きとめた恵果は、嬉しそうな笑い声を上げた。

「来てくれたんだ。ありがとう、加奈ちゃん」

「心配したんだよ？LINEしたのに全然返事くれないから、お母さん、警察に連絡しようって。止めるの大変だったんだから」

恵果は、困ったように目尻を下げた。

「ごめんね」

丁寧だが拒絶するような響きに、加奈子は顔を上げた。