ディエス・イレ ~運命の時~

凪子

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本編

10

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二人は私が引っ越してくる前からご近所さんで、とても仲のいい幼なじみだった。

爽君と紘ちゃん、そして私は、七年前までいつも一緒だった。

なのに。

紘二こうじ……か?」

紘ちゃんを見つめる爽君の、凍りついたような瞳。

ううん、瞳だけじゃない。

顔全体が強張って、頬がひくひくと痙攣している。

全身の筋肉がぎゅっと緊張しているのが、そばにいる私にも伝わってきた。

「久しぶりだね、爽兄」

紘ちゃんは無邪気に笑い、嬉しそうに手を伸ばす。

でも爽君は――その手をまじまじと見つめるだけで、その場から一歩も動こうとしない。

そのくせ眼差しはじっと、食い入るように紘ちゃんの顔に注がれている。

「爽君……?」

異様な雰囲気を感じ取り、私は爽君の腕に触れた。

「どうしたの? 紘ちゃんの顔、忘れちゃった?」

「いや……」

唾を飲み込み、溜めていた息を吐き出し、爽君はその場でうろうろと足踏みをする。

しばらく妙な沈黙が流れた。

「何でもない。ただ、紘二は今日来ないと思ってたから」

「私が誘ったの。せっかく久しぶりなんだし、三人で会えたらって思って」

我ながらいい思いつきだと思った。

なのに、爽君はなぜだか全然嬉しそうじゃなく、むしろ苦虫を噛み潰したような顔をしている。
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