14 / 133
本編
13
しおりを挟む
連れていかれたのは、高級ホテルの上層階にあるフレンチレストランだった。
「こんなとこ来るんだったら、先に教えてよ……! もっとちゃんとした格好してきたのに」
「大丈夫、大丈夫。誰もお前のことなんか見てねーから」
爽君は私の頭をぽんぽんと手のひらで叩く。
私はむっとしてそれを払いのけた。
紘ちゃんは緊張よりも好奇心が勝ったのか、物珍しそうに店内を見回している。
案内されたのは窓際の、夜景がよく見える席だった。
ネオンが宝石の粒のように輝く夜の街。流れる川と、桜が煙るように咲いているのが見渡せる。
「綺麗……」
ウェイターが「お飲み物は何になさいますか」と尋ねてくると、爽君は「ワインを」と言い、リストを見ながら慣れた様子で決めていく。
私はグレープフルーツジュースを、紘ちゃんはミネラルウォーターを頼んだ。
「そうか。お前ら、まだ未成年だったな」
「そうだよ」
「紘二、お前誕生日いつだった」
「七月二十四日」
爽君の目が鋭く細められる。
彼から紘ちゃんに声をかけるのは、この会話が初めてではないだろうか?
「私はこの間だったよ、四月五日」
「……何だよその手は」
爽君は嫌そうに眉を寄せる。
私はにっこり笑うと、再び手を差し出した。
「プレゼント」
「飯連れてきてやったろ?」
「このディナーは七年ぶりの再会のお祝いだもん。私の誕生日のお祝いとは別でしょ?」
「ガキのくせに憎まれ口だけは一人前だな」
「それはこっちの台詞。爽君だって背だけ伸びたくせに、中身コドモのまんまじゃん」
「何だと? お前このハンサムでクールな大人の男性に向かって――」
「まあまあ。二人ともその辺にしない? 前菜来たみたいだよ」
私たちの言い合いをよそに、ウェイターは業務用の笑顔を浮かべたまま給仕を行う。
気恥ずかしさで顔が赤くなった。
「こんなとこ来るんだったら、先に教えてよ……! もっとちゃんとした格好してきたのに」
「大丈夫、大丈夫。誰もお前のことなんか見てねーから」
爽君は私の頭をぽんぽんと手のひらで叩く。
私はむっとしてそれを払いのけた。
紘ちゃんは緊張よりも好奇心が勝ったのか、物珍しそうに店内を見回している。
案内されたのは窓際の、夜景がよく見える席だった。
ネオンが宝石の粒のように輝く夜の街。流れる川と、桜が煙るように咲いているのが見渡せる。
「綺麗……」
ウェイターが「お飲み物は何になさいますか」と尋ねてくると、爽君は「ワインを」と言い、リストを見ながら慣れた様子で決めていく。
私はグレープフルーツジュースを、紘ちゃんはミネラルウォーターを頼んだ。
「そうか。お前ら、まだ未成年だったな」
「そうだよ」
「紘二、お前誕生日いつだった」
「七月二十四日」
爽君の目が鋭く細められる。
彼から紘ちゃんに声をかけるのは、この会話が初めてではないだろうか?
「私はこの間だったよ、四月五日」
「……何だよその手は」
爽君は嫌そうに眉を寄せる。
私はにっこり笑うと、再び手を差し出した。
「プレゼント」
「飯連れてきてやったろ?」
「このディナーは七年ぶりの再会のお祝いだもん。私の誕生日のお祝いとは別でしょ?」
「ガキのくせに憎まれ口だけは一人前だな」
「それはこっちの台詞。爽君だって背だけ伸びたくせに、中身コドモのまんまじゃん」
「何だと? お前このハンサムでクールな大人の男性に向かって――」
「まあまあ。二人ともその辺にしない? 前菜来たみたいだよ」
私たちの言い合いをよそに、ウェイターは業務用の笑顔を浮かべたまま給仕を行う。
気恥ずかしさで顔が赤くなった。
0
あなたにおすすめの小説
ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています
紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、
ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。
「もう君は、僕の管理下だよ」
退院と同時に退職手続きは完了。
住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。
外出制限、健康管理、過保護な独占欲。
甘くて危険な“保護生活”の中で、
私は少しずつ彼に心を奪われていく――。
元社畜OL×執着気味の溺愛社長
囲い込み同棲ラブストーリー。
冷徹公爵の誤解された花嫁
柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。
冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。
一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
辺境伯夫人は領地を紡ぐ
やまだごんた
恋愛
王命によりヴァルデン辺境伯に嫁ぐことになった、前ベルンシュタイン公爵令嬢のマルグリット。
しかし、彼女を待っていたのは60年にも及ぶ戦争で荒廃し、冬を越す薪すら足りない現実だった。
物資も人手も足りない中、マルグリットは領地の立て直しに乗り出す。
戦しか知らなかったと自省する夫と向き合いながら、少しずつ築かれていく夫婦の距離。
これは、1人の女性が領地を紡ぎ、夫と共に未来を作る「内政×溺愛」の物語です。
全50話の予定です
※表紙はイメージです
※アルファポリス先行公開(なろうにも転載予定です)
「では、ごきげんよう」と去った悪役令嬢は破滅すら置き去りにして
東雲れいな
恋愛
「悪役令嬢」と噂される伯爵令嬢・ローズ。王太子殿下の婚約者候補だというのに、ヒロインから王子を奪おうなんて野心はまるでありません。むしろ彼女は、“わたくしはわたくしらしく”と胸を張り、周囲の冷たい視線にも毅然と立ち向かいます。
破滅を甘受する覚悟すらあった彼女が、誇り高く戦い抜くとき、運命は大きく動きだす。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる